アルバイトで有給はないと言われた。拒否されたときの対処法や有給取得の条件など
アルバイトでも条件を満たせば有給休暇を取得できますが、バイト先からアルバイトに有給はないと言われた場合はどう対処したらいいのでしょうか。ここでは、申請した有給休暇を拒否されることはあるのか、拒否された場合はどう対処すればいいのか、スムーズに有給休暇を申請するポイントなどを紹介します。
アルバイトでも有給休暇は取得できる
有給休暇はアルバイトやパートでも、一定の条件を満たせば雇用形態に関係なく付与されることが労働基準法で定められています。また2019年からは、年間10日以上有給休暇が付与された人は、最低でも5日以上の取得が義務づけられています。
有給休暇が付与される条件
最初に有給休暇が付与される条件は、1)雇用契約を結んでから継続的に半年以上在籍していること、2)雇用主と交わした契約に基づく所定労働日数の8割以上の出勤を満たしていることです。有給休暇を取得できる日数は、働いた日数によって異なりますが、週1日のシフトでも半年を経過すると有給が1日発生します。
有給休暇が付与される日数
パートタイマーの場合、有給休暇が付与される日数は、継続的に働いた、つまり在籍した期間と週間また年間の所定労働日数により変わります。
週30時間以上、週5日以上、年間217日以上のいずれかの勤務に当てはまる、いわゆるフルタイム勤務の場合は、半年以上8割出勤すると年10日以上の有給が付与されます。
週30時間未満の勤務で、週4日以下か年間48日~216日勤務の場合は、半年以上在籍して、かつ所定労働日数の8割出勤すると有給が付与されます。
■週のシフトと勤続期間別、有給休暇の日数
>アルバイト・パートも有給休暇は取れる。発生条件、日数、手当の計算方法を解説
アルバイトで有給はないと言われた時に確認すること
自分が有給休暇付与の条件を満たしているにも関わらず、バイト先から有給はないと言われたら、すでに有給を消化していないか、契約形態がどうなっているかを確認してみましょう。
有給休暇をすでに使っていないか確認する
病気などの急な理由でバイトを休んだことがある場合、有給休暇を消化している可能性があります。休んだ日が欠勤ではなく有給休暇となっていないかバイト先に確認してみるといいでしょう。
また、所定労働日数が年間ベース47日以下の人についても有給休暇は付与されません。
業務委託契約になっていないか確認する
自分がアルバイトやパートとして働いていると自覚していても、契約形態によっては有給休暇が取得できない場合があります。契約形態が「雇用契約」になっていれば有給休暇取得の対象になりますが、「業務委託契約」になっていて、業務実態も雇用というより業務委託であるなら法律上では労働者ではないので、有給休暇取得の対象外となります。
会社が有給希望日を拒否することもある
原則として、会社は従業員の有給休暇の申請を拒否することはできませんが、会社の正常な運営を妨げると判断した場合は、従業員に有給希望日の変更を求めることができる「時季変更権」が労働基準法で認められています(労働基準法 39条5項)。
例えば、店舗や事業所などの繁忙期に複数の従業員の有給申請が重なった場合や、長期間の有給申請は、会社から日程を変更するように言われることがあります。
なお、時季変更権は、その従業員が別の日に有給を取得できる場合に限り行使が可能なため、退職が決まった従業員の退職前の有給消化に対しては、行使することができません。
会社が有給休暇を取らせてくれない時の対処法
有給休暇の条件は満たしていて、バイト先の事情がないにも関わらず、有給はないと言われた場合は、会社の人事部やしかるべき機関に相談することを検討しましょう。
人事部など会社に相談する
有給休暇を取得する権利があるにもかかわらず、直属の上司に拒否されたり、取りづらい雰囲気がある場合は、部署内の人間ではなく、会社の人事部など本部に相談しましょう。
労働基準監督署に相談する
会社の本部には相談しづらい、または取り合ってくれない場合は、社内では解決ができないと判断して、公的な窓口として労働基準監督署で相談することもできます。
有給休暇を申請する際のポイント
有給休暇を申請するにあたって、気にしておきたいポイントを紹介します。最初に直属の上司の承認を得てから、必要であれば社内のルールに従って申請します。
有給休暇は2年以内に使用する
有給休暇の取得日はいつでも自由に決められますが、付与されてから2年以内に使用しないと消滅してしまいます。無理に有給休暇をとる必要はありませんが、使用する場合は2年以内と覚えておくといいでしょう。ちなみにアルバイトやパートなど半年や1年契約の期間の定めがある雇用形態であっても、契約更新の際、有給休暇が付与されてから2年以内であれば有給も契約更新後も繰越されます。つまり契約更新にあたって付与された有給休暇が消滅することはないということです。
シフトを組む前に打診する
一度シフトを組んだ後に有給休暇で調整するのは難しくなります。シフト制の職場なら、シフトを組む前に希望を伝えておくとスムーズです。
申請理由は「私用」で問題ない
申請するときに理由を詳しく伝える必要はなく、「私用のため」で問題ありません。
渋田貴正司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/
※更新履歴:
2019年7月1日
2022年3月3日
2023年6月22日
2024年9月10日
2025年8月8日
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。