坊主×辛酸なめ子の“バイト選手権”スペシャル対談
ツイッターでさまざまな選手権を開催し、話題を集めている謎のアルファツイッタラー・坊主さんとタウンワークマガジンとのコラボ企画【バイト選手権】。今回はスピンオフ企画として坊主さんのツイッターアイコンイラストの作者である辛酸なめ子さんとの対談が実現!
前半では謎多き坊主さんの実態についてなめ子さんが迫ります。中盤〜後半では現在の選手権を始めるきっかけや思い出の選手権について、さらには坊主さんの選手権に対しての想いを語っていただきました。
私のネットでの活動は親や兄弟も知らない(坊主さん)
――お二人はお互いを認識してお会いになるのは初めてなんですよね。
坊主 そうです。バカなので難しい仏教の質問は苦手です! よろしくお願いいたします。
辛酸なめ子 あ、はい(笑)。こちらこそよろしくお願いいたします。今も、お寺でお勤めされているんですか?
坊主 しています。都内のお寺で。法事や塔婆(お墓の後ろ側に立てる故人の供養のための細長い木の板)を書いたり、お墓の掃除をしたり。
辛酸なめ子 火渡りとか崖から逆さ吊りとか、過酷な修行をされたりもするんですか?
坊主 そこまでのことは全然(笑)。修行期間の4年間、座禅とか作務(掃除などの労務)はしましたけどね。ちなみに、親や兄弟は僕がこういうふうになっていることを知らないんですよ。
辛酸なめ子 こういうふうというのは、ネットでの活動のこととか?
坊主 ですね。たぶん、知らないと思います。
辛酸なめ子 副業として新宿ゴールデン街でバーテンダーをされていることは?
坊主 それはちらっとは話しているんですけど、坊主バーをクビになったことは言っていないです。
辛酸なめ子 ツイッターのプロフィールに書いてある通り、本当に“ポケモンGOのやりすぎ”で破門になったんですか?
坊主 いや、実は僕、一度もポケモンGOをやったことがないんですよ。
辛酸なめ子 え、そうだったんですね。
坊主 ゲームは基本やらないし、アニメも全然観たりしないんです。
辛酸なめ子 そのへん、ストイックなんですね。趣味はあるんですか?
坊主 そうですねぇ……ツイッターですかね。
辛酸なめ子 なるほど、更新頻度がものすごく高いですもんね(笑)。
坊主さんに興味津々で、勝手にイラストを描かせていただきました(辛酸なめ子)
――なめ子さんが坊主さんのイラストを書こうと思ったきっかけというのは?
坊主 僕が働いているときに、なめ子さんがこっそり坊主バーにいらっしゃったんですよね。全然気づかなかったんですけど。
辛酸なめ子 その前にも行ったことがあるんですけど、私としては当時からツイッターを賑わせていた坊主さんに興味津々で。実際にお店でお見かけした坊主さんをぜひ描きたい!と思いまして、思い出しながら勝手にイラストを描かせていただきました(笑)。結局、坊主さんが坊主バーをやめた理由というのは……。
坊主 いろいろありましたけど、最後はツイッターで炎上させてしまって店長に迷惑をかけてしまったので辞めることになりました。
辛酸なめ子 せ、せつない(笑)。
寄せられるネタだったら炎上するリスクが少ないと思って、“選手権”シリーズを始めました(坊主さん)
――坊主さんはツイッターで“選手権”シリーズを頻繁に開催し、いろいろなジャンルの“あるある”で楽しませてくれていますが、そこに至った経緯というのは?
