小澤廉インタビュー2 〜バトンでつなぐ「明日のつくり方」〜
アルバイトをすると、優しくなれる
―アルバイトをされていたのは大学生の頃だそうですね
当時いくつかアルバイトはしていましたが、今の事務所に入る直前まで働いていたのが町田のカフェです。
すごく人気のあるお洒落なお店で、お客さんはもちろん、そこで働きたいって人も多かったと思います。だからバイトの面接も受かるかどうかっていうところだったんですけど、無事に受かって週に3、4回、朝の仕込みから夜まで忙しく働いていましたね。
教育は厳しかったです。人気店だった理由がわかりました(笑)。担当はキッチンだったんですけど、最初は作るのが遅かったので舌打ちとかされて、「あ、舌打ちされた…!?」って(笑)。でも、本当に忙しかったですからね。その気持ちも重々わかった。自分も舌打ちしたかったですもん。
キッチンでは、デザートやアボカドとマグロの丼とかを作っていました。手を動かすのは嫌いじゃないんです。チーズケーキを盛り付ける形なんかも結構自由にやらせてもらえて「次はこうしよう」って考えるのとか、そういうのは好きでしたね。
―働く時に心がけていたことはありますか
やっぱり流れ作業にしないことですね。お客さんに喜んでもらうためには大事なことだと思うんです。
お皿が汚れているとか、水滴が付いているとか、そういうお店もあるけど、自分だったら嫌な思いをすると思うので。僕がお客さんの立場になって嫌だなって思うことはやめようと。
まぁ、そう考えられるようになったのは、お店の厳しい教育のおかげです(笑)。厳しかったけど、それはお客さんを第一に考えてのことだったし。
―アルバイトを通して得たものがあるんですね
アルバイトってお金稼ぐためだけの場所じゃないですよね。優しくなれる(笑)。
たまに飲食店で店員さんに高圧的な態度をとる人を見ると、こういう人ってバイトしたことないのかなって思います。食事をした後に、お皿とかフォークを集めたりする気遣いもできるようになったりますよね。
働くのは大変だろうけど、きっとそこで出会う仲間とかもいるだろうし、得るものもたくさんあるから。だからこれからアルバイトしようという人には、頑張って楽しくバイトしてもらえれば、きっと自分の人生にとっていい結果が待ってる、得るものがあるよって言いたいです。
―アルバイトを辞められたのは事務所に入られる時だったんですね?
バイト代は生活費に充てていた分もあったので、バイトを辞めることは僕としても大きな決断だったんです。
でも事務所に入って、呼ばれたらすぐに飛び込んで行こうと思っていたんですよ。新人だから呼ばれた時に行けないっていうのは絶対NGだなって思って。そのためにはバイトも辞めざるをえなかった。
店長からはちょうどドリンクも任せてもらえるって話をもらってたんですけど、その直後にバイトを辞める話をしたので、もしかしたら店長は、僕が本当はドリンクの担当になるのが嫌で辞めたんだと思っているかも…(笑)。
ただタイミング的には、あまり長く働かないうちに辞めちゃったので、そこは本当に申し訳なかったなって思っています。
人として生まれたからには後悔のない人生を送りたい
―俳優に挑戦しようと思ったきっかけを教えていただけますか
サロンモデルをしていた頃、原宿で歩いていたところを今の事務所の方に声をかけてもらったのがきっかけです。
もともと俳優には興味があったのでちょっと迷ったんですけど、でも当時は四年制の大学に通っていて、ちょうど周りが就活を始める準備をしていた時期だったので、僕も普通に就職しようと一度お断りしたんです。
それで、友だちと一緒に幕張メッセでやっていた企業の合同説明会に行ったりしました。自分はなにか人を喜ばせる仕事に就きたいなって思っていたので、ウエディングプランナーの方から「大変だけどやりがいがある」ってお話を聞いて、ブライダル業界もいいなって思たりして。
でも帰ってきて、鏡の前に立って「これから社会人になる」と思った瞬間に…。
「いや、こっちの道じゃないな」って直感したんです。一般就職じゃないなって。
その日のうちに、いつもお世話になってるサロンの方に電話して後戻りできないよう金髪に染めてもらいました。それからスカウトしてくれた事務所の人に電話して「レッスンからお願いします」って言ったんです。
やっぱり人として生まれたからには後悔のない人生を送りたいと思って。もしかしたら次に生まれ変わる時、ミジンコになっちゃう可能性だってあるじゃないですか。生命を維持すること以外に楽しみを見つけることができる「人」として生まれたっていうのは、これ、宝くじに当たったくらい幸せなことなんじゃないかって思うんですよ(笑)。
だから一回は挑戦してみようって。無理だったらまた他の人生を歩めばいいって思えたんです。
―就職活動をやめるというのは、なかなかできない選択ですね
就職活動はやめても、親を安心させるためにも大学はストレートで卒業しようと思っていたので卒論はちゃんと書きましたよ。
卒論はデビュー作となった『仮面ライダー鎧武』の撮影時期に重なって、これがまた結構大変だったんですけどね(笑)。
カフェではお客さんの立場になって働いたという小澤さん。何事にも真剣に向き合うからこそ、自分の選択に迷いがないのかもしれませんね。さて、次回は小澤さんのこれからについて。特技であるダンスとの出会いについても語っていただきます!
★次回掲載は2月13日(月)を予定。乞うご期待!
小澤 廉 Ren Ozawa
1991年8月12日、神奈川県生まれ。2013年テレビ朝日『仮面ライダー鎧武』で俳優デビュー。
2016年ミュージカル『薄桜鬼』藤堂平助役で初舞台を経験。以降、TV、舞台を中心に活動中。
主な出演作品は、舞台『ダイヤのA』シリーズ主演:沢村栄純役、舞台『FAIRY TAIL』リオン・バスティア役、舞台『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~』十四松役、舞台『あんさんぶるスターズ!』主演:明星スバル役ほか。ダンスボーカルユニット『B2takes!』メンバーとしても活動中。
2017年1月22日よりレギュラーキャストとして日本テレビ系ドラマ『男水!』に平 光希役として出演中。
公式Twitter:https://twitter.com/occult_box
公式ブログ:http://ameblo.jp/a-s-ren
B2takes!公式サイト:http://b2takes.com/
撮影:田形千紘
撮影地:Toile de liberte (トワル ド リベルテ)
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3回に渡ってお届けしてきた小澤さんのインタビュー。最終回の今回は小澤さんのこれからについて。特技であるダンスとの出会いについても語っていただきます。最後はこのバトンが誰に渡るのかもお楽しみに!