新井ひとみ(東京女子流)インタビュー「辛いときを乗り越えると、仲間への感謝の気持ちが大きくなる」【アイドルシゴト vol.52】
2010年、ガールズ・ダンス&ボーカル・グループ・東京女子流のメンバーとしてデビューした新井ひとみさん。8年間の活動を経て感じたことや、自分自身の変化した部分についてお話を伺いました。小学生でデビューし、間もなく20歳を迎える彼女のこれまでの活動に迫ります。
東京女子流に加入した直後はついていくのがやっとだった
――12歳でのとき芸能界に入った新井さんですが、この世界に入ったきっかけを教えてください。
小さい頃から歌うことが大好きでした。きっかけは、いつも童謡を歌って聴かせてくれていたおばあちゃんの影響が大きいですね。それ以外にも、テレビや雑誌に出ているモデルさん達を見て、私もこういうことをやってみたいなと憧れていました。
所属事務所であるエイベックスに入ったのはオーディションがきっかけです。8歳の頃、オーディション雑誌を見た母に勧められて、モデル志望としてオーディションを受けました。
1年目はモデルのレッスンだけだったんですが、その後は歌やダンス、演技のレッスンも受けるようになりました。そして、ある日演技レッスンを見ていた後の東京女子流のスタッフの方の目に止まってオーディション受けることになり、東京女子流のメンバーになりました。
メンバーになったものの、最初は大変なことが多かったですね。例えば加入当時(結成間もない)の東京女子流はオリジナル曲がなかったので、一番最初のライブに向けて短期間でカバー曲10曲を覚えなければならなかったり。合宿でダンスの稽古をするときも、周りに比べてダンス経験が少なかったので置かれていかれないように必死についていかなきゃいけなかったりと、けっこう苦労しました。
でも、何とか食らいついていった結果、一番最初のライブで納得できるパフォーマンスをすることができました。
体調不良をカバーしてくれたメンバーに芽生えた感謝の気持ち
――これまでの東京女子流での活動の中で一番成長できた経験は何でしょうか?
2012年から2年連続で武道館のステージに立たせていただいたことです。自分の中ですごく大きい成功体験ですね。コツコツと段階を積み上げていった結果立てた大きなステージだったので、普段のステージではできないようなパフォーマンスができましたし、自分自身の自信に繋がりました。
初めて武道館のステージに立った時はビックリしました! こんなにもお客さんの顔が見えるものなのかって(笑)。緊張もありましたけど、それまでのリハーサルでできる準備はしっかりしてきた自信はあったので、あとは楽しむしかないと思い、本番では思いっきり楽しむことができました。
――一方でもっとも辛かった経験はなんでしょうか?
2013年の「3rd JAPAN TOUR」の時に、メンバーみんなが体調を崩してしまったことが一番大変でした。あと今年の2月に急性気管支炎になってしまい、全曲を披露するライブに出られなかった時はすごく辛かったですね。
この“全曲ライブ”の成功に向けてみんなでずっと走ってきたのに、私がライブに出られないがためにたくさんの方が直前で予定が変更になってしまって…。メンバーが対応してくれていることが申し訳なかったし、そのときはすごく辛かったです。
その時は配信で全曲ライブの様子を観ていたんですけど、メンバーみんな必死になってカバーしてくれていました。私が帰ってこられるように立ち位置や歌のパートを残してくれていたり、MCでも私の話をしてくれていたり。ライブに出られなくて悔しい気持ちもあったんですけど、それ以上にメンバーに対する感謝の気持ちと、こんなに頼もしいメンバーに出会えてよかったなという気持ちになりました。
改めてグループの大切さや、いろいろなことを感じ取れた期間だったなと思います。休んでいた分、もっと恩返ししなければいけないなって気持ちも生まれました。
どんなことにも意味があると知ったアルバイト経験
――若いころから芸能界で活躍している新井さんですが、アルバイト経験はありますか?
夏休みに大学の授業の一環として、一日だけ和食屋さんお仕事を体験したことがあります。他に参加していた学生の人たちはみんなアルバイト経験がある人たちばかりで慣れていたんですけど、私は注文を取ることでさえ緊張してしまって、最初の方はなかなか注文へ行くことできもませんでした。
緊張してお客さんに注ぐ水をこぼしてしまったり失敗もしてしまったんですが、お客さんや周りで一緒に働いている方たちも優しい方ばかりでフォローしてくれたおかげで何とかこなすことができました。
もし私が飲食店で働くとなったら、ホールでの接客ではなくキッチンで調理や食器洗いをしていたいですね。それだけ私にとって接客は難しいものでした(笑)。
一日だけの体験だったんですが、学んだことは少なくなかったです。例えば店内に飾るお花や、お盆の上に載せる食器や箸置きの位置など、それぞれに意味があることを知りました。普段はお客さんとして飲食店に行くから知らなかったけど、たくさんの意味や理由があって飲食店が成り立っているんだと実感できました。
がむしゃらに頑張るだけでなく物事を考えられるようになった
――たった1日でも職業体験で得られたことは多かったみたいですね。話をアイドル活動に戻しましょう。これまでの活動の中で自分自身の中で一番変化したことはありますか?
一番大きく変化したなと感じた部分はダンスです。歌が大好きで、ダンスはあまりやったことがなかったので苦手意識があったんですけど、ダンスレッスンを受けて上手な人のダンスを取り入れてみたり、向上心を持って取り組んだことで、ダンスに興味を持てましたし、上達することもできました。
気持ちの面では、昔と比べてちゃんと物事を考えられるようになったと思います。グループに加入したての頃はただがむしゃらに頑張ろうという気持ちだけで貫き通している部分が大きかったですけど、今はどうすればライブでファンのみなさんが喜んでくれるかということや、歌の良さを伝えるにはどうすればいいかなども、よく考えるようにもなりました。
特に“全曲ライブ”に向けて準備しているときの経験は大きかったと思います。東京女子流の楽曲はおよそ7~80曲あるんですけど、歌詞の意味やダンスの振り付けの魅力を見つめ直したら、改めて良さを実感できたんです。そうなると、もっとたくさんの方にそれを届けたいという気持ちがより一層強くなりました。たくさんの感謝の気持ちを持ってこれからも活動していきたいですね。
新井ひとみ(あらい・ひとみ)
1998年4月10日生まれ。宮城県出身。
2010年、ガールズ・ダンス&ボーカル・グループ、東京女子流のメンバーとしてデビュー。高い歌唱力からセンターを務めることが多い。大学では中国語を勉強中。
Twitter: @Hitomi_TGSJP
東京女子流HP:http://tokyogirlsstyle.jp/
取材・文 永山あるみ 撮影:八木虎造
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。