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2019年05月07日

【あの頃のナンバー】第3回 牧達弥さん(go!go!vanillas):吉田拓郎「人生を語らず」

go!go!vanillas 牧達弥 ロックバンド ロック 音楽 タウンワーク townwork

第一線で活躍するミュージシャン達にバイト時代を思い出す1曲を挙げていただく企画「あの頃のナンバー」。かつてを思い出す楽曲のエピソードを中心に、当時のバイト生活、音楽活動などについて語っていただきます。

第3回にご登場いただくのは、様々なジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲と、ライブで生み出す強烈なグルーブが魅力のロックバンド・go!go!vanillasのヴォーカル&ギター・牧 達弥さん。バイト代は全部CDに注ぎ込んでいたという音楽的ルーツや、初めて聴いて涙したという思い出の1曲について語っていただきました。5月15日にはNew Album『THE WORLD』をリリース!

 
【新作『THE WORLD』について】

アルバム制作で大事にしたのは、1人1人の中にある“世界”

go!go!vanillas 牧達弥 ロックバンド ロック 音楽 タウンワーク townwork――アルバム『THE WORLD』のコンセプトから教えて下さい。

去年から1年かけて作ったアルバムで、前半に「No.999」と、後半に「パラノーマルワンダーワールド」が出来たことで『THE WORLD』というコンセプトが固まっていきました。“世界”というと、広い地球とか壮大なものをイメージすると思いますが、今回僕が使っている“WORLD”は、もっとコアな1人1人の中にある“世界”を表現しています。

——人の内側にある世界に向けていると。

そうですね。たとえば、好きなものや大事にしているものなど、その感じ方の違いが個性であり世界だと思うんです。そういう意味ではそれぞれが違うぶん、分かり合うのは難しいかもしれない。でも、その1人1人の世界を大事にしつつ、お互いに交われるところを探すというか。僕たちの作る音楽が、アルバムに触れてくれた人の世界の中に溶け込めたらいいなという思いで制作しました。

——楽曲からも力強い肯定感を感じました。

“否定”というものがあまり好きではなくて。合わない相手がいたとしても、その人にも大事な人がいて、その人なり正義があるわけなので、それをむやみに否定するのは違うなと。SNSにしてもそうですけど、表面的な部分だけをとらえるより、そこに至る理由とか想像力を大事にしたいんです。それは「No.999」の歌詞にもしている部分です。

――表題曲の「パラノーマルワンダーワールド」に関しては?

これを制作した時期にちょうど映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見て、フレディの持つコンプックスや狂気、それでもフロントマンとしてステージに立つ時に自分を最強にまで高める姿に魅力を感じたんです。

映画も踏まえて“人の中に普遍的にある感情はなんだろう”と考えた時に、“恋・愛・狂気・夢”が浮かんで。人間の根底にある感情を、激昂した音にぶつけたくてサビにその言葉をのせて歌いました。

――今回は、歌詞の言葉数も多いなと感じました

そうですね。今まで以上に言葉に比重をおいて歌詞を書いています。聴いてくれる人が、爽快に感じてくれたり、“自分のことだ!”と思えるようなものになっていたら嬉しいです。

——そして、サウンド面にも様々な要素が含まれていますね。

バンドをアップデートするために、楽器陣のリズムを意識して作り込んだ「雑食」など、色々なアプローチに挑戦しています。ただ、環境を整えて聴くより、日常のなかで……通勤でも、友だちとご飯を食べる時のBGMでもいいし、聴いてくれた人の生活に溶け込めたり、気づけばいつでも流れているようなアルバムになればいいなと思っています。

 
【想い出のバイトソング】

多様な音楽に触れたくて上京。CDを買うために始めたバイト

go!go!vanillas 牧達弥 ロックバンド ロック 音楽 タウンワーク townwork――では、ここからはバイト時代のエピソードと、当時を思い出す“あの頃のナンバー”について伺いたいのですが。

大学進学に合わせて上京をしたんですけど、東京に来て初めてバイトをしました。イタリアンレストランのホールスタッフ、コンビニの夜勤などで働きました。一番長かったのは4年続いたライブハウスのバーカウンターですね。

——最初のバイトを始めたキッカケは?

東京に出てきた理由が“CDをたくさん買いたいから”だったんです。そのための大学進学でもありました(笑)。当時はオンラインショップも盛んではなかったですし、地元の大分県では売っている物も限られていたので“東京だったらもっと世界が広がるんだろうな”と。大学時代は仕送りももらっていましたが、CDはバイトをして買おうと思っていました。

 

吉田拓郎さんの「人生を語らず」を初めて聴いた時に涙が溢れた

——当時、もうバンドは組んでいたのでしょうか?

バンドを組んだのは大学に入ってしばらくしてからなので、それまでは純粋に音楽を聴くのが好きで、最初に働いたイタリアンレストランの頃は、バイト代が入るたびに大量にCDを買っていました。その中で出会ったのが、今回の“思い出の1曲”でもある吉田拓郎さんの「人生を語らず」なんです。

吉田拓郎さんの楽曲は、ほかのアルバムも聴いていて“かっこいいな”とは思っていたんですけど、「人生を語らず」を聴いた時は泣きましたね。よく「背中を押される」って言いますけど、押すというよりバンバンって叩かれた感覚。

“やるしかねぇよ、お前なんかまだまだ人生これからじゃねぇか”って言われている気がして。多分、ちょっと疲れていたのもあると思うんですけど、家で泣いてしまって(苦笑)。何度も聴いたし、カラオケでも歌ったりと、心の支えになった曲です。

——意外なルーツにも驚きましたが、フォークは昔から聴いていたんでしょうか?