坊主 坊主バーをやめたあと、ひとりでツイッターをせっせと更新するようになったんですよ。最初は仏教のこととか、坊主あるあるをつぶやいていたんですけど、すぐにネタ切れになってしまって。でも、みなさんから寄せられるネタだったら豊富にあるし炎上するリスクがないんじゃないかなと思って(笑)、ちょうど1年前くらいから“選手権”シリーズを始めました。
辛酸なめ子 1日にいくつも更新されていますよね。
坊主 5、6個ですね。「こういうお題でお願いします」っていうDMもきますし、お題募集の固定ツイートにリツイートしてくれたりもしますし。そこから自分が好きなネタで選手権を開催して、“いいね”がたくさんついたものの中から最優秀賞とか金賞を選んでいたら、ものすごく流行り始めて。
辛酸なめ子 フォロワーが55万強(3月中旬現在)とか、すごい数だなと。
ツイッターをチェックしている姿は人には見せないようにこっそりやっています(笑)(坊主さん)
坊主 月5万人くらい増えていた時期もありましたから。
辛酸なめ子 フォロワーを増やしたい人は、選手権みたいな企画を開催するといいかもしれませんね。
坊主 みなさんからネタを募集するっていうやり方は、卑怯といえば卑怯なんですけどね(笑)。誰もやったことがなかったことだから、みなさんにも楽しんで参加していただけているのかなと。
辛酸なめ子 お寺でお仕事されながらも、こまめにツイッターをチェックしたりとか。
坊主 チェックしていますよ。もちろん仕事はきっちりやりつつ、そういう姿は人には見せないようにこっそりやっています(笑)。
辛酸なめ子 中でも思い出深いのは、どんな選手権でしょう。
坊主 いろいろありますけど、“彼女が屁をこいてしまった時の紳士な対処法選手権”での、“君のオナラなんて屁でもないさ”とかは特に印象深いですね。
辛酸なめ子 確かに紳士的だし、おしゃれ。タウンワークマガジンとコラボした“選手権”シリーズも続々更新中ですが、第1回の“コンビニでバイトした人にしか分からないこと選手権”では、“レシート要らないアピールの手がうざい”とか、初めて知ることもあって。
坊主 “トイレ目的の人愛してる”も意外でしたよね。
辛酸なめ子 これまではトイレを借りるのに、すごく申し訳ないと思っていたけど、なにも買わずに出ていくのも店員さんに負担をかけないという意味ではOKなのかな? と思ったりして。
坊主 そういうことになるかもしれませんね。第3回の“居酒屋でバイトした人にしか分からないこと選手権”にしても、バイトする人の悲喜こもごもを感じたりとか。
辛酸なめ子 本当に。今後は、どういうアルバイトネタの選手権を開催したらおもしろそうですかね。
坊主 “ペットショップでバイトした人しかわからない選手権”とか、どうですかね。ペットショップでのバイト経験がある人はそんなに多くないでしょうけど、きっと動物の絵だったらなめ子さんが絵を描きやすいんじゃないかなと。
辛酸なめ子 ご配慮ありがとうございます。タウンワークでの“選手権”シリーズ、何回目指します?
坊主 とりあえず、炎上するまでですかね(笑)。今のところは僕のフォロワーのみなさんに楽しんでいただけていて、“選手権”シリーズのおもしろい投稿には “いいね”が数千ついたりするわけですけど……。
辛酸なめ子 普通に生きていて、そんなに承認欲求が満たされることってないですよね。
面白そうと思う仕事は、きっと魂が直感的にやりたがっている仕事だと思います(辛酸なめ子)
坊主 そう、それが最高にうれしくて病みつきになるらしくて。そういう形でみなさんの心を満たせるならば、という想いもあるんですよ。誰かに認めてもらったり、たくさんの人に自分の発想を楽しんでもらったりすると、やっぱり自信もつきますから。ま、“選手権”シリーズを始めてから、ものすごく目が悪くなりましたけどね(苦笑)。
辛酸なめ子 そうなんですか⁉
坊主 人のネタを使ってラクをしていると思う人もいるかもしれないですけど、1日何時間もスマホの画面に向かってかけていたりしますからね。
辛酸なめ子 そう考えると、ラクな仕事はないですよね。お金的においしいんじゃないかと思う仕事でも、大変なことって絶対にあるし。好きなことを仕事にしても、私のようにノロウイルスやインフルエンザにかかっても締め切りは待ってくれないときもありますし(苦笑)。でも、この記事を読んでくれている若者がもしおもしろそうだなと思えるものに出会ったなら、それは魂が直感的にやりたがっている仕事だろうから、その道を突き進んでほしいなと思ったりもします。
坊主 そうですね。なにか目指しているものがないなら、とりあえず“選手権”シリーズに参加してみるとか。“いいね”がたくさんもらえるかもしれないし(笑)。
辛酸なめ子 その経験があれば、のちのち仕事をするときに自信を持って運命を変えられるかもしれないですもんね。私もいつか“選手権”シリーズに投稿して、“いいね”をたくさんもらいたくなりました(笑)。
■Profile

坊主 @bozu_108
かつて四谷坊主バーで働いていた謎の坊主。現在は新宿ゴールデン街でバーテンを勤めている。連日twitterにて様々なお題の選手権を開催し、多くの反響を獲得している。2018年1月末現在のtwitterフォロワー数は55万強。

辛酸なめ子 @godblessnameko
雑誌やテレビ、webなどで活動中の漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。興味対象はセレブ、芸能人、精神世界、開運、風変わりなイベントなど。著書は「辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」裏道マップ」「魂活道場」「おしゃ修行」など多数。
企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:杉江優花 撮影:花井透
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。