レポートの書き出し方。序論(はじめに)に書くべき要素と例文(テンプレート)
レポートは、基本的に「序論」「本論」「結論」の流れで構成されます。この記事では、レポートの書き始めにあたる「序論」の役割や書き方のコツについて解説します。実際のレポートに使える書き出しのテンプレートもご紹介します。
レポートの序論とは概要を伝えるもの
序論とは、レポートに何が書かれているかが分かる冒頭の論説のことです。レポートの「テーマ」を明確にし、レポート全体の「流れ」を示す役割があります。また、そのレポートや論文を読む「価値」を読み手に伝える役割もあります。つまり、レポートを読むことで読み手がどんな知見を得ることができるかを、序論の部分で伝える役割を持っているのです。
レポートの序論の書き方のポイント
レポートを具体的に書き始める前に、序論の書き方のポイントを紹介します。
序論は本論、結論を書き終えた後に書く
序論は、レポートの最初の部分ですが、書くタイミングは、レポートの全体像が見えてから書くのがうまくまとめるコツです。本文に着手していない、あるいは何も調べていない段階で、いきなり序論からレポートを書き始めるのはおすすめしません。
レポートを書きながら序論を見直して修正すると、より良いものになります。また書き上がってからもう一度序論を見直し、レポート全体の流れが読み手に伝わる内容になっているかを確認するのがおすすめです。
見出しは「はじめに」を用いるケースが多い
一般的に、序論の見出しは「はじめに」を用いることが多いです。レポートの見出しに「はじめに」を用いる際の意味合いは「序論」と同じになります。「序論」の見出しを「はじめに」とした場合は、「結論」も「おわりに」を用いることが多いです。
文字数は200文字くらいを意識する
レポートの序論の文字量は200文字程度を意識して書きましょう。序論はあくまでレポート全体の概要や目的を伝える箇所なので、簡潔にまとめることで読み手も理解しやすくなります。
本論、結論と齟齬がないか確認する
レポートの序論は、本論、結論と内容が符号していなければなりません。序論を書き終えたら、テーマや目的が一致しているか、どちらか一方にしか書かれていないものはないか、論じている内容の順序は一致しているかなど、齟齬がないか確認しましょう。
レポートの序論の書き出し方、必要な要素と書く順番
次に、序論に必要な要素と、順番について説明します。
序論は、基本的には以下の6つの要素を順番通りに書くとよいでしょう。ただし、レポートの課題によっては特定の構成や内容が指定される場合もありますので、その場合はその指示を優先してください。
2)研究・考察の背景・動機
3)研究・考察の目的
4)研究・考察の手段や方法
5)研究・考察の意義
6)レポートを読む上で留意点
以下、それぞれに詳しく説明します。
1)研究・考察のテーマと結論
最初にこのレポートで一番伝えたいこと、つまり研究や考察の対象とした「テーマ」と、その「結論」を書きます。取り上げるテーマに対し、このレポートで明らかにすること、それにもとづいて自分が考えた結果を最初に提示します。
2)研究・考察の背景・動機
そのレポートのテーマが持つ学問的な背景を説明します。歴史的意味や地理的比較、先行研究の紹介などを書きましょう。個人的な経験などを語るレポートの場合は、そのテーマを取り上げた動機を書くとよいでしょう。
3)研究・考察の目的
このレポートを書く目的を提示します。レポートの課題として、達成すべき目的があらかじめ決まっている場合は、それを再提示すればよいでしょう。自分で目的を設定した場合は、それを明確に書きます。
4)研究・考察の手段や方法
研究・考察の目的を達成するためにどのようなことを実施したかを、具体的に説明してください。例えば「実験を行った」「アンケート調査を実施した」「文献を比較した」などです。
5)研究・考察の意義
このレポートがその学問領域にどのような貢献ができるか、研究・考察の意義を書いてください。
6)レポートを読む上での留意点
今回のレポート読む上で注意すべき点があれば書いてください。使用したキーワードの定義(「本レポートにおける○○とは、××を意味することとする」)や、論述の範囲の限定(「今回の「地方都市」には、人口20万人以上の中核都市は含まないものとする」)などを記載しておくと、レポートの精度が上がります。
レポートの序論の展開・書き方の例文(テンプレート)
上記の1)から6)にそって、それぞれの書き出しの実例(テンプレート)をご紹介します。
1)研究・考察のテーマと結論
- 本レポートで明らかにしたことは、××である。
- 本レポートは、〇〇に関する△△であり、××を明らかにするものである。
- □□であること。それが本レポートにおける結論である。
本レポートは、日本の地方自治体の町おこしに関する調査報告であり、地方の町おこしにおいて一番の課題は、地域住民の意識改革であることを明らかにしたものである。
2)研究・考察の背景・動機
- □□は、長い間、××学における△△として議論されてきた。(以下、歴史的背景)
- △△は、日本(世界)各地で問題となっている。(以下、各地の現状報告)
- ○○に関する先行研究として有名なものに□□がある。(以下、先行研究の紹介)
- 今回のテーマを取り上げた理由は、私にとってそれが◎◎だからである。(以下、動機説明)
人口減少による地方の衰退は、長く問題となってきた。ことに896の自治体が消滅する可能性があると主張した2014年の民間団体の発表が与えたショックは大きい。
3)研究・考察の目的
- 本レポートは、この○○を明らかにしようとするものである。
- 本レポートでは、××を調査し、△△を明らかにしたい。
- 「本当に□□なのか?」それを本レポートでは明らかにする。
では、地方の町おこしにおいて一番の課題はなにか。それを明らかにするのが本レポートの目的である。
4)研究・考察の手段や方法論
- そのために、今回は、××という方法を採用した。(以下、説明)
- 上記の問題を明らかにするために、今回採用した調査方法は、□□法である。□□法とは、(以下、説明)
- この問題を明らかにするために、今回△△を使って、××する実験を行った。(以下、説明)
この問題を明らかにするために、本レポートでは、◯◯協議会による実態調査を分析し、都市規模ごとに問題点を整理した。
5)研究・考察の意義
- このレポートの結論は、長らく議論されてきた○○という問題の解決に寄与するものである。
- 本レポートの調査結果は、△△の問題を考察する際の見取り図を提供するだろう。
- 本レポートの実験結果は、□□という先行研究を補強するものである。
本レポートは、町おこしに伴う問題をより詳細に捉え、適切な対応策を立案する際の手助けになるものと確信している。
6)レポート読む上での留意点
- なお、本レポートにおける「××」とは、「△△」という意味に限定されるものとする。
- なお、本レポートで採用された□□法には、〇〇という問題点があるという指摘があることも考慮に入れて本論を読み進めていただきたい。
- なお、今回の実験に使用された機材は、××であり、本文中の単位は、すべて□□とする。
なお、本レポートにおける「地方都市」には、人口20万人以上の中核都市は含まないものとする。
石井秀明
小論文通信添削講座「論文オンライン」代表。
一般社団法人文章添削士協会代表理事。1997年よりWeb上での小論文の通信添削講座を展開。今までに添削をした答案の本数は30000本を超える。著書に、『実践添削例から学ぶ 必ず受かる小論文・作文の書き方』(新星出版)など多数。
※更新履歴:
2023年10月5日
2025年1月21日