音楽としては60年代の洋楽が好きで、バンドを始めるキッカケになったのはザ・ビートルズです。でも、CDを買い漁っていた時期だったので、“ビートルズが流行っていた時代の日本の音楽はなんだろう?”っていう興味からフォークを聴くようになりました。今でも歌詞の世界観としては影響を受けている部分があると思います。

——60年代は、楽曲・歌詞の両方に影響を受けた時代なんですね。今でも「人生を語らず」を聴くことはありますか?

レコードも持っていますし今でも聴きます。個人的に季節の変わり目が好きなんですけど、何故かその頃になると聴きたくなるんです(笑)。

それと世の中の最新の音楽も好きですけど、電子音やEDMが多いからたまに温かさに触れたくなって拓郎さんの曲を聴いたり。拓郎さんの初期の音楽は、喋りかけてくれる感じがしてホッと安心するんです。“親の声”っていうと大げさですけど、久々に地元に帰って“ただいま”っていう感じに似ていますね。

 

昼夜逆転生活が自分には合わないことをバイトで初めて知った

go!go!vanillas 牧達弥 ロックバンド ロック 音楽 タウンワーク townwork——では、いくつかバイトをされているので、バイト時代のエピソードもお伺いしたいのですが、最初のバイト先にイタリアンレストランを選んだのは?

最初は求人誌で探したんですけど、写真が“仲が良い職場です”って笑顔で掲載されているものが多くて、僕としては“もう輪が出来上がってるなかには入れない”って(苦笑)。なので、家の近くで貼り紙を出していたイタリアンレストランを選びました。この頃が特にCDを大量に買っていた時期ですね。

その後は、バンドを始めたので時間の融通がきくバイトにしたくて、コンビニの深夜勤務を選びました。ただ、深夜逆転した生活が自分にはあまり合わなくて。

——しかもバンドを始めたばかりだと、一番音楽に触れていたい時期ですよね?

そうなんです。ドリンクを裏から補充している時の缶がぶつかるガチャンガチャンって音が悲しいんですよ。なので、缶の補充の時だけは、お客さんに迷惑をかけないように、片耳だけイヤホンをして音楽を聴いていました(笑)。

ちなみに、この時期にハマっていたのがThe Doorsの「Spanish Caravan」という曲で。昼夜逆転生活に疲れていたのもあって、かなり暗い曲なので、あえて“思い出の1曲”からは外したんですけど、これもめちゃくちゃ名曲です!

 

ライブハウスでバイトをして得たメンバーと仲間の存在

go!go!vanillas 牧達弥 ロックバンド ロック 音楽 タウンワーク townwork——そして、バイトで一番長かったのはライブハウスということですが。

自分たちのバンドでも出演させてもらっていたライブハウスで、ドリンクを作ったり、ライブ前後のフロアの掃除がメインでした。たまに練習をさせてもらったり、ノルマなしでイベントに呼んでもらったりと、音楽面でもすごく協力してもらいましたね。そのライブハウスづてに沢山の音楽仲間と出会えたのも大きな出来事です。

 

ギター購入時の不安と恐怖!? バイト代はほとんど音楽に使っていた

——当時のバイト代は、ほとんど音楽に費やしていた感じでしょうか?

大学も卒業して仕送りがなくなっていたので、生活費と音楽面での出費で結構大変でした。ライブハウス時代に、新しいギターを買った時も喜びは一瞬で、あとは“こんなに使って大丈夫かなぁ”っていう不安と恐怖でしたね(苦笑)。

20万円代のギターだったんですけど、楽器店で試し弾きをしたら良い音がするからテンションがあがってしまって。店員さんも「ローンだと月に2万円でいけますよ」とか言うんですよ。“高いなぁ”と思いつつ“食費を切り詰めればいけるかな”って。でも買った瞬間に、“毎月2万払えなかったらどうしよう”って(笑)。

——そういう焦りがあるなかでも音楽を辞めることはなく。

そうですね。むしろ、怖さしかなかったからこそ“このギターを使って食べられるようにならないと!”ってストイックになれたのかもしれないです(笑)。

振り返ると、バイトをしたことでお金の価値も分かるようになったし、改めてたくさんの物や人、音楽との出会いをしてきたんだなと思います。

■Profile
牧 達弥(まき たつや)

牧 達弥(vo/g)、長谷川プリティ敬祐(ba)、ジェットセイヤ(dr)、柳沢 進太郎(g)の4人からなる新世代ロックンロール・バンドgo!go!vanillas(ゴーゴーバニラズ)。さまざまなジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲で聴く人を魅了し、ライブでは強烈なグルーヴを生み出す。音楽ルーツへのリスペクトにとどまらず、常に変化・革新をし続けている。
2014年にVictor/Getting Betterより1stアルバム「Magic Number」でメジャーデビュー。昨年は大型ロックフェスに出演するなど注目を集めている。

go!go!vanillas OFFICIAL SITE:https://gogovanillas.com/
牧 達弥 OFFICIAL Twitter:@maggiee___mae

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:原 千夏

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