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2017年11月08日

平一洋(ラッコ)インタビュー 『一番大事なのは一緒に働いている人たちを好きになれるかどうか』【俺達の仕事論vol.20】

平一洋 てんてん ラッコ V系 ヴィジュアル系 バンド ロック タウンワークマガジン

日夜、洗練されたメロディやリズムでファンを魅惑し続けるヴィジュアル系バンドのアーティストたち。いまは表舞台で活躍する彼らだが、そこに至るまでには様々な苦労体験や成長エピソードがある。この連載では、そんな彼らが日頃語らない過去の出来事やバイト体験について掘り下げます。

カワイらしいバンド名とは裏腹に、エネルギッシュなサウンドを聴かせてくれる5人組のヴィジュアル系バンド“ラッコ”。今回は私生活が謎に包まれているボーカルの平一洋に、これまで経験してきたバイト遍歴や、今でも好きで続けているファッションの活動について伺いました。

 

車が大好きだったので、最初に働いたのはガソリンスタンド。

――最初にバイトしたのは何歳のときで、どんなきっかけから始めたのでしょうか?

18歳ときですね。中学卒業後に一瞬、専門学校には通ったんですけど、それ以降はなにもせずに、朝起きたらご飯を食べて、また寝て……っていう自堕落な生活を送っていたら、ものすごく太ってしまって……。

――今のスレンダーな平さんからは、想像できませんね。

今より20kgくらい重かったですからね(苦笑)。そんな生活を半年間続けるうちに、親にもいろいろ言われるようになって。重い腰を上げて最初に働いたのが、ガソリンスタンドでした。

――数ある仕事の中でガソリンスタンドを選んだ理由は?

車が好きだったからです。割りとわかりやすい理由です(笑)。バイクを持っていて車も好きだったので、よくバイクのガソリンを入れに行っていたスタンドを選んだんです。でも、3日くらいで辞めてしまいました。

――一体なにがあったのでしょうか?

僕の地元は宮城県の古川市で、真冬になると吹雪くんですよ。そんな中、僕はスタンドの呼び込みで、外に立っていたんですけど、たまたまいた中学のときの先輩はじめ、一緒に働いているほかの人たちは、温かい部屋の中で漫画を読んでいたりして。新人だったけど、お客さんが来ない間は自分もそうしていていいのかなと思ってしまって、先輩たちと同じようにしたら……。

――叱られてしまいましたか。

そうなんです。「おい、仕事中だぞ!」と。そのとき、初めて社会の厳しさを学びました(苦笑)。それがバイト初日で、次の日も行くには行ったものの、僕は中学のときに目立っていたからか、同じ中学だった先輩からキツく当たられて、“やってらんない”と思って、3日で辞めてしまったんです。

――その後、なにか違うバイトを探したのでしょうか?

ガソリンスタンドを辞めた後は、だらだらした日々を送っていんですが、これではいけないと思って“よし今度はちゃんと働こう”と思って、居酒屋で働き始めたんです。

 

居酒屋のバイトが続いた理由は、同僚に好きな人ができたから。

平一洋 てんてん ラッコ V系 ヴィジュアル系 バンド ロック タウンワークマガジン――今度は飲食業を選んだのは、どうしてだったのでしょう?

とくに理由はなくて、近所だしなんとなく、っていう感じでしたね。でも、ほかのバイトは1ヵ月も続かなかったんですけど、その居酒屋だけはそこそこ続いたんです。

――どのくらい続けたんですか?

数ヵ月ですね。ガソリンスタンドでのバイトが3日で終わったことを考えれば、まだがんばったほうかなっていう(笑)。で、どうしてそれだけ続いたかというと、バイト先にいた女の子を好きになったからなんです。

――なるほど、恋は原動力にもなりますからね。バイト=好きな子に会いに行けるような感覚もあったりして?

完全にありましたね。もう、ウキウキしちゃって(笑)。それに、その居酒屋のオーナーさんがヴィジュアル系のバンドが好きな人で、SOPHIAのファンだったんですよ。

――すると、オーナーさんと話が合いますよね。

そうなんです。だから、バイトがある日は楽しくて。

――勤務態度も真面目で。

至って真面目でした。遅刻もせず、少し仕事に慣れてきたら、豚のホルモンをきれいにさばけるようになったり、調理もしたりとか。

――短期間でいろいろ任されるようになったのですね。

でも、好きだった子がそこのお店を辞めてしまったら、一気に仕事に対しての熱が失せてしまって……結局、辞めてしまったんです。その後、昔から仲のいいYOMI(NIGHTMARE)と一緒にピザ屋さんで配達のバイトをしました。

 

世の中が寝静まっている間に、人のためになる仕事をしているというのは誇らしかった。

平一洋 てんてん ラッコ V系 ヴィジュアル系 バンド ロック タウンワークマガジン――そういえば、YOMIさんは「コピーバンドのリハーサルとバイトのスケジュールをダブルブッキングしてしまって、バイトをズル休みしたら店長さんと道で偶然会ってしまった」と言っていました(笑)。

僕も、同じようなことしちゃいました。仮病でバイトを休んで楽しくバイクに乗っていたら、店長さんとすれ違うっていう(苦笑)。僕とYOMIの地元・古川は狭い町だから、たいがいそうやってバレちゃうんですよね。20歳くらいからバンドを始めて。ほどなく仙台市内でひとり暮らしをするようになるんですけど、そのときは親の仕送りをもらっていたから、働くことはなく。親の脛をかじったまま上京したんです。

――上京してから、バイトは?

