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2020年10月21日

【あの頃のナンバー】第7回 小川幸慈さん(クリープハイプ):エレファントカシマシ「ハロー人生」

小川幸慈 クリープハイプ どうにかなる日々 タウンワーク townwork

第一線で活躍するミュージシャン達にバイト時代を思い出す1曲を挙げていただく企画「あの頃のナンバー」。かつてを思い出す楽曲のエピソードを中心に、当時のバイト生活、音楽活動などについて語っていただきます。

第7回にご登場いただくのは、現メンバーとなり10周年を迎えているクリープハイプのギター・小川幸慈さん。夢を追うために始めた一人暮らしや、バイト経験、そして当時の自分を支えた思い出の曲について伺いました。クリープハイプとしては、サントラ『どうにかなる日々』を10月21日にリリース!

 

初のサントラCDに挑戦。何気ない瞬間から生まれる物語を感じてほしい

――最新作は、主題歌「モノマネ」を含む、劇場版アニメ『どうにかなる日々』のサントラCDとなりますね。

バンドとしてもサントラは初挑戦になりました。制作前に原作を読ませていただいて、青春時代の言葉にするのが難しい感情が、繊細で美しく描かれているのを感じました。楽曲に関しては、ヴォーカルの尾崎がベーシックなメロディを作って、それを受け取るのですが、楽曲から受けるインスピレーションと、アニメのシーンをイメージしてレコーディングしていきました。

――サントラということで、楽器陣の音も鮮明ですね。

ギターだけをとっても、アコギにするのか、エレキにするのか、ガットギターなのか、使用するものによって音の緊張感や温かみなど聴こえ方が全く変わってくるので、バリエーションも楽しみながら演奏しました。

——アニメのトレーラーを拝見しましたが楽曲がマッチしていて、物語に吸い込まれるようでした。

今回は映像が主役で、そこに描かれたものをより受け取りやすくするのが音楽の役割だと思っていたので、音楽だけが突出しないようにというのは考えていました。普段はサビにつながるように1曲の中でメロディの展開を意識しますが、今回は物語(映像)に展開がある分、自然な引き算を学べたので、それは今後のバンドサウンドにも活きていくと思います。

――主題歌となる「モノマネ」に関してはいかがですか?

ヴォーカルの尾崎は、生活の何気ない瞬間の中から物語を描くのが上手いんです。この歌詞も、一緒にテレビを見ながら「このモノマネ似てないね」と話している。そういう普通なら通り過ぎてしまうけれど、誰でも経験したことがあるような出来事が描かれているのでアニメともリンクしますし、たくさんの方に共感してもらえると思います。

それと、この曲は以前リリースしている「ボーイズENDガールズ」の続編にもなっているので、そういった目線でも楽しんでもらえればと思います。

――MVも、メンバーが海外ミュージシャンのモノマネをしていて、インパクト大でした!

モノマネをするアーティストが決まった時点で、ドラムの拓さんのチャド・スミス(レッド・ホット・チリペッパーズのドラマー)だけは想像が出来なかったんですけど似合っていて、みんなで「イケますね!」と盛り上がりました(笑)。僕たち自身も楽しんで取り組めた作品になったので、ぜひ聴いていただければと思います。

 

誰にも求められていない。そんな不安を払拭してくれたエレファントカシマシの「ハロー人生」

小川幸慈 クリープハイプ どうにかなる日々 タウンワーク townwork——では、ここからはバイトの思い出や、当時を思い出す“あの頃のナンバー”について伺いたいと思います。

バイトは、高校生の頃に初めて焼肉店で働きました。コピーバンドをしていたので、バンド機材等のお金が欲しかったんです。他にも、コンビニや居酒屋などでも働きました。その後、高校を卒業してフリーターだった時期は、バンドとの両立のために時間に融通の効く、人材派遣に登録して色々な仕事を経験しました。

――その中でも、バイト時代の思い出の曲といえばなんでしょうか?

22〜23歳の頃によく聴いていたエレファントカシマシの「ハロー人生」です。その頃は、歌詞に出てくる、世間に求められていなくても生きるといった内容や、《オレ這いつくばって》というワードが刺さって、すでに世間に認められている方でさえそういう自問自答のなかで生きていることを知ったんです。

当時やっていたバンドが上手くいかなくて“自分たちの音楽は誰にも求められてないのか…”と不安になっていたところに、宮本さんの生々しい歌声、音楽や表現に向き合う姿勢に触れて、自分も這いつくばってでも夢を追いかけたい、未来の可能性を捨てたくないと思いました。

 

自分自身の状況で感じ方が違って聴こえる。それも音楽の魅力の1つだと思う

小川幸慈 クリープハイプ どうにかなる日々 タウンワーク townwork――具体的に、どんな状況だったのでしょうか?

