声優/俳優・小野賢章さんインタビュー 「自分が何を求められているのか、把握してから作品へ臨むように」
400年以上生きる伝説の魔法使い、ダーク・シュナイダーが破壊神の復活を目論む四天王らとの戦闘を繰り広げるダークファンタジー作品「BASTARD‼-暗黒の破壊神-」。その中でかつてのダーク・シュナイダーの右腕にして親友であり、今は四天王の一人として敵対する魔法使い、カル=スの声を担当している小野賢章さん。今年1月~テレビ放送もされた第1期の反響や、1期に続いて世界配信される第2期への意気込みを聞いたほか、普段、どのようなポリシーをもって仕事に臨んでいるのか、その思いを伺いました。
再びカル=スを演じることがとても楽しみだった
――第1期「闇の反逆軍団編」では、ダーク・シュナイダーとアビゲイルの激闘やメタ=リカーナ王国の崩壊などが描かれましたが、その反響は小野さんのもとにどんなふうに届いていましたか?
原作はもちろんのこと、アニメのクオリティもものすごく高い作品ですので、いろいろな方の元へしっかりと届いていたことに喜びを感じていました。
――第2期「地獄の鎮魂歌編」の製作が決まったときの心境を聞かせてください。
僕が演じたカル=スは、1期では物語にずっと登場しているキャラクターではなかったので、彼がこれまで以上に暗躍する様子を2期で描いていただけることが嬉しかったです。
――1期に続いて、2期もNetflixで世界配信されることが決まりましたが、そこにはどのような思いがありますか?
日本が誇るアニメという文化を世界へ発信できる喜びもありますし、原作コミックが最初に世に出たのが1988年とかなり前のものですので、35年の時を経て改めて世界に注目していただけることに感激しています。アニメ化に携わった一人として、このような機会がどんどん増えていったらいいなと思います。
――2期の製作が決まったときに「まだまだカル=スを演じ足りなかった」と発言していましたが、カル=スのどんなところを表現したいと感じたのですか?
単純に、もっと他のキャラクターと会話をしたいと思ったんです。1期でいうと、ダーク・シュナイダーとの、もともとの関係性があった中、破壊神アンスラサクスを復活させようと動き、もうすぐ復活させることができる段階までいったのですが、その過程において、カル=スがどういう意図をもって行動しているのか、そして、ダーク・シュナイダーに対して何を思っているのか、そういうところまできちんと表現しないとただの悪者に受けとられてしまうと思ったんです。2期では、カル=スをもっと深掘りできるようなエピソードが登場するので、再び彼を演じられることが僕としても楽しみです。
カル=スの真意や過去をふまえたうえで、彼の魅力を感じとってほしい
――どのようなところにカル=スの魅力を感じていますか?
容姿端麗であることや圧倒的魔力をもっていることは1期で描かれていましたが、逆にいうと、彼のキャラクター性ってそのあたりしか伝わってないと思うんです。さらに、「ダーク・シュナイダーと、いったいどういう関係なのだろう?」という謎も残したままだった。カル=スにはどんな過去があって、どういうふうに人格が形成されていったのかというのは、7月31日からNetflixで配信開始の2期できちんと描かれますので、作品のファンの方には、最後まで見届けることで彼の魅力をしっかり感じとっていただけると思います。
――作品全体の魅力についても聞かせてください。
これは1期から変わらず、ビジュアルのクオリティが素晴らしいということもそうですし、それぞれのキャラクターがとても個性的で魅力にあふれている。さらに、「ここは明らかにコメディなんだな」、「ギャグ寄りなんだな」というわかりやすいところもあれば、「あれ?これって笑いを狙っているのかな? いったいどっちなんだ!?」とツッコミたくなるようなところが真剣な戦いの場面にいきなり登場して、ツッコミどころが満載なんです。原作へのリスペクトはもちろん、もともともっている原作の面白さがアニメでもしっかり描かれているところが大きな魅力だと思います。
若いうちは、失敗できることも大きな武器
――エンターテインメントの世界で長く活躍なさっていますが、仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことですか?
自分のお芝居に責任をもつことはもちろん、作品において自分が何を求められているかをきちんと把握してから、臨むようにしています。
――声優、俳優、アーティストなど多岐にわたって活動する中、原動力になっているものは何ですか?
大好きなゲームと、支えてくれる家族の存在です。特にゲームは、日々のストレス解消や癒やしにつながっていて、たいせつな息抜きの時間となっています。
――夢や目標を叶えようと奮闘する若い世代の皆さんへアドバイスをお願いします。
僕の場合は、高校を卒業する段階で大学には進学せず、賭けに近い感じで「これしかない!」と他の道を自ら断って、がむしゃらにやってきました。だからといって、必ず成功できるという保証はまったくありませんし、むしろ、確率はかなり低いと思うので、この方法はあまりお勧めできません。月並みなことしか言えませんが、何かを得るためには何かを犠牲にすることが必要だと僕は考えていて、その反動が現在の癒やしであるゲームにきているのですが(苦笑)、若いうちって失敗できることが大きな武器だと思うんですよね。若い世代の方はどんどんチャレンジして、経験を積んでいっていただきたいです。
小野賢章(おの・けんしょう)
1989年10月5日、福岡県生まれ。4歳で子役デビュー後、12歳から10年間、映画「ハリー・ポッター」シリーズの日本語吹き替え版で主人公・ハリーの声を担当。主な出演作に、アニメ「黒子のバスケ」(黒子テツヤ役)、「アイドリッシュセブン」(七瀬陸役)、「文豪ストレイドックス」(芥川龍之介役)、「SPY×FAMILY」(ユーリ・ブライア役)、劇場版「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(ハサウェイ・ノア役)、ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」(リフ役)、「ジャック・ザ・リッパ-」(ダニエル役)など。
◆Official Site:https://animoproduce.co.jp/artists/onokensho/
◆Official Twitter:@ono_kensho
◆Official Instagram:@kenshoono1005

「BASTARD‼-暗黒の破壊神― 地獄の鎮魂歌編」
7月31日(月)よりNetflixにて世界配信スタート
第1期(第1話~第24話) Netflixにて好評配信中!
かつて世界支配を目論んだ古の大魔法使い、ダーク・シュナイダーが封印されてから15年後、世界は破壊神・アンスラサクスの復活を目論む闇の反逆軍団の脅威に晒され、メタ=リカーナ王国にも侵略の手が迫っていた。そんな中、大神官の娘であるティア・ノート=ヨーコの魔法によって、ダーク・シュナイダーの封印が解かれる。圧倒的な魔力で次々と敵を退けるダーク・シュナイダーだが、闇の反逆軍団・四天王の一人、アビゲイルとの戦いの末、メタ=リカーナ王国は崩壊。大爆発の中、すべての者は光の中に消え、行方不明に。2年後、四天王の一人、カル=スは圧倒的な力で「氷の帝王(ハイ=キング)」として君臨。十二魔戦将軍を率いて大軍を編成し、破壊神復活の最後の鍵を握る王女・シーラを探し求めていた。
公式サイト:https://bastard-anime.com/
公式Twitter:@bastard_PR
©萩原一至 集英社・BASTARD!!製作委員会
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子