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2020年06月09日

【あの頃のナンバー】第6回 渋谷龍太さん(SUPER BEAVER):eastern youth「沸点36℃」

渋谷龍太 SUPER BEAVER eastern youth 沸点36℃ あの頃のナンバー タウンワークマガジン インタビュー ハイライト ひとりで生きていたならば

第一線で活躍するミュージシャン達にバイト時代を思い出す1曲を挙げていただく企画「あの頃のナンバー」。かつてを思い出す楽曲のエピソードを中心に、当時のバイト生活、音楽活動などについて語っていただきます。

第6回にご登場いただくのは、結成15周年を迎えるSUPER BEAVER(スーパービーバー)のヴォーカル・渋谷龍太さん。妖艶な魅力と、歌詞や言葉を感情に乗せて力強く届けるライヴパフォーマンスにも注目が集まっています。バイト=生きることと直結だったというインディーズ時代の経験や、その頃の思い出の1曲を伺ったほか、6月10日にリリースするメジャー再契約となるSingleについての制作エピソードを聞きました。

 
【新作『ハイライト / ひとりで生きていたならば』について】

これまで見てきた景色1つ1つが、人生を彩る大切な「ハイライト」

――両A面シングルとなる「ハイライト / ひとりで生きていたならば」が6月10日にリリースされますね。

はい、今年の4月にSUPER BEAVERとして結成15周年を迎えましたが、振り返るとバンドの歴史のどの瞬間をとっても、たくさんの人に支えてもらい、気持ちを共有して過ごしてきた年月だったと思います。自分たち以外から見ればまだまだ通過点かもしれませんが、自分たちにとってはその時々で見てきた景色の1つ1つが大切な到達点でありハイライトだという気持ちを込めて歌った曲です。

——“悔しさ”“哀しさ”といった負の感情さえもハイライトに繋がるものだと表現しているのが印象的でした。

負の感情というのは、そのままにしておくとマイナスなものでしかありませんが、「なぜ悔しいと思ったか」「なぜ哀しいと思ったか」という根源を知ることで、パワーに変化させていけるものだと思っています。

——たとえば、これまでに乗り越えてきたエピソードを教えてもらえますか?

僕たちは今回がメジャーとの再契約になりますが、10年前にデビューした時は思うようにいかなくて2年で契約が切れてしまったんです。その時は、最初は負の感情しかありませんでした。でも、そこで気づいたことがたくさんあったんです。

――どんなことでしょうか?

それこそ、「なぜ悔しいと思うのか」を考えた時に、その時に力を貸してくれていたスタッフや、応援してくれているファンの顔が思い浮かびました。あの時に、自分たちが腐って諦めていたら、その人たちを哀しませたり、信じてくれていた気持ちを裏切ることになる。このままバンドを終わらせるわけにはいかないと思うことで奮起できました。

これは、「ひとりで生きていたならば」の歌詞にも通じますが、生きている中で自分一人で完結するような事柄っていうのはほんの少ししかなくて、感情の大元を探ると大抵は具体的な人の顔が浮かんでくると思うんです。たとえばファンの笑顔だったり、「◯◯さんに言われた言葉が刺さった」だとか。ことさら僕たちの感情が動く瞬間は、人ありき=人と共にいて生まれてくるものなんです。

――感情を具体的にすることで、負の感情も形にすることが出来ると。

そうですね。当時感じた悔しさも、今自分たちが楽しんで音楽をやれていることで肯定していける。1つずつの出来事が歌詞にもある“圧倒的な感情”であり、ハイライトに繋がっていくものだと感じています。収録した3曲(再録「まわる、まわる」)を含めて、過去から未来へ繋がっていく、今の自分たちを表現した楽曲を収録できたと思っています。

 
【想い出のバイトソング】

メジャー契約が切れた時に、新しい経験をしたくて始めた居酒屋のアルバイト

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———では、ここからはアルバイト経験について伺いたいと思います。

学生時代に2つ、メジャー契約が切れた後に23才からの5年間働いた居酒屋のアルバイトを入れると合計3つですね。学生時代はお小遣いのためでしたけど、居酒屋で働いていた頃は生きることと直結していたので意味合いは全然違いました。

――当時はどんな状況だったのでしょうか?

東京出身なので、メジャーにいた頃は実家暮らしでした。でも、メジャー契約がなくなった時に、環境を変えたかったこともあって初めての一人暮らしをしたんです。家族と過ごす時間はかけがえのないものでしたが、社会経験も含めてもっと多くのこと知るべきだと思ったし、人生が大きく変化した時に自分がどんなことを感じるのかを知りたかった。一人暮らしをするためにも、アルバイトは必要でした。

――実際に働いてみていかがでしたか?

アルバイトをしながらの音楽活動は大変そうなイメージがありますが、当時はすごく楽しかったです。音楽に関しても、事務所任せになっていたところを自分たち主導で動くことで充実感を得られていました。アルバイトも、インディーズでバンドを続けていくことも、“自分たちが選んで歩いている道”だということが支えになりました。

——アルバイト先に居酒屋を選んだのは?

