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2016年12月27日

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE®)インタビュー「失敗を活かしていくことが一番大事」【アイドルシゴト Vol.16】

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE)毎週火曜日に公開している「アイドルシゴト」。この企画は、アイドルたちが普段考えているシゴトのやりがいやシゴト観についてインタビューする連載です。
今回は、以前はBiSに所属され、現在はネオ80’sをコンセプトにした“NOT IDOL”音楽グループ、BILLIE IDLE®の「ひと夏の経験」担当、ファーストサマーウイカさんに話を伺います。

 

役者で成功するために23歳で大阪から上京

――ファーストサマーウイカさんは元BiSのメンバーでしたが、加入のキッカケは?

高校を卒業したあとすぐに地元大阪で劇団に入りました。そこでアルバイトをしながらずっと役者をしていたんですけど、お仕事になるような活動はできないまま続けていました。23歳になるときにこのまま大阪にいてもダメなんじゃないかと思って、一大決心をしてアルバイトして貯めたお金を使って23歳の春に上京しました。

上京して2週間後に、前にいたBiSのオーディションに合格して。役者として成功するために上京したんですけど、突然アイドルになることになりました。そこから1年半活動して、BiSが2014年の7月に解散したので、その後に今のBILLIE IDLE®に入ることになりました。

――役者には戻らなかったんですね。

BiSが解散したあとに悩んでた時期はありました。「今からまた役者をはじめてもいいけど、せっかくいろんなフェスとかアイドルのライブに出させてもらって、音楽の世界を経験させてもらったからどうしようかな」って。そんなときに、今のプロデューサーのNIGO®さんから声を掛けてもらって、ヒラノノゾミ(元BiS、現BILLIE IDLE®メンバー)と私で新しいグループを作ろうってなって作ったのがBILLIE IDLE®です。
“IDLE”は、読み方は一緒だけどアイドルグループとかの“IDOL”ではなくて「怠惰」とか「怠けている」という意味がある単語を使っています。アイドルではないけども、バンドでもない、新しい“NOT IDOL”を始めてみたらいいんじゃないかなという思いで始めました。

 

私が発信することによってその人の人生に何か影響を及ぼしたい

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE)――学生の頃から芸能の仕事をしたいという気持ちはあった?

具体的にはなかったですね。高校を卒業して進路を決めるとき芸能関係に興味はあったけど、芸術大学に入っても将来成功する保証はないから、運任せに高い学費を払うわけにはいかないなと思ったので、確実に技術とか経験を積める劇団を選びました。なのですごく女優になりたいとか、そういう明確なものはなくて、とりあえずやってみようかなという感じでした。

私、中高でバンドをやってて、ドラムはそれ以外も合わせると10年くらいやっていたので、バンドとして音楽の道に進む方法もあったんですけど、ドラムってその場から動けなくて孤独なんですよね(笑) だから動けるものをって考えたときに役者をやろうと思いました。

――なにか表現をしたいと考えを持っているんですね。

そうですね。これはちっちゃい頃から変わってなくて、昔から自分で脚本を書いてお芝居をやったり、文化祭の実行委員をやったり、そういう楽しげなことをするのが好きでした。

――なぜ表現をしたいと思う?

人を笑わせたいんですかね(笑)。その形はコメディでもいいし、音楽でもいいと思うんですけど、何か普段とは別の気持ちや感情を人に与えたいと思ってるんです。私が発信することによってその人の人生に何か影響を及ぼしたいなと考えてます。

 

アイドルグループには誰一人周りを生かそうと思ってる人間はいないと思う(笑)

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE)――人と関わったり打ち解けたりすることが好き?

たぶん人を笑わせたいとか、影響を与えたいというのはステージに立ってるときの気持ちではあるんですけど、このお仕事ってステージに立ってる瞬間はほんの一瞬で、大きいステージを作るために、何ヶ月・何年ってたくさんの時間を費やして準備をしてるじゃないですか。それってどうやって作ってるのかっていうと、人と人だと思うんです。そういう共同で何かを作り上げる作業が好きだから、これまでも今もグループで活動しているんだと思います。

――BiS時代はどうやってグループやステージを作り上げてた?

BiS時代はそれぞれのメンバーが自己中心的で、言うならば個人事業主の集まりのようでした。バンドとかだったらそれぞれパートが違ったりするのでお互いを殺し合うことはそんなにないじゃないですか。でもアイドルグループの場合は、誰一人周りを活かそうと思ってる人間はいないと思うんですよ(笑)。みんな自分が一番目立ちたいし、売れたいだろうから。その中でそれぞれのメンバーが、同じじゃなくて違う方向に向けて自分の道を100%の力で進むことによって、グループの実力や魅力の幅がより大きくなっていくんだろうなって思います。

――BiSも各々が自分の道を進む感じだった?

