初詣のマナーと願い事の仕方|ポイントを押さえて正しい参拝を
年始になると、家族や友達、恋人と一緒に初詣に出かけるという人も多いでしょう。そこで覚えておきたいのが、初詣の正しいマナーです。社会人になる前に、きちんとしたお参りの仕方を身に付けておきたいもの。
この記事では、初詣のマナーと願い事の仕方についてご紹介します。
【目次】
初詣の基礎知識
人気の神社やお寺に行こうと張り切っている人も、氏神様と菩提寺へのお参りは忘れずに。元日でなくても構いませんが、できれば三が日のうちに行きましょう。
初詣はどこに行く?
「初詣はどこに行こうか?」と友達や恋人と話をし、お参りというより新年のお出かけ感覚で、神社やお寺の人気ランキングを眺めている人もいるかもしれません。
ここで注意したいのは、初詣とはそもそも、地域の守り神である氏神様(神社)、自分の家が先祖代々檀家になっている菩提寺に行くものだということです。有名な神社やお寺に行きたいと思っている人は、初めに氏神様や菩提寺にお参りしてから行くようにすると良いでしょう。
とはいえ、現代では神社、お寺との結びつきが薄れている家も多いので、初詣は好きなところに行くという人が増えているのも事実です。縁結びや良縁成就など特にかなえたいお願いがあるなら、その分野でご利益があると評判の神社に行くのも良いでしょう。
また、「初詣に行くのはお寺ではなく神社」と思い込んでいる人がいるかもしれませんが、神社でなければならないという決まりはありません。実際に首都圏でも、成田山新勝寺、川崎大師・平間寺、浅草寺と大きなお寺に毎年、大勢の人が初詣に訪れています。
初詣はいつまでに行く?
できれば三が日(1月1日~3日)、遅くとも松の内にお参りすると良いでしょう。お札の中には、この期間にのみ授与されるものもあります。松の内とはお正月の松飾をしている期間のことで、地方による違いもあり、一般的に関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされています。
初詣は誰と行く?
初詣に行く相手に特に決まりはありません。誰と出かけてもOKですが、一家の代表として家族の分までというのはNG。自分のお参りは自分でするのが基本です。
ただし、喪中は初詣に行かないものなので、代理の人に参拝を頼むことはあります。
神社・お寺に参拝するときのマナー
神様、仏様への感謝と尊敬を胸に抱いて、お参りしましょう。手水舎(ちょうずや)での身の清め方、「二礼二拍手一礼」の作法を練習しておくと、慌てず落ち着いて振る舞えます。
神社に初詣するときのマナー
神社は神聖な場所であり、鳥居は聖域を区切るものです。鳥居のすぐ前まで来たら、一礼してからくぐりましょう。鳥居がいくつもある神社では、一の鳥居から順にくぐります。
参道の真ん中を歩かないことも覚えておきたいもの。中央は神様が通る道で、「正中」(せいちゅう)と呼ばれます。神様を敬い、人間は左右の端に寄って歩くのがマナーです。
混雑しているときは神社の誘導に従い、人の流れに逆らわないように歩きましょう。
参拝の前に、参道の脇などにある手水舎(てみずや)で手と口を清めます。やり方は次の通りです。
<手水の手順>
1.ひしゃくを右手で持って水を汲んだら、左手に水をかけて清めます。
2.ひしゃくを左手に持ち替え、右手に水をかけます。
3.再び右手でひしゃくを持ち、少しの水を左の手のひらで受けて口に含み、静かに軽く口をすすいで出します。ひしゃくに直接、口をつけてはいけません。
4. 左手に少し水をかけたら、ひしゃくを立てて残った水で柄を流し、元の場所に置きます。
お清めを済ませてご神前に進んだら、まず会釈をします。お賽銭は神様に捧げるものなので腕を振り上げて投げるのではなく、手を腰のあたりに下ろした状態から静かに入れます。鈴があれば振って鳴らします。
「二礼二拍手一礼」の作法で拝礼します。
<拝礼の手順>
1.深いお辞儀を2回します(二礼)。背中を丸めないように気をつけて、ゆっくりと腰を90度くらいまで曲げるようにしましょう。
2.胸の高さで2回、拍手をします(二拍手)。肩幅くらいに両手を開き、右手を少し下にずらすようにして打ちます。
3.指先を揃えて手を合わせ、神様に感謝し、お祈りをします。
4.最後にもう一度、深いお辞儀をします(一礼)。
ただし、出雲大社など「二礼四拍手一礼」としているところもありますので、その神社のやり方に従いましょう。
参拝が終わったら、鳥居をくぐりぬけた後、振りかえってもう一度最後に会釈して退きます。
