退職理由の例文と上手な伝え方。引き止められにくい・円満退職するための切り出し方も解説
円満に退職するために大切なのは、退職意思を伝えるタイミングと退職理由の伝え方です。伝え方次第で退職交渉が長引いたり、トラブルになる可能性もあります。この記事では、厚生労働省の調査による「仕事を辞めた理由」と合わせて、円満に退職するための退職理由の例文や伝え方のコツについて紹介します。
仕事を辞めた退職理由ランキング
令和5年の厚生労働省の若年層調査によると、初めて勤務した会社をやめた理由は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が28.5%、「人間関係がよくなかった」が26.4%、「賃金の条件がよくなかった」が21.8%、「仕事が自分に合わない」が21.7%の順となっています。労働条件や賃金などのハード面と同様に、人間関係や仕事内容に悩んで辞めた人が多いことがうかがえます。
◾️初めて勤務した会社をやめた主な理由ランキング(単位:%)
| 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 28.5 |
| 人間関係がよくなかった | 26.4 |
| 賃金の条件がよくなかった | 21.8 |
| 仕事が自分に合わない | 21.7 |
| その他 | 16.1 |
| ノルマや責任が重すぎた | 15.2 |
| 結婚、子育てのため | 12.1 |
| 会社に将来性がない | 11.5 |
| 健康上の理由 | 9.4 |
| 自分の技能・能力が活かせられなかった | 6.9 |
| 不明 | 6.3 |
| 不安定な雇用状態が嫌だった | 5.8 |
| 1つの会社に長く勤務する気がなかったため | 5.5 |
| 倒産、整理解雇又は希望退職に応じたため | 3.0 |
| 雇用期間の満了・雇止め | 3.0 |
| 責任のある仕事を任されたかった | 1.4 |
| 家業をつぐ又は手伝うため | 1.0 |
| 介護、看護のため | 0.9 |
| 独立して事業を始めるため | 0.3 |
※3つまでの複数回答
※参照元:厚生労働省 令和5年若年者雇用実態調査の概況 P20より
退職の意思を伝えるタイミングと伝え方
1~2カ月前までに退職の意思を伝える
退職の意思表示のタイミングは、就業規則に則るのがスムーズですが、一般的には退職希望日の1~2カ月前までに伝えるのがよいと言われています。これは引き継ぎにかかる時間や人員の調整期間を考慮したもので、退職までの期間が短いと、業務の引き継ぎが十分できないこともあり得るからです。ある程度余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
繁忙期、人事異動前後などは避けたほうが無難
スムーズな退職を望むなら、繁忙期や人事異動の前後、進行中のプロジェクトの途中での退社は、できれば避けたいところ。会社や周囲の人たちに負担がかかり、引き継ぎにも影響が出てしまう恐れがあります。それでも難しい場合もありますので、その際はできるだけ早めに上司に相談し、退職までのスケジュールを組むことをおすすめします。
円満退職するための退職理由の伝え方・切り出し方
直属の上司にアポイントをとる
退職の意思を最初に伝えるのは直属の上司です。メールなどでアポイントを取ってから口頭で伝えるのがマナー。メールでは「今後のことで相談したいことがあります」と切り出し、退職のことは伏せて、日時の調整までにとどめておくのがよいでしょう。
静かな場所を選び対面で伝える
話を切り出す際は、他の同僚がいる場所を避け、会議室など上司と二人きりになれる場所で直接伝えましょう。お昼や会社帰りのお酒の席などで話すのはおすすめできません。退職の話は「交渉の場」として考え、きちんと話し合える環境で行いましょう。メールや電話での申し出もビジネスマナーとしてはNG。メールでは一方的な報告となり不誠実な印象を与えてしまいます。
感謝の気持ちを伝えた後、はっきり意思表示をする
など、上司や会社に敬意を払い、今までの感謝の気持ちが伝わる表現で切り出すことがポイントです。退職は言いだしにくいことですが、ここははっきり伝えましょう。