特にあのグループは出入りが激しくて、今では私が所属していた解散した時代のことを「伝説の6人だった」とか言ってもらうことも多いんですけど、私からしたら初期メンバーでもなく、途中から入っておいしいところをもらってた感じだから、あんまりそういう気持ちはないんです。でも恐らく各々が必死に解散に向かってもがいていたから、外からは良い形に見えてたんだろうなって感じます。

 

BILLIE IDLE®を還暦までやろうと思ってる

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE)――BILLIE IDLE®でどんなことをしていきたい?

BILLIE IDLE®のメンバーはドロップアウトしていたような人間の集まりなので、彼女たちに働く喜びや働かなきゃ生きていけないんだよってことを教えてあげたいっていうのはありますね(笑)。「好きなことをしながらお金を稼げる、でも好きなことをやるには楽しいことだけじゃないぞ」って教えながらも、働く楽しさを得る場を提供してあげたいからBILLIE IDLE®が潰れないように活動していきたいなって思ってます。

――個人としてはどういうことをしていきたい?

BILLIE IDLE®という組織を、還暦までやってみようかなと思ってます(笑)。『どんなアイドルグループでも解散してしまうこともある。でも“NOT IDOL”なら還暦にも手が届くかもしれない』って思うんですよ。私はこれまで流木のように流れ着いた先で何かを見つけてやってきたような人生なので、もしBILLIE IDLE®がこの先続かなかったとしても、また流れ着いた先で何かを見つけられるんじゃないかなって思います。

 

テレアポのバイトでは社長相手に心理学を駆使していた

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE)――バイト資金で上京と仰られてましたが、どんなバイトを?

いろいろやりました。高校生になってから初めてやったバイトはレストランでした。その後はホテルで配膳や、ドラッグストア、サンプリング、アンケート調査のバイトもやりましたね。
一番長く続いたのはテレアポのバイトで、そのバイトで上京資金も貯めました。テレアポは発信する方で、会社の社長に電話を繋いでもらってソフトウェアを販売する仕事でした。契約が取れると給料の他に歩合がついたので、調子よく契約が取れた月はけっこう稼げました。

――社長相手だと簡単なものじゃないと思いますがどうやって?

20歳そこそこの娘が社長相手に営業をするので、心理学的なことをいろいろ駆使しました。たとえば相手の意見に対して絶対にノーを言わない、否定するときも一回飲み込んでから新しい提案をするとか、7回接触したら親近感が湧くから根気よく掛けるとか、いろいろやりましたね。そのおかげで電話を掛けることに対してそんなに抵抗がなくなったし、人に直接会うことも怖くなくなりました。コミュニケーション能力も上がったので、そのときの経験が今でも活きてるのかもしれないですね。

 

仕事というのは自分が仕事に合わせにいって初めて新しい自分を見つけることができる

ファーストサマーウイカ(BILLIE IDLE)――中学校時代に、部活で自分以外の全員に注意された経験があると聞きましたが

中学時代、私がなんでも口に出す性格だったので部活の中で目をつけられていたようで、ある日部室に入ると全員が待っていて「みんなから話があるんだけど」ってことがありました。
でも、そういった出来事があったから自分の悪い部分に気づけました。これは今にもつながっていて、音楽活動は人と人がやっているものだから関係が破綻したらいいものは作れないので、うまく行かないときもコミュニケーションをちゃんと取るように意識するようにしています。中学時代の経験がなかったらもっと歪んだ人間だったかもしれないですね(笑)

――ウイカさんは失敗から学んで成長するっていう意識が強いんですね

人の失敗談は聞くようにしてます。もちろん成功談も聞きますけどね。その成功に至るまでの失敗談をできるだけ聞いて、「その状況、自分ならどうするだろう」って考えたり、そこからどうやって成功していったのかっていうのを聞いていくと、自分の人生は一度しかないけど、話を聞いただけ人生を歩めた気になれるんです。失敗してへこんだりすることもあるんですけど、それを忘れないで活かしていくことは、もしかしたらこの世界で一番大事なことかもしれないです。

――ありがとうございました。最後に、これから仕事を探す人たちに向けてメッセージを!

私も昔は自分に合った仕事を探そうとしてたんです。そうじゃなくて、仕事というのは自分が仕事に合わせにいって初めて新しい自分を見つけることができるんじゃないかなって思うんですよ。自分がその仕事にどうやって適応していけるようになれるかっていうのをゲームのようにやった方が意外と長く続いたりすると思います。この世界は人の“縁”とお金の“円”でまわっているから、出会ったたった一人の人間で人生が変わるかもしれないし、そのとき稼いだお金で変わる可能性もあるから、バイトだからって軽んじない方がいいと思います。悩めるうちが華なんで、いっぱい悩んでチャレンジしてみてください。

 

■Profile
ファーストサマーウイカ

1990年6月4日生まれ
Twitter: @FirstSummerUika
■BILLIE IDLE®情報
公式HP:http://www.billieidle.com/
公式Twitter:@b_idle_official

企画・編集:SADD 取材・文:永山あるみ(@ayutama_xoxo
撮影:八木虎造

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