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2020年11月06日

【あの頃のナンバー】第8回 マカロニえんぴつ

マカロニえんぴつ インタビュー タウンワーク townwork

第一線で活躍するミュージシャン達にバイト時代を思い出す1曲を挙げていただく企画「あの頃のナンバー」。かつてを思い出す楽曲のエピソードを中心に、当時のバイト生活、音楽活動などについて語っていただきます。

第8回にご登場いただくのは、インディーズ時代から注目を集め、11月にトイズファクトリーからメジャーデビューをしたマカロニえんぴつ。はっとりさん(Vo/Gt)、田辺由明さん(Gt)、高野賢也さん(Ba)、長谷川大喜さん(Key)の4人に、音楽活動をしながらバイトを続けていた時代の話や、当時を思い出す音楽についてインタビュー。さらに、メジャーデビュー作『愛を知らずに魔法は使えない』制作エピソードについても伺いました。

 

音楽の力を信じる――マカロニえんぴつの核となる作品が完成

——アルバム『愛を知らずに魔法は使えない』はどのように制作されていったのでしょうか?

はっとり(Vo&Gt):アルバムをリリースする時期は決まっていたのですが、自粛期間に入ったこともあり、一時はメンバーとも連絡を取っていませんでした。その後、4人で久々にリハーサルに入った時に“音楽が楽しい”という核の部分を改めて感じられたので進行は早かったです。音楽の力を信じたいと強く思いましたし、その上で自分たちの持っているものをより濃縮して出していければと考えていました。

――それぞれに思い入れの強い楽曲について教えて下さい。

長谷川(Key):「ルート16」は、僕が作曲したのですが、体が自然と乗ってしまうような明るい曲を目指しました。レコーディングでは初めてグランドピアノを使っていて、すごく好きな音だったんですけど、手拍子が入る部分は独特の浮遊感を出したくて、あえてラジオから聞こえるようなアレンジにしています。アレンジ部分が少し長いかなと思ったのですが、微妙だったらはっとりくんがミックスの段階で修正してくるだろうと思って、その判断はお任せしました(笑)。

はっとり:正直に言うと、最初は一回エフェクトを全部はずしました。でも、聴き比べてみたら最初の方が良くて“だいちゃんが大正解だ!”と思いました。

長谷川:好き(笑)、ありがとう。

高野(Ba):「カーペット夜想曲」は、自粛開けに最初に取りかかった曲だったので、みんなの“音楽をやりたい!”という気持ちが溢れたものになったと思います。サビのメロディもリハーサル現場ですぐに浮かびましたし、ベースは、はっとりからの希望もありスラップを弾いています。エンジニアにも相談しながら取り組めたので、色々な挑戦が出来たアルバムになりました。

はっとり:今回のエンジニアは学生時代の同期が担当しているんです。「メジャーになる時は一緒に仕事をしたいね」と話していたので、夢が1つ叶いました。

マカロニえんぴつ インタビュー タウンワーク townwork田辺(Gt):新しく作った曲(「ノンシュガー」「カーペット夜想曲」「ルート16」)は、あまりギターを前面には押していない分、全体的に“良い音を作る事”と、ギターソロに力を注ぎました。いつもソロは、気恥ずかしさもあってレコーディング当日まで誰にも聴かせないんです。レコーディングで弾いた時に、みんなが「音もフレーズもいい」と言ってくれて“ほんとに!? ほんとに!?”って、安心しました(笑)。

はっとり:最後に収録した「mother」は、マカロニえんぴつの核や本質が詰まった曲になったと思っています。表題曲の「生きるをする」もそうですが、これまでも愛や死生観はずっと歌ってきたものなんです。今は世の中が不安定な状況で、一時期は僕たちの大事な音楽さえも力を失うんじゃないかと不安に感じたこともありました。でも、「mother」では、それでも前向きに進んでいくという意思を描いています。

そして、もう1つ“帰る場所”という意味も込めているんです。いつか“音楽が楽しい”と感じる気持ちを失いかけた時に、心が帰る場所になるであろう曲です。全曲を通して、改めて愛や生きることに向き合ったアルバムになったと思っています。

 

田辺由明:X JAPAN「ENDLESS RAIN」
寿司のデリバリーで転倒。ハプニングも音楽に心情を乗せることで良い思い出になる

マカロニえんぴつ インタビュー タウンワーク townwork――ここからは、バイト時代の思い出の1曲“あの頃のナンバー”について伺いたいと思います。

田辺:バンドをするために、学校に行きながらバイトを2つ(寿司店のデリバリー、豆腐の引き売り)掛け持ちしていました。失敗談なんですが、寿司店のデリバリーで羽田空港に行った時に、あまりに敷地が広大で迷ってしまったんです。しかも雨の中で転倒してしまって、羽田空港のど真ん中で悲しみから一人で叫ぶという。その時に、心の中で流れたBGMが、X JAPANの「ENDLESS RAIN」でした。その時の心境にドンピシャな曲があったことで救われましたね(笑)。エピソードと音楽がリンクすることで、大変だったことも良い思い出になるのは音楽の魅力だと思います!

――ちなみに豆腐の引き売りはどんなバイトですか?

田辺:ラッパを吹きながら屋台を引いて豆腐の販売をするんです。ラッパを吹くとお客さんが、ボールをもって買いに来てくれて。1人で屋台を引くのは意外と孤独で寂しくなるのですが、お客さんと他愛もない話をしたり、去り際に「頑張ってね」と声をかけてもらえるだけで嬉しくて。そういう言葉1つで、心が温まる経験をしたことで、人に優しく接することを自然と学べたような気がします。

 

長谷川大喜:葉加瀬太郎「エピリカ」
この曲をイメージして、人生を俯瞰することで自分の気持ちと向き合えた

マカロニえんぴつ インタビュー タウンワーク townwork――長谷川さんはいかがでしょうか?

長谷川:『情熱大陸』のハイライトでかかる葉加瀬太郎さんの「エピリカ」です。バンドの活動費を稼ぐために居酒屋でバイトをしていましたが、バイトがキツかった日の帰り道には、よく「エピリカ」を脳内のBGMにして、自分がインタビューに答える姿をイメージしていました(笑)。そうやって、言葉にすることで“何のための今なのか”とか、“どうしてバイトをしているのか”を俯瞰で考えられるし、そこで改めて“夢のため”という気持ちに立ち返ることが出来ていました。ドラマの『逃げるは恥だが役に立つ』でも、そんなシーンがありましたが、僕はそれより先にやっていたんです(笑)!

――当時のバンド活動は、どんな状況だったんですか?

長谷川:一人暮らしをしながらバンド活動をしていたので、本当にお金がなくて。バイトで稼いでも、ライヴ費用やスタジオ代、移動費などですぐになくなってしまうから生きることに必死でした。バンドのために必要なお金でさえ“持っていかれる”っていう感覚になるくらいの状態でしたね(苦笑)。でも、夢を諦めようとは思わなかったですし、それを乗り越えて今は純粋に音楽を楽しめていることが幸せだなと思います。

 

高野賢也:バイト当時に完成していたマカロニえんぴつの曲すべて
ずっと自分たちの曲をかけて働いていたし、そこの店長との出会いも大きかった

マカロニえんぴつ インタビュー タウンワーク townwork高野:マカロニえんぴつとして活動しながら、最後まで働いていたのがケータイの修理をする店でした。バイトの思い出としては、接客で修理方法を説明する時に、なるべく会社に儲けが出るような部材を勧めるように指示があったんです。でも、僕はそれに葛藤があって店長に相談したら「お客さんにとって良いものをススメなさい」と言ってくれて。「相手にここに来て良かったと思ってもらえるように」という言葉は刺さりましたね。店長には救われましたし、その言葉は、ライブや音楽にも通じることだと思いました。

――その頃の思い出の曲はありますか?

