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2022年03月23日

会社都合退職とは?自己都合退職との違い、雇用保険(失業保険)の給付への影響についても解説

退職 タウンワークマガジン townwork退職はひとりひとり事情や理由がありますが、ハローワークや行政での手続きでは、会社都合と自己都合で違いがあります。ここでは、会社都合退職と自己都合退職それぞれに該当するケースの違い、雇用保険(いわゆる失業保険。以下、失業保険と記載)の給付の違い、退職後の影響などをご紹介します。

会社都合退職と自己都合退職の意味の違い

退職時の退職理由には、大きく分けると「会社都合退職」と「自己都合退職」があります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。

会社都合退職に該当するケースとは

会社都合退職とは、労働者の事情や意思ではなく、会社の業績や経営状況などによる退職を指します。具体的には、会社の倒産、事業所の廃止、人員整理によるリストラなどが該当します。
契約内容と労働条件が著しく異なっていたり、大幅な給料カットや未払い、慢性的な長時間残業や嫌がらせなど、自らの意思に反し、働くことが困難な状況で、自ら退職したときでも、「会社都合退職」にあてはまることがあります。

<会社側の奨励や事情による退職>
・倒産、事業所の廃止
・人員整理によるリストラ
・会社からの奨励による退職(恒常的な早期退職奨励は該当しない)
・会社側からの解雇(自己の責めに帰すべき重大事由での解雇は除く)
など

<会社側の状況により自ら判断して退職>
・契約内容と実際の労働条件が著しく違う
・大幅な給与カットや未払い
・慢性的な長時間残業
・パワハラやセクハラなど嫌がらせ
など

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省

自己都合退職に該当するケースとは

自己都合退職とは、労働者本人の事情で退職することをいいます。たとえば、転職、自身の結婚・出産・転居・病気など体調不良、家族の介護などでの退職などが該当します。
悪質な規律違反、法令違反などにより、「懲戒解雇」された場合も、自己都合退職にあてはまることがあります。

 

退職までの手続きの違い

会社都合と自己都合では、会社の退職時に必要な手続きや書類が異なります。

会社都合なら、退職届や退職願は原則不要

会社都合退職の場合、労働者側が「退職届や退職願」を提出する必要は基本的にはありません。退職願の役割は、自ら退職を願い出て、意思を伝えるための書類であり、退職届は退職が確定している際に渡す書類です。「退職届や退職願」を提出すれば、退職後に自己都合退職として扱われる可能性があり、失業保険の申請に影響することがあるので注意しましょう。

会社から「退職願や退職届」の提出を求められたときの対処法は、退職理由を「一身上の都合により退職」とはせず、「貴社の事業所閉鎖に伴い、〇〇〇〇年〇月〇日をもって退職いたします」などと記入し、明確に会社都合であることをわかるようにしておくことが大切です。
なお会社都合退職の場合、正社員などの契約期間の定めのない人については、会社は30日以上前に解雇予告を行うか30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があります。また契約期間の定めがある場合でも、3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続して勤務している場合に契約の更新をしない場合は、30日前までに予告しなければならないとされているので、会社がルールを守っていない場合は、労働基準監督署などに相談してみましょう。

自己都合なら、期日までに退職意思を示す

自己都合退職の場合は、会社の就業規則にある期日までに、自ら退職意思を示す必要があります。口頭などで退職意思を伝え、さらに退職届など必要書類を求められたら、規則に沿って書類を提出します。
退職意思の表示タイミングは、退職希望日の1カ月前までとする会社が多いようです。法律上は2週間前までに申し出ればよいことになっていますが、後任への引き継ぎなどを考慮し、早めに意思表示をするのが良いです。
なお、契約期間の定めがある人は、原則、期間満了までは退職できませんが、事情によっては退職に応じてくれることもあるので、会社に相談してみましょう。

 

退職後に出る違い(失業保険、退職金、転職時)

会社都合退職と自己都合退職では、退職後の「失業保険の給付」や、「退職金」「履歴書の記載」にも影響します。

失業保険の給付条件の違い

失業保険の給付とは基本手当のことをいい、会社を退職したあと、失業している一定期間、国から支給される給付金です。会社都合退職と自己都合退職のどちらでも基本手当を受け取ることができますが、基本手当の受給開始までの期間(待機期間)や、トータルの受給期間が異なります。

基本的には個人の事情で辞めた「自己都合退職」よりも、会社側の事情で辞めざるを得なかった「会社都合退職」のほうが、給付金の受給タイミングや日数などで手厚くなっています。