お寺に初詣するときのマナー
お寺の山門は俗界との境界にあたります。静かに合掌し、一礼してくぐりましょう。左右に仁王像が安置されているときは、それぞれに手を合わせます。神社とは違い、お寺の参道は中央を歩いても問題ありません。手水舎で手と口を清めるのは、基本的に神社と同じ。左手、右手、口の順に清めたら、左手、ひしゃくの柄をすすぎ、ひしゃくを元に戻します。境内にお線香を焚く大きな常香炉がある場合は、煙を浴びて身を清めましょう。体の調子の悪いところに手で煙を導くようにすると良くなるとも言われています。
本堂に進んだら、一礼をしてお賽銭を入れます。お賽銭は乱暴に投げ入れたりせず、そっと手を近づけて入れます。鈴があれば鳴らし、胸の前で静かに両手を合わせて合掌します。心を込めてお祈りをしたら、手を合わせたままで深くお辞儀をします。参拝が終わったら、感謝を込めて会釈し、退きます。
初詣の願い事に関する注意点
これまでに初詣に出かけたとき、いきなり願い事をしていませんでしたか?まず感謝の言葉を述べましょう。お賽銭は気張らず、気持ちに合った縁起のいい額にすると良いでしょう。
神社でもお寺でも、初詣で願い事をするときは、まず先に自分の名前、住所を述べ所在を明らかにした後で、前年の感謝や報告を述べるようにします。「昨年はありがとうございました」「無事に新年を迎えられました」などと、感謝を捧げます。
ご利益を祈願するのは、その後です。そして、願い事は一つが基本です。欲張ってあれもこれもといくつもお願いしないように気をつけてください。「就活がうまくいきますように」「家族が健康でいられますように」「彼氏ができますように」などと、心を込めて一つだけお願いしましょう。
ちなみに、お賽銭の額に決まりはありません。神社では神様へのお供え、お寺ではお布施にあたるもので、たくさん出せば出すほどご利益が得られるということではありません。自分の気持ちに合わせて決めれば大丈夫です。
語呂合わせで、縁起がいいと好まれる額もあります。例えば5円は「ご縁がありますように」、15円は「十分ご縁がありますように」、25円は「二重にご縁がありますように」、45円は「始終ご縁がありますように」。反対に10円は「遠縁」になるから避けたほうがいいとも言われます。
合わせて知っておきたい初詣の豆知識
知らずに出かけて恥ずかしい思いをしないように、お守りやおみくじ、服装ついても頭に入れておきましょう。
神社やお寺でお札やお守り、破魔矢をいただいてきたら、翌年の初詣の際に持って行き、「古札納め所」などと書かれた場所に納めるようにしましょう。1年を過ぎたら、神社で授かったものは神社に、お寺のものはお寺に納め、お焚き上げをしてもらいます。ただし、お守りはその願いがかなうまで身に着けていても構わないと言われています。
おみくじを引くのは一度の参拝で一回のみ。良くない札が出たからといって、何回も引き直すのはNGです。もしも凶が出てしまっても、やがて吉がやってくると考えるようにしましょう。
引いたおみくじは「おみくじ結び所」に結びつけて帰る人が多数派ですが、大吉や吉は良い運をとどめるために持ち帰ると良いとも言われます。いずれにせよ吉凶にこだわりすぎず、記されている教訓や指針を心に留めておくという程度で良いでしょう。
お守りの購入やおみくじを楽しみにしている人は多いと思いますが、お参りを済ませてから行うという順番を忘れないようにしてください。
服装については、特に決まりがあるわけではありませんが、神様、仏様にご挨拶に行くのですから、きちんとした服装が望ましいでしょう。特別な機会として晴れ着を着ることを楽しむ人も大勢います。もちろん着物に限らず、あらたまった場にふさわしい服装であれば大丈夫です。
また、お正月時期はたくさんの人が神社、お寺にお参りをするので、参拝までの列が、数十人やそれ以上になることもあります。混雑した状況の場合は、背負っているリュックを身体の前で背負い直したり、携帯電話で長時間の会話や大声での会話は避けるなど、周りに気を遣うことも忘れないようにしましょう。
作法に基づいた初詣で、幸せな一年の始まりを
初詣はお正月のビッグイベントではありますが、大学生ともなれば、しきたりやマナーを知らないまま不作法にお参りをしていると恥ずかしい思いをすることになります。
神社やお寺の厳かな雰囲気を味わい、作法の通りに心に定めた目標、望みをお願いしてみましょう。幸福な一年の始まりにふさわしい、印象的なお出かけとなるはずです。
監修:佐野 昭子(マナー講師)