初対面でも話題が見つかる会話のテンプレ集【大学生向け】
大学に登校できるようになった大学生も増えてきたと思いますが、オンライン講義に慣れすぎて、いざ会うとほぼ初対面!話すネタ?話題?思いつかない!と焦ってしまう人もいるでしょう。今回は、元コミュ障という経験を生かした会話術を提案するニッポン放送のアナウンサー吉田尚記さんに、初対面の人向けの会話テンプレを教えてもらいました。
最初の会話は「どうでもいい話」ほど続くし、仲良くなれるもの
僕自身、人と会話をするのが苦手だったので「何を話せばいいの」と焦ったり、面倒に思ったりする気持ちはわかります。その気持ちは「面白いことを話さないといけない」と思い込んでいるからです。アナウンサーという人と話す仕事を続けてわかったのは、最初の会話こそ意味もなく、オチもない、いわゆる「どうでもいい話」のほうが会話は続くということ。話しかけるほうも、話しかけられたほうも「どうでもいい話」がラクで、話しやすいのです。会話で使えるちょっとした武器があれば、コミュニケーションはとれます。大学で知り合いを作る場合は、講義で近くに座った人に話しかけるケースが多いと思うので、そのときの参考にしてください。
大学で話しかけるときに使えるテンプレ集
テンプレ1:具体的な答えやすい質問をする
相手:「私は2回目です」
自分:「そうなんですか! この前はどの講義でした?」
相手:「前は〇〇を受けましたよ~」
【解説】
最初の会話は相手が答えやすい質問をすることです。同じ大学生だから、他の授業も受けているはず。そこをきっかけに、質問にして相手にパスを投げるのがポイント。「どんな感じでしたか?」のように抽象的な質問ではなく、「何回目ですか」「どんな内容でしたか?」と具体的な質問にすると、相手が答えやすく会話が続きます。
テンプレ2:少しツッコんだ質問をする
相手:「〇〇あたりです。最寄り駅は〇〇線の〇〇駅なんですよ」
自分:「そうなんですね。あの辺だとスーパーとかありますか? 自炊するので、スーパーがある街が良くて…」
相手:「ありますよ! 自炊するんですか!すごいですね~」
【解説】
少しツッコんだ話をできたら仲が深まりやすいですよね。「趣味は?」という質問とかしてしまいがちですが、これは抽象的で、意外に広がりづらい質問です。プライベートな質問は躊躇する人もいると思いますが、住んでいる場所や部屋の間取りなど、誰もが思い浮かべられる具体的な場所についての質問は、会話が続きやすいです。例えば住んでいる場所なら誰もが答えられますよね。ポイントとしては「差し支えなければ」という言葉。「ツッコんだことを聞きますが、配慮がないわけじゃないですよ」という態度をこの一言で伝えることが出来ます。また、先に自分の情報や、どうして聞きたいと思っているかを伝えると、相手も安心して答えやすくなります。
テンプレ3:自分がわからないことを伝える
相手:「あれって、〇〇なんじゃないですかね」
自分:「そうなんですね! それって〇〇ってことですか?」
相手:「〇〇よりも△△のほうだと思います。それは~」
【解説】
講義という同じ情報を共有できた後は、大チャンスです。講義の内容について質問すれば、相手も答えやすいです。ここでは「わからなかったこと」について話しかけていますが、「わからない」「知らない」ことについて教えてもらうのは、会話を続けるのには最もいい方法のひとつです。人間は、間違いについて訂正するときによくしゃべります。知らないと思われるのが恥ずかしいかもしれませんが、相手は気にしていないもの。知らないことを正直に言うと、ほとんどの人は教えてくれますよ。
テンプレ4:心に浮かんだ感情をそのまま伝える
相手:「えっ? そうでした? 見ていなかったです」
自分:「小さなサボテン柄でしたよ。あんなユニークなネクタイをどこで買っているんですかね」
相手:「よく見ていますね! ネットで買っているんですかね~」
【解説】
すこし距離が縮まってからなら、講義の内容だけでなく、ちょっとした変化球で上記のような気になったことを話しかけるのもおすすめです。「自分だけ気になっていたらどうしよう」と思うかもしれませんが、それこそが個性です。そこで共感を得られたらぐっと距離は縮まりますし、「そんなところを見ていたんだ!」と面白がられたら、こちらの人格が伝わります。心に浮かんだ感情をそのまま言葉にできたら、会話が上っ面のものでなくなります。
大学で話しかけられたときに使えるテンプレ集
「自分から話しかけるなんて無理」という方は、話しかけられるのを待つのもひとつの手です。そのときの大切なポイントは受け答え。受け答えひとつで会話は楽しくなりますし、続きます。ここでは話しかけられたときのテンプレを紹介します。
テンプレ1:会話の最初に相づちを打つ
自分:「あっ! 初めてなんですね。私は2回目です」
【解説】
会話上手は相づち上手と言っても過言ではないほど、相づちは「話しかけてくれた相手への報酬」です。会話の最初に「えっ!?」や「あっ!」などの一言があるだけで、相手の話への関心を示している合図になります。自分に置き換えてみると、相手の反応が薄いのは悲しいものですよね。でも、相づちを打ってもらうと「聞いてくれている」と安心して話すことができるのではないでしょうか。
テンプレ2:オウム返しをする
自分:「〇〇に住んでいるんですね! 私は〇〇線の〇〇駅なんですよ」
【解説】
話しかけられたとき、何を返せばいいか悩んでしまうのなら相手の発言の一部をそのままオウム返しにしてみましょう。そうすると、相手の話に関心を持ち、その先を聞きたいという意志を伝えられ、会話が進んでいきます。コツは返す言葉はできるだけ固有名詞にすること。上記の場合だと住んでいる街やエリアです。相手が強調しているであろう部分をオウム返しにするのが大切です。
テンプレ3:質問を返す
自分:「あれって、〇〇なんじゃないですかね。どのあたりがわからなかったですか?」
【解説】
人は自分のことを聞かれると嬉しくなるものