「来る」の敬語|尊敬語・謙譲語・丁寧語、使い分け方は?例文付きで紹介
ビジネスシーンやアルバイト中の接客、プライベートの行事など、かしこまった場で「来る」の敬語を使うことは多いものです。ここでは「来る」の敬語にあたる尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けを例文付きで紹介します。
「来る」の敬語の種類
敬語とは、相手に対し敬意やへりくだりを表す言葉遣いです。敬語の種類は主に尊敬語、謙譲語、丁寧語で相手との関係性や状況により使い分けます。ビジネスや日常でよく使う「来る」の敬語表現は次のようになります。
※文化庁の敬語の指針によると、正確には、尊敬語、謙譲語、謙譲語(低調語)、丁寧語、美化語の5つがありますが、この記事では日常的に使われることが多い3つをピックアップしています。
基本形 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
使用方法 | 目上の人に使う。相手を立てるときに使う。 | 自分をへりくだるときに使う。自分がへりくだることで、相手を立てる。 | 聞き手に対して丁寧に述べる言葉。 「です」「ます」「ございます」を付けて使う。相手・内容を問わない。 |
行為をする人 | 相手 | 自分 | 問わない |
来る | いらっしゃる、おいでになる、お越しになる、見える、来られる | 参る、伺う | 来ます |
「来る」の尊敬語
目上の人や自分より立場が上の人が「来る」時に尊敬語を使います。尊敬語とは相手を敬い、立てる気持ちを表す敬語です。「来る」の尊敬語は、いらっしゃる、おいでになる、お越しになる、見える、来られる、などです。
「来る」の謙譲語
自分や身内の人が「来る」「行く」時に謙譲語を使います。謙譲語とは自分がへりくだることで、相対的に相手を立て、敬意を表す敬語です。「来る」の謙譲語は、参る、伺う、などです。
「来る」の丁寧語
丁寧語は、相手との関係性を問わず誰に対しても使うことができます。語尾に「です」「ます」などを付け、相手に対して敬意を払う敬語です。「来る」の丁寧語は、来ます、です。
「来る」の尊敬語の使い方・例文
「来る」の尊敬語は、多くの種類があります。
いらっしゃる
「いらっしゃる」は「来る」の尊敬語の中でも一般的によく使われる敬語です。「いらっしゃいます」の過去形は「いらっしゃいました」の他に「いらした」とも使います。
また、飲食店でよく聞かれる「いらっしゃいませ」は、丁寧語の「ます」に命令形がついた言い回しです。
・10時に〇〇様がいらっしゃいます
・いらっしゃいませ、何名様ですか?
・お客様がいらっしゃいました
・お客様がいらしたようです
おいでになる・お越しになる
「おいでになる」と「お越しになる」は、どちらも「来る」の尊敬語です。特別な使い分け方はありませんが、「おいでになる」は近くから、「お越しになる」は遠方からという印象は強まります。「おいでです」はすでにその場にいることを表します。
・お客様がおいでになりました
・お客様がロビーにおいでです
・お客様がお越しになりました
お見えになる
「お見えになる」は最も敬意の高い「来る」の尊敬語です。先述の「いらっしゃる」「おいでになる」「お越しになる」よりもあらたまった印象になります。
・〇〇社の△△様がお見えになりました
来られる
「来られる」は「来る」の尊敬語の中でも最もくだけた表現になります。相手によっては別の尊敬語を用いたほうがふさわしい場合もありますが、日常的にはよく使われる表現です。
・明日、店長が来られます
・〇〇さんがお店に来られました
「来る」の謙譲語の使い方・例文
「来る」の謙譲語は「伺う」「参る」です。文化庁の区分では「伺う」は謙譲語I、「参る」は謙譲語IIに分類され、敬意を払う対象が違います。
伺う
「伺う」は、<向かう先(相手側又は第三者)>へ敬意を払う言葉です。敬意を払う向かい先から見て、自分や家族や社内の身内の人が来る(=行く)シーンで使います。向かい先が、直接話をしている相手でも、そうでなくても使えます。
なお「お伺いする」は二重敬語となるので、正しくは「伺う」です。
・明日、貴社に伺います
・久しぶりに、現場に伺う予定です
参る
「参る」は、話している<相手>に対して敬意を払う言葉です。そのため、例えば、友人とその場にいない〇〇さんについて話す時は「〇〇さんのお宅に参る」ではなく、「〇〇さんのお宅に伺う」となります。
・明日、お迎えに参ります
「来る」の丁寧語の使い方・例文
来ます
「来る」の丁寧語にあたる「来ます」は、相手との関係性に関わらず幅広く使える敬語です。「来ます」には尊敬の意味は含まれないので、目上の人に対しては、尊敬語や謙譲語を用いるほうがふさわしい場面が多いです。
・配送の方が10時に来ます
・書類を持って来ました