まだクリープハイプの前のバンドで活動していましたが、ライブをしてもお客さんが集まらないという状況でした。友だちも毎回来られるわけじゃないし、新規のお客さんも付かない。対バン相手もお客さんを呼べていなくて、ステージに出てみたら、客席はバンドメンバーの彼女2人だけとか(苦笑)。チケットのノルマもあったし、一人暮らしをしていたこともあり、精神的にも金銭的にも厳しい時期でした。

――「ハロー人生」は、ライブハウスで聴いたのでしょうか?

バイトから帰って、部屋で1人でお酒を飲みながら聴いていたら、歌詞や歌声にグッと掴まれて、うつむいた状態で聴き入っていました(苦笑)。それまでも何度も聴いていた曲だったのに、その時は特に惹き込まれて…。

それからしばらくは上手くいかなくて凹むたびに、自分に喝を入れたくて、よく聴いていました。今聴くと、当時が甦ったりと、その時々に違う聴こえ方をするのも音楽の魅力だと思います。

 

バンドが軌道にのるまで1年以上続けた高層ビルの窓拭き

小川幸慈 クリープハイプ どうにかなる日々 タウンワーク townwork――その時期、バイトは何をされていましたか?

窓ガラスを拭く清掃のバイトをしていました。そこは単発では働けなくて、月に20日くらいはシフトを入れないといけなかったんです。たぶん、命がかかっているから、技術を習得するためという意図があったんだと思いますが、バンドが軌道に乗るまで1年以上続けました。

――清掃の作業自体はいかがでしたか?

チームで数日かけてビル1棟の、外窓・内窓を清掃するのですが、ブランコやゴンドラに乗って窓拭きをしていました。高層ビルもあったので、最初は怖かったですね。緊張で体に力が入るから、作業が終わると全身が筋肉痛でした。たまにゴンドラが、ガクンってさがったりすると“やべぇ!”って。

ブランコを取り付けたロープが切れないように、ビルに養生をしてからセットするのですが、たまにそれがズレる時があるんです。そのまま作業すると、ビルの壁とロープに摩擦が起きて、ロープが切れる危険がある。でも、それを直すためには一度、下まで降りないといけないんです。基本的に、ブランコは上には上がれないので、そういうタイムロスは辛かったですね。朝の9時くらいから夕方まで作業をするので、なるべく効率的に早く終わらせたくて頑張っていました(笑)。

 

時間に拘束があることで、音楽に関わる時間をより大切にできた

小川幸慈 クリープハイプ どうにかなる日々 タウンワーク townwork――そのなかでも楽しみはありましたか?

趣味で音楽をやっている方がいて、スライドギターについておすすめのアーティストを教えてくれたり、ライブの時は時間を融通してもらったりと、仕事仲間には恵まれました。あとは、バイト現場への往復は音楽を聴いていましたが、気になるフレーズがあると“帰ったらこの曲のフレーズを探ろう”とワクワクして。バイトという拘束時間があるからこそ、家に帰ってからの自由な時間を大事に出来ていたのかなというのは、今になって思います。

――そのバイトを辞めたのはいつ頃ですか?

前のバンドを辞めて、クリープハイプ1本になった頃でした。まだ一人暮らしで生計を立てるのは厳しかったのですが、一人暮らしを辞めて実家に戻れば、バイトを少しするだけで生活出来るような状況になっていたので、バンドやギターに集中するために、そのバイトは辞めて一度実家に戻りました。

 

経験したことや感じた想いは何1つ無駄にならない

小川幸慈 クリープハイプ どうにかなる日々 タウンワーク townwork――ずっと実家にいれば良かったという後悔はありませんでしたか?

バイトで生計を立てるのは大変でしたし、時間も拘束されましたけど、実家にいたままだとズルズルと依存していたと思うんです。バンドへの決意を固める意味もありましたし、一人暮らしやバイトをした経験があったからこそ感じられた焦燥感や、音楽への思い、そこに無駄なことは1つもなかったと思っています。全ての経験は未来に繋がると感じています。

――では、最後に特に記憶に残っているバイトエピソードがあれば教えて下さい!

僕の行っていた清掃会社はフジテレビのビルを担当していたので、僕も窓拭きをしたことがありました。その後、クリープハイプとしてテレビ収録に行った時はすごく感慨深かったです。バイトをしていなかったら、そんな気持ちも味わえていないですからね(笑)。それも経験が今につながったエピソードの1つだと思っています!

 

■Profile
小川幸慈
(おがわ ゆきちか)

尾崎世界観(vo/Gt)、小川幸慈(Gt)、長谷川カオナシ(Ba)、小泉拓(Dr)の4人からなるロックバンド。2001年に3ピースバンドとして活動を開始。下北沢を中心にライブ活動を展開。2009年に現メンバーとなり、本格的に活動をスタート。2012年に「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」でメジャー。2014年には日本武道館2デイズ公演を開催。2019年11月に、現メンバーで10周年を迎える。サウンドトラックは、今作が初挑戦となる。

◆小川幸慈 OFFICIAL Twitter:@yukig_ogw
◆クリープハイプ OFFCIAL SITE: https://www.creephyp.com/

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影・河井彩美 取材・文:原 千夏

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