退職 タウンワークマガジン townwork※就職困窮者を除く

たとえば、会社都合退職は、受給資格が認定され、待機期間の7日が経過すればすぐに基本手当を受け取れるようになります。一方で、自己都合退職は、受給資格があると認定されてから2カ月は給付制限期間中となり、基本手当を受け取ることができません。なお、令和2年10月1日以降に離職した人で、直近5年間に退職した人の2回までは待機期間は2カ月、3回目以降は待機期間が3か月となります(※自己都合退職でも懲戒解雇の場合は3カ月となります)。

詳細の規定はそれぞれ異なりますが、基本的に自己都合退職に比べて会社都合退職は給付日数が長くなることで、給付金の総額も多くなる傾向にあります。

<自己都合退職でも失業給付の制限が免除されるケース>
自己都合退職であっても、「特定理由離職者」とみなされた場合は給付制限が免除され、すぐに受給できるケースがあります。たとえば、30日を超える家族の介護、体力不足や心身障害、事業所移転に伴う通勤困難などが認められた場合です。ただ、「特定理由離職者」にあてはまるかどうかは、ハローワークに必要書類を提出、認定してもらう必要がありますので、窓口で相談するとよいでしょう。

退職金の違い

自己都合で退職すると、会社都合退職よりも減額する退職金制度を設けている会社もあります。退職金の有無や支払い額の規定は、会社によって異なるので、就業規則を確認しましょう。

履歴書上の記載の違い

会社都合と自己都合では、転職の際に使う履歴書の職歴欄での記載方法が異なります。会社都合であれば「会社都合により退職」となりますが、自己都合であれば「一身上の都合により退職」等と記入します。

<履歴書の退職理由の記載例>
自己都合退職・・・一身上の都合により退職
会社都合退職・・・会社都合により退職

会社都合退職の注意点として、転職活動において不利になりかねないことがあげられます。転職活動中に採用担当者から、会社都合退職の詳細を聞かれる可能性は十分あることでしょう。自分自身ではどうにもならない会社の問題であれば、経営不振のため、倒産のためなど、履歴書の職歴欄にひとこと理由を添えておくとよいでしょう。

<理由まで記載する場合の記載例>
会社都合により退職 ※会社倒産のため

ただし、人間関係による普通解雇やリストラなどの退職は、転職活動で不利になる可能性がゼロではありません。もちろん、あえて退職理由を書く必要はありませんが、面接でどのように答えるかはあらかじめ対策が必要です。失業給付金をすぐに受給できるメリットもあり、選べるのであれば「会社都合退職」としたくなるかもしれませんが、良く考える必要があります。

 

会社都合退職・自己都合退職のQ&A

派遣社員の有期雇用で契約満了の場合は?

有期雇用の派遣社員の場合、契約満了にあたって同じ派遣会社との更新を望まなければ自己都合退職、派遣会社から次の就業先の紹介がない場合は会社都合退職となる場合もあります。ります。いずれの場合も失業保険の給付の制限はなく、いつから失業保険の給付(基本手当)を受け取れるかは、基本は会社都合退職と同じになります。

契約社員など有期雇用で契約満了の場合は?

期間の定めがある雇用契約の場合、退職にあたってどのように扱われるかはさまざまなパターンがありケースバイケースです。一概に「会社都合」「自己都合」とも言い切れないので、気になる場合は、直接会社の人事に確認してください。

自己都合を会社都合にできるケースとは?

「自己都合退職」で退職したことになっていても、あとから「会社都合退職」にできるケースもあります。パワハラやセクハラ、給料の未払いや大幅な減給、長期にわたる長時間労働など、会社側の問題で自らの判断で退職した場合などです。ただ、ハローワークが認定・判断するので、要相談といえるでしょう。

 

まとめ

同じ退職でも上の解説のような違いはあるので、事前に自分がどちらに当たるのかを確認しておくことが大切です。
なお、退職後、ハローワークでの失業保険の手続き、市区町村で国民健康保険、国民年金、住民税の手続きは、退職後に必要書類をそろえてそれぞれ手続きをしにいきましょう。

詳しくは以下の記事を参照
退職の流れと手続き~社会保険(健康保険・年金)、失業給付、住民税など、やることリストまとめ~

 

■監修
山口剛広

特定社会保険労務士・ハラスメント防止コンサルタント
山口社会保険労務士事務所 代表
2002年山口社会保険労務士事務所を開業。企業のパートナーとして、争いを未然に防ぐための労務相談に力を入れている。行政や省庁が実施する「労働条件審査」において数十社に及ぶ審査実績がある。公的機関などで相談員を務める傍ら、ラジオ出演にて労務相談を担当するなど、〝相談ができる社労士″として活躍している。
https://www.yamaguchi-sr.net/
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