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2021年08月24日

高校無償化とは?支援金の支給条件や支給額、受給するための年収制限など仕組みを解説


現在、国や自治体からの支援金制度により、公立高校だけでなく私立高校の学費負担も減ってきています。この記事では、高校の授業料の支援金受給の条件や支援金の額、申請方法など、仕組みについて解説します。

高校無償化とは

高校無償化とは「高等学校等就学支援金制度」という2010年に国が開始した支援金制度のことです。世帯収入など条件を満たせば国公立・私立高校の学費の支援金がもらえ、公立高校であれば実質的な学費の無償化になります。
国からの支給は、直接生徒や保護者に支払われるのではなく、国が都道府県を通して学校に就学支援金を支給し、学校が生徒に代わって授業料に充当するという仕組みになっています。

 

支援金の受給条件

受給するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

在学要件

日本国内に在住し、高等学校等に在学する人が対象です。国公私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)のほか、中等教育学校後期課程や特別支援学校の高等部、高等専門学校(1~3学年)や専修学校(高等課程)なども対象となります。

所得要件

実際に要件に該当するかどうかは、下記の計算式にある課税標準額を基準として判定されます。
年収の目安としては、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の子どもがいる場合で、世帯年収約910万円未満世帯の生徒が対象です。

保護者等の課税標準額×6% - 市町村民税の調整控除額
⇒30万4200円未満の世帯の生徒

※政令指定都市の場合は、「調整控除の額」に3/4を乗じて計算する
※課税標準額は、一般に収入-必要経費(給与所得控除)-所得控除(基礎控除、社会保険料控除等)で求められる

 

支援金の額

支援金の額は、通う高校や世帯収入によって変わってきます。詳しく見ていきましょう。

国公立高校の場合

国公立高校の場合は年間11万8800円を上限に、月額の授業料と同額が支給されます。
公立高校の学費は、定額授業料の場合、全日制は年間11万8800円(月額9,900円)、定時制は年間32,400円(月額2,700円)、通信制は年間6,240円(月額520円)、国立高校は定額制のみで、年間11万5200円(月額9,600円)となります。そのため、世帯年収が約910万円未満であれば実質無償化となります。
なお、国公立の高等専門学校(1~3年)は23万4,600円が支給上限額となります。

私立高校の場合

私立高校の場合は支給額が2段階あります。
世帯年収が約910万円未満であれば年間11万8800円を上限に支給されますが、さらに年収が約590万円未満なら、年間39万6,000円を上限に上乗せで支給されます。この39万6,000円という額は、全国の私立高校の授業料の平均を目安に設定されているので、学校によって実質無償化になる場合と、差額を負担しなくてはならない場合とがあります。
なお、通信制の私立高校の場合は年間29万7,000円が上限となります。

世帯年収と支給額の目安として、文部科学省は下記の年収を公表しています。

■両親共働き、子ども2人の場合

支援の対象となる世帯の年収(目安)
子どもの内訳
支給額:
11万8800円
支給額:
39万6千円
高校生と中学生以下
~1030万円
~660万円
高校生と高校生
~1070万円
~720万円
大学生と高校生
~1090万円
~740万円

 
■両親のうち一方が働き、子どもが2人の場合

支援の対象となる世帯の年収(目安)
子どもの内訳
支給額:
11万8800円
支給額:
39万6千円
高校生と高校生  
~950万円
~640万円
大学生と高校生
~960万円
~650万円

 
出典:文部科学省「2020年4月からの私立高等学校授業料の実質無償化リーフレット」より

 

申請方法と流れ

支援金の概要や申請書類は、学校を通して配布されます。以下で申請の流れと申請方法を解説します。

申請の流れ

入学した4月に必要な書類を学校等に提出します。提出期限については各学校、都道府県によって異なるため、学校からの連絡に従うようにしましょう。
なお、手続きに当たっては地方住民税情報による所得確認が必要になることから、地方住民税が未申告の場合は、事前に必ず住民税の申告を行っておく必要があります。
また、私立高校の場合、地域によっては各自治体が実施する就学支援制度も追加で利用でき、支援金が上乗せされる場合もあります。国の支援金と別で申請する必要があるので、詳しくは各自治体のホームページなどでご確認ください。

申請に必要なもの

申請には、以下の書類の提出が必要となります。

①受給資格認定申請書
②マイナンバーカードの写し等

①の申請書は、学校を通じて配布されます。②は、マイナンバーカードの写しか、マイナンバーが記載された住民票の写しなどが必要となります。原則として、通知カードは使用できないので、事前に確認しておきましょう。

申請方法

申請書を学校に提出するか、オンラインでの申請ができますが、学校によってはオンライン申請に対応していない場合があるので、詳細は学校に確認してみましょう。
提出の場合は、学校から配られた申請書一式と必要書類をまとめて提出します。
オンライン申請の場合は、学校からオンライン申請に必要なIDとパスワードが配布されるので、申請用のサイト(e-Shien)にアクセスして申請手続きを行います。

 

妻のパート収入は、就学支援金にどう影響する?

判定基準となる課税標準額は、両親など保護者の収入を合わせて判定することになっています。夫の収入だけで、ぎりぎりモデル世帯年収590万円相当の要件を満たしていたけれども、妻がパートに出ることによってモデル世帯年収590万円相当の要件を満たさなくなり、高等学校等就学支援金の私立学校等に通う生徒に対する加算支給が受けられなくなる場合もあります。

住民税は、前年の1月~12月までの所得に基づいて翌年6月~翌々年5月分(*)が計算されるので、今年の妻のパート収入が影響するのは、翌年以降の高等学校等就学支援金です。つまり、高校1年時の判定は、子どもが中学2年生の1月~中学3年生の12月までの世帯の収入で判定されるということを覚えておくといいでしょう。
(*)給与から天引きされる特別徴収の場合

※更新履歴
2020年4月23日 公開
2021年8月24日 最終更新

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