当時から年間100本のライヴを続けていたので、シフトを考えると他に選択肢がありませんでした(苦笑)。でも、すごく人に恵まれましたね。アルバイト仲間がライヴの日程を調べて遊びに来てくれたり、アルバイトを辞めて5年くらい経ちますが今でも集まりますからね。徐々にライヴが大きな会場になっていくのを一緒に喜んでくれたのも嬉しかったです。

当時はツアーの遠征から帰ってきて寝ずにバイトに出ることもありましたが、それも苦じゃなかった。ただ、お客さんの注文がなかなか決まらない時に、一度だけテーブルの横で立ったまま意識がなくなってしまったことがあって、未だに一緒に働いていた仲間にはイジられています(笑)。

自分の中にある反骨精神を奮い立たせてくれるeastern youthの「沸点36℃」

——では『あの頃のナンバー』について。eastern youthの「沸点36℃」を挙げていただきましたが、どんな時期に聴いていたものなのでしょうか?

アルバイト自体は楽しかったんですけど、アルバイト生活も5年目を迎える頃に、自分の年齢が30歳に近づいていたこともあって“このままでいいのかな?”とメンタル的に迷いが生まれていました。音楽を続けることに対して疑ったことは一度もないんですけど、それゆえに「もっと音楽だけに向き合うべきなんじゃないか」と身の振り方を悩んだ時期で、その頃によく聴いていました。

——特に、この曲に惹かれたのは何故でしょう?

曲の初っ端、歌が入る前からすでにエネルギーの塊みたいなものを孕んでいて、自分の気持ちが落ちそうになる時に聴くと力づくでも顔をあげさせてくれるようなパワーを感じます。歌詞も、たとえば人間の体内での沸点が36℃だとしたら、100℃を待たずに湧き上がる熱がある。その熱をあげるのも自分次第だと。自分の中にある熱量や、反骨精神を刺激してくれた曲です。

――eastern youthは昔から聴いていたのでしょうか?

高校生の頃から大好きで、昨日もDVDを観ました(笑)。ずっとeastern youthをリスナーとして聴き続けていますが、同じ曲を聴いても自分の歩いてきた過去とか、その時々のメンタリティによって違って聴こえるんです。人生とリンクした瞬間に、また新しい解釈が生まれる。映像を見ていても歌っている姿に惹かれますし、吉野寿さんは男が憧れる男性でもあります。

ライヴには、生き方の違う人間の感情が交わる最高の瞬間がある

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撮影:日吉”JP”純平

——では、悩んだ時期を経てアルバイトを辞めた時はどんな気持ちでしたか?

バンドでの収入がバイト代を超えた時に思い切って辞めましたが、正直めちゃくちゃ怖かったですよ(苦笑)。

――音楽一本の道を選択してみてどうでしたか?

最初は不安でしたが、生活は成り立っていたので結果的には大丈夫でした。音楽だけに熱中することが出来たのも良かったです。やっぱりステージに立ってライヴで歌っている時の高揚感は他では得られないですからね。「沸点36℃」の話にもつながりますが、まさに自分の中の感情が沸点に上がる瞬間がライヴにはあるんです。そして、なにより目の前に自分たちの音楽を求めてお金と時間を使って集まってくれたお客さんがいる。そんな彼らがなりふり構わず楽しんでいる姿を見るとたまらないですよね。みんなの感情が高まって気持ちがぶつかり合った瞬間、「お前らもか!」って通じるものがある。

彼ら彼女たちがどんな風に生きてきたのかは分からない。でも、それぞれに人生を歩んできた1人1人が、ライブハウスという場所に集まって感情という1点でクロスオーバーする。その瞬間が好きだし、すごくロマンチックなことだと思っています。それが、みんなにとっても人生の1つの「ハイライト」であれば、すごく幸せですね。

夢が必ず叶うとは言えない。だけどその時間は決して無駄にはならない

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撮影:青木カズロー

——最後に、夢を追いかける若者にメッセージをお願いします。

夢は、努力したり信じ続ければ叶うという類のものではないと思っています。やった結果がどうなるかなんて誰にも分からない。だけど、だからこそ自分で自分を信じて、実現に向けて努力するしかないんです。でも、たとえ夢が叶わなくても人生という括りで見れば、その努力や費やした時間が無駄になるとは思わないので、「結果がどうなるかは分からないけれど、決めたらやるしかないんじゃない」っていうメッセージを送りたいと思います。

■Profile
渋谷 龍太
(しぶや りゅうた)

東京出身4人組。メジャーデビューから自主レーベル設立まで様々な経験をしつつも、[NOiD]に所属してから人気が再熱。2018年4月30日には、日本武道館での単独公演を開催し、即完売で約10,000人を魅了した。インディーズバンドながら、カンテレ・フジテレビ系10月連続ドラマ「僕らは奇跡でできている」の主題歌に「予感」が抜擢。2019年11月には、神戸ワールド記念ホール2Daysと2020年1月に国立代々木競技場第一体育館でのワンマン公演も即完売。
今年結成15周年を迎え4月8日にはメジャー再契約を表明し、ニューシングル「ハイライト / ひとりで生きていたならば」のリリースを発表。今最も注目のロックバンド。

SUPER BEAVER OFFICIAL SITEhttp://super-beaver.com/
渋谷龍太 OFFICIAL Twitter@gyakutarou

企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:原 千夏

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