高野:当時の「マカロニえんぴつの曲全部」です。店では音楽を自由に聴いて良かったので、当時あった曲を、店のお客さんにも聴いてもらえるように、店内のBGMかのようにずっと流していました(笑)。バイトの記憶と直結しますし、店長もマカロニえんぴつの曲は気に入ってくれていました。

はっとり:その話は初めて聞いたけど熱いね!

高野:初めて言いました(笑)。つい最近、その店長が僕たちが出演するイベントライブに、自分でチケットを取って来てくれて。チケットを取った後に「今度行くよ」と連絡をくれたんです。気遣いに感動したし、バイトを通してステキな出会いをさせてもらえたと思っています。

 

はっとり:歴代のヒットソング
カラオケ店でバイトをしていた頃に救いになったのは、“音楽”という存在そのものだった

マカロニえんぴつ インタビュー タウンワーク townwork――締めとなりますが、はっとりさんお願いします。

はっとり:締めか! 賢也(高野)以上のものはないですよ(笑)。

――確かに(笑)。

はっとり:バイトはカラオケ店と、クリーニング店の洗い物が集結する工場で働きました。大変だったのはカラオケの方で、大学の講義が終わってからの数時間でしたが、忙しい店舗だったのですごく長く感じましたね。それと残念なことに、そのバイト先は嫌いな先輩が多くて、僕はちょっと異人扱いされていたというか…。金髪でマッシュルームにメガネっていう、僕の見た目の問題もあったと思うんですけど、ひそひそ悪口を言われたり、外での作業も1時間交代なのに呼びに来てもらえなかったりと最悪でしたね(笑)。でも、反面教師になったし、そこで“俺が輝けるところはここじゃなくてバンドだ”と思えた反骨精神は、確実にバンドに還元されていたと思います。

――当時を思い出す曲といえばなんでしょうか?

はっとり:お客さんが帰った後に1人で部屋を片付けるわずかな時間が、自分だけの空間だったんです。カラオケなので、繰り返し『歴代のヒットグソング』が流れていたんですけど、“そこに音楽がある”ということに救われていました。だから1曲というよりは「音楽」ですね。

――今はカラオケに、バンドの曲が入る立場になったわけですが。

はっとり:当時から“ここに入っていてもおかしくないのに”というのは、気持ちの中にありました。良い音楽を作ろうと思っていたし、実際に作っていたはずなんですよ。だけど、なかなか評価には辿り着かなくて、褒められ待ちみたいな感じでしたね(笑)。

でも不遇の時代も、その時々で常に未来への希望はありましたよ。夢を追う人は、目指すものを信じているから続けられるし、どれだけ自分のやっていることを好きでいられるかだと思うんです。たまに気持ちが迷うこともあるけれど、そこで、いかに“大事にしている思い”に立ち返れるか。それが、最初にも話したアルバムの「mother」に込めた思いにも繋がるものだと思っています。

 

■Profile
マカロニえんぴつ

2012年はっとり(VO/Gt)を中心に結成。メンバー全員が音大出身の次世代ロックバンド。はっとりのエモーションな歌声と、キーボードの多彩な音色を組み合わせた壮大なバンドサウンドを武器に圧倒的なステージングを繰り広げる。2017年shibuya eggmanのレーベルである「murffin descs」内に発足したロックレーベル『TALTO』よりミニアルバム『s.i.n』をリリース。メンバー脱退で4人体制になった後も精力的に活動を続け、2018年の夏フェスでは入場規制を記録するなど、バンドとしても大きな注目を集める。最新作『愛を知らずに魔法は使えない』で、トイズファクトリーからメジャーデビュー。

◆マカロニえんぴつ OFFCIAL SITE: http://macaroniempitsu.com/

◆ はっとり OFFICIAL Twitter:@Hattori_0512
◆ 田辺由明 OFFICIAL Twitter:@Toriashi_VYT
◆ 高野賢也 OFFICIAL Twitter:@kenken_macaroni
◆ 長谷川大喜 OFFICIAL Twitter:@h_s_g_w_d_i_k

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影・河井彩美 取材・文:原 千夏

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