今やっているラッコに至るまでいくつかバンドを組んだんですけど、バンドをやっている間は、モデルの仕事をするほかはバイトはしていませんでした。ひとつバンドが終わって次のバンドを組むまでの間に、いくつかしたくらいですね。たとえばカラオケ屋とか。

――音楽にまつわる仕事だからか、カラオケは多くのミュージシャンの人が経験するバイトですよね。

そうなんですよね。そのときの僕がやっていたKuRt(カート)というバンドが解散したばかりで、もうバンドで夢を追うのは辞めようかなと思っていた時期だったんですけど、カラオケ屋の個室の掃除をするときとかにいろいろなバンドのミュージックビデオを見かけると、悔しくなっちゃって。それでカラオケ屋も辞めちゃったんです(苦笑)。だから、次は音楽にまつわる仕事はやめようと思って、終電後の線路内に入る線路の補修工事のバイトをしました。

――カラオケ屋さんから線路の修復工事とは、すごい振り幅ですね。

そうですね(笑)。夜のトンネル内は、湿気がすごいんですが、薄暗くて、ネズミが走り周っていたりして映画の世界みたいで楽しかったし、世の中が寝静まっている間に人のためになる仕事をしているというのは誇らしくもあったし。やり甲斐はありましたね。それに、日給10,000円以上もらえて、日によって2時間くらいで作業が終わるんですよ。

 

モデルの仕事は、これまでに培ってきたものがあったので戸惑うことはなかった。

平一洋 てんてん ラッコ V系 ヴィジュアル系 バンド ロック タウンワークマガジン――割のいい仕事だったりもするのですね。

そうですね。時給に換算したら1時間6,000円くらいのときもあるから、ありがたかったですね。

――なお、先ほどモデルの仕事と言っていましたが、モデルってなりたいと思ってもそう簡単になれないわけで……どういう経緯で始めたのでしょうか?

アパレルブランドで働いている知り合いから頼まれたのがきっかけで、そのブランドの服を着てオフィシャルサイトやツイッターに掲載する写真のモデルをやりました。

――アーティストとして写真を撮られるのは慣れていても、商品を素敵に見せるためのモデルとして写真を撮られるとなると、最初は戸惑ったりしませんでしたか?

確かに、モデルの場合は商品ありきで撮られるわけですけど……。でも、アーティストとして写真を撮られて培ってきたものがあるからか、そんなに戸惑うことはなくて。どうしたらその服がよく見えるかっていうことを、自分から提案したりとかもしました。

――元々オシャレが好きだったのが活かされていたりも?

まず、僕をモデルに使ってくれてありがとうっていう気持ちがありましたし、昔から服に興味があったので、モデルの仕事は楽しかったですね。アパレル関係の仕事には今でも興味があります。最近はバンド活動が忙しくなってなかなか出来ないけれど、時間があるときには服のデザインをしたり、韓国まで行って服を買いつけに行ったりしています。“デザインフェスタ”(年2回、東京で行われるアート・イベント)に出品したりもしているんですよ。そのときはブースに立って、伝票書きをしたり、レジ打ちをしたりもしています。

――表に立つことだけでなく、裏方的なことまで。

基本的にファッションが好きなんでしょうね。それと少数精鋭で信頼できる人たち同士でやっていますから、表に立っていても裏にいても、デザイン・フェスタの作業も楽しいです。

 

信頼関係を作れば、叱られるにしても愛を感じられる。

平一洋 てんてん ラッコ V系 ヴィジュアル系 バンド ロック タウンワークマガジン――そんな平さんが今思う、働くにあたって大事なこととは?

その仕事が好きかどうか、好きになれるかどうかも大事だけど、一番大事なのは一緒に働いている人たちを好きになれるかどうかじゃないですかね。人間関係がうまくいっていないと、お金のためにっていう動機だけじゃ続かないと、僕は思います。

――それは、バンドにも通じますよね。

そうですね。こいつだから任せられる、こいつだから許せる、お互いにそういう信頼関係がちゃんとできていないと、バンドもバイトもうまくいかないですから。

――では、これからバイトをしようと思っている人へ伝えたいことは?

なかなか仕事が長続きしなかった僕が言えるのは……興味の持てる仕事を探して、職場に入ったら仕事を覚えるよりも先に、一緒に働く人たちとの信頼関係を築いたほうがいいんじゃないかなということですね。そうすれば叱られるにしても愛を感じられるだろうし、結果的に早く仕事を覚えられて、やりがいも見つかると思うので。人を大事に、ということを心がけてみてください。

 

■Profile
平一洋

2016年結成の5人組ロックバンド“ラッコ”のボーカリスト。その端正は顔立ちと、メッセージ性の強い歌詞、そしてエネルギッシュなライブパフォーマンスでカリスマ的人気を誇る。2017年10月より“てんてん”から本名である“平一洋”に改名した。

◆ラッコ OFFICIAL WEB SITE:http://lack-co.com/
◆ラッコ Official Twitter:@LACK_COofficial
◆平一洋 Official Twitter:@lack_co1010

企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:杉江優花 撮影:hiLo

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