「お大事にしてください」と「お大事になさってください」はどちらが正しい敬語?
「お大事にしてください」は、病気や怪我で体が不調な相手を気遣う言葉ですが、ビジネスシーンなどで目上の人にはどのように使うのが正しいのでしょうか。ここでは「お大事にしてください」の正しい敬語表現や、言い換え表現について解説します。
「お大事に」とは
「お大事に」とは、体調を崩したり怪我をしたりした人に対して、早く良くなることを願い、いたわりの気持ちを伝える言葉です。
「お大事に」の親しい人への使い方
友達や家族、後輩など親しい相手に対して使う場合、「お大事に」とそのまま使うか、「お大事にしてください」と丁寧語を付けるのが一般的です。
「今夜から寒いので、お大事にね」
「お大事に」の敬語表現
「お大事に」や「お大事にしてください」は目上の人には使いません。正しい敬語表現を使うようにしましょう。
「お大事になさってください」
最も一般的な敬語表現は「お大事になさってください」です。「お大事にしてください」よりも「なさってください」の方がより丁寧な言い回しとなります。
「先日ご家族が風邪をひかれたと聞きました。お大事になさってください」
「お大事に」の敬語表現の言い換え例
「お大事になさってください」以外にも使える敬語表現が複数あります。重みやニュアンスが微妙に違うので、場面によって使い分けましょう。
「ご自愛ください」
メールや手紙などで使われることが多いのが「ご自愛ください」です。「どうぞご自愛ください」や「ご自愛くださいませ」とするとより丁寧になります。
なお、「お身体ご自愛ください」は正しくありません。「ご自愛」に自分の身体を大事にするという意味が既に含まれており重複するためです。
「寒くなってきたので、体調を崩さないようご自愛ください」
「お身体をお労りください」
相手に身体を大切にしながら回復するよう努めてほしい時は「お身体をお労りください」を使います。「御身お労りください」 とすることもできます。この表現もメールや手紙の結びに使われることが多いです。
「こちらのことは気にせず、今はゆっくりとお身体をお労りください」
「養生なさってください」
「養生なさってください」は、軽い不調ではなく、重い病気や怪我などで回復に時間がかかりそうな場合に使われることが多く、元の良い状態へ回復することに努めて欲しい意味合いも含みます。
「入院されるそうで、くれぐれも養生なさってください」
「おいといください」
「おいといてください」は、「ご自愛ください」をより優しい口調にした表現です。自分自身をいたわる、大事にする「厭う(いとう)」から来た言葉です。
「しばらく寒さの厳しい日々が続きますが、おいといください」
「くれぐれも、お身体をおいといください」
「お大事に」と言われた時の返し方
相手から「お大事にしてください」と声をかけられたときは、「お心遣いありがとうございます」や「お気遣いいただきありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。
不在にすることで相手に負担をかける場合は、「ご迷惑おかけします」というお詫びの言葉を添えるのがマナーです。復帰の目処が立っていれば復帰日の詳細を伝えたり、引き継ぎ事項があれば申し送りを伝えることも忘れずに。
「お心遣いありがとうございます。〇月△日には復帰する予定です。ご迷惑おかけしますがよろしくお願いいたします」
このように、「お大事に」という相手を気遣う表現の正しい使い方を知っておくことで、さまざまなビジネスシーンで活用することができます。ぜひ実践してみましょう。