とはいえ「〇月×日に辞めます」と、自分都合を主張するのは控えた方が無難。すでに転職が決まっており入社日が確定している場合は、
など、相手を気遣いつつ伝えると印象も和らぐでしょう。退職の交渉をスムーズに進めるためにも、ある程度余裕をもってアポイントをとることをおすすめします。
引き止められにくい・円満退職しやすい退職理由例文
ここでは、円満退職につながりやすい退職理由の伝え方と例文をケース別に紹介します。
「キャリアアップ」が理由の例文
突然のことで大変申し訳ありませんが、〇月×日をもって退職したいと考えております。
かねてより〇〇業界に興味があり、将来のことを考えた時に、今挑戦しないと後悔するという思いに至り、退職を決意しました。
後任への引き継ぎはしっかりやりますので、よろしくお願いいたします」
退職後のステップアップや夢の実現など、将来を見据えた退職理由であれば、上司も引き止めにくく、伝え方によっては応援してくれる場合もあるでしょう。その際、「今の職場ではこの希望は叶えられないので転職はやむを得ない」と理解してもらうことが大切です。強い意志と前向きな気持ち、これまでの感謝も忘れずに伝えましょう。
その他にも、起業・開業、留学、資格取得の勉強なども前向きに受け止めてもらいやすい理由です。
・これまで培ってきた経験を活かして、より専門性の高い仕事に就きたいと思っています
・学生の頃からの夢だった起業を決意しました
・より深い学びを得るために、海外留学を決意いたしました
・スキルアップするために資格取得を目指しており、その勉強に専念したいと思っています
「自身の環境や将来を見直したい」が理由の例文
突然で申し訳ありませんが、今後の人生の方向性やキャリアについて見直したく、〇月×日をもって退職したいと考えております」
具体的な理由を伝えたくない場合におすすめの伝え方です。新しい道を選ぶ決意を示し、引き止めを避けやすいでしょう。
・これまでの働き方や環境を見直し、新たな一歩を踏み出したいと考えるようになりました
「家庭や生活上の事情」が理由の例文
大変申し訳ありませんが、家庭の事情で今後の働き方を見直す必要があり、退職したいと考えています。
誠に勝手ではございますが、〇月×日までに会社を退職させていただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします」
生活スタイルやライフステージの変化などが理由の場合は、比較的スムーズに話が進む傾向にあります。その他、生活の変化による退職理由として、家族の転勤、子どもの就学・進学、親の介護、自身の健康上の理由、結婚などがあげられます。
・子どもが進学を控えており、受験をサポートする時間を作りたく、退職を決意しました
・家族が高齢になり、介護へ専念する必要がある状況になりました
・健康状態が悪化したため、退職してしばらく療養したいと思っています
・私事ですが〇月に結婚することになりました。夫(または妻)と話し合った結果、今後の出産や育児のことを考え、退職したいと考えております
「一身上の都合」と伝える場合の例文
突然のことで大変申し訳ありませんが、誠に勝手ながら、一身上の都合により〇月×日までに会社を退職したいと考えております。
長らくお世話になりましたこと、心より感謝申し上げます。よろしくお願いいたします」
退職理由を具体的に伝えたくない場合「一身上の都合」として問題ありません。「本音を言いにくい」「ネガティブな理由を伝えたくない」などの場合に悪い印象を与えにくいでしょう。
正直に言いづらい場合の伝え方・例文
「負担の少ない働き方に変えたい」 と伝える例文
私事で恐縮ですが、近頃体調不良の波が続き、医師からも生活リズムの見直しを勧められました。長く働き続けるためにも、早期に身体への負担の少ない働き方へ切り替えたいと思いますので、◯月末で退職させていただけますでしょうか」
残業の多さや業務量が不満で退職したいという場合は、健康への配慮や生活リズムの見直しをしたいと言い換えると受け入れられやすいでしょう。病院で医師の診察を受けている場合はその旨を伝えるのも説得力があります。
「自分の強みを活かせる環境を探したい」 と伝える例文
突然のことで大変申し訳ありませんが、〇月×日をもって退職したいと考えております。
理由としましては、今後の自分のキャリアを考え、強みである◯◯を軸に専門性を高め、成果で貢献できる環境に身を置きたいと思っております。
現職で得た知見を最後まで還元できるよう、現チームへの引き継ぎはしっかり準備いたしますので、よろしくお願いいたします」
業務内容や人間関係など職場環境への不満が理由の場合、そのまま伝えると「改善するから」「異動させるから」など、引き止められる要因になることがあります。そうならないよう、自身の適性と環境のミスマッチに置き換え、ポジティブな決断であることを伝えると前向きに受け止められるでしょう。
「評価制度が明確な職場を探したい」 と伝える例文
私事で恐縮ですが、◯月末を目処に退職させていただきたいと思っております。
自身のこの先の長期的な成長を考え、目標設定と評価基準がより明確な環境で、成果を可視化しながら経験の幅を広げたいと考えています。
責任を持って引き継ぎますので、どうぞよろしくお願いいたします」
給与や賞与、昇給制度などに不満がある場合も直接言わず、「評価の透明性」「目標の明確さ」を軸に自身の将来を鑑みて決断したということを伝えるようにしましょう。待遇交渉ではなくキャリア設計の観点に置き換えると、引き止めではなく理解に繋がりやすいでしょう。
会社から引き止められたときの対処法
まずはこれまでのご支援への感謝を伝え、そのうえで退職の意思が変わらないことを簡潔に表明します。「考えさせてください」など曖昧な返答は避け、理由は「将来のキャリア設計のため」など方向性で述べるのが無難です。部署異動や待遇改善の提案に検討余地があるなら期限を切って持ち帰り、そうでなければ丁重に辞退。終始冷静に、引き継ぎ内容と最終日までの貢献を具体的に示すと円満にまとまりやすくなります。
退職理由を伝える時のマナーと注意点
曖昧な言い方や不平不満は避ける
例え会社への不満が退職理由だったとしても、それをありのまま伝えるのは避けましょう。不満をぶつけられると上司の心証が悪くなることに加え、「不満な点は待遇改善をするから」と引き止めの口実にもなりかねません。また「退職しようかと考えておりまして」など、あいまいな言い方をしてしまうと、本気なのか相談されているだけなのか、上司は判断をしかねてしまいます。大切なのは「退職の意思は固まっている」ということを、はっきりと明言することです。
上司より先に周囲には話さない
退職の申し出は、必ず直属の上司へ一番先に伝えます。先に同僚に話してそこから広がると、上司との信頼関係に影響する恐れがあります。上司に面談の時間をとってもらい、できる限り対面で伝えるといいでしょう。話す際は、最初に感謝を伝え、その後に退職の意向を簡潔に伝えましょう。周囲の同僚や取引先への共有は、具体的な退職時期が確定してから上司の指示に沿って行うようにします。
転職活動は会社に知られないように行う
転職先とのやり取りは、私用の端末・私用のメールアドレスで管理し、社用端末の利用や就業時間中の面接は避けましょう。面接の際は有休や時差出勤を活用して時間を確保するといいでしょう。SNSや社内で転職を悟られないよう十分注意し、現職の信頼を損なわない配慮を心がけると円満退職につながります。
退職願・退職届に書く理由は「一身上の都合」でOK
退職願・退職届は会社で決められた書式がある場合や、提出する期限が就業規則に記されていることがあるので、必ず事前に確認しましょう。退職理由は詳細を書く必要はなく、理由が何であっても、書面では「一身上の都合により退職いたします」と書けばOKです。提出後は最終出社日まで気を抜かず、しっかりと業務に取り組みましょう。
業務の引き継ぎは丁寧に行う
スムーズな退職には、丁寧な引き継ぎが欠かせません。自分が担っていた業務が継続的に必要とされる場合、後任の人が困らないように段取りを組んでおくことが大切です。また、お客様や取引先への挨拶や後任者の紹介も重要な引き継ぎの業務です。取引先とも業務上の関係がある場合、自身の退職で先方に不安や混乱を与えないために、退職前に自ら連絡を取り、後任を紹介する場を設けるなど引き継ぎを円滑に進めることで、会社全体の信頼維持にもつながります。
※公開:2020年6月25日、更新履歴:2025年7月24日、2026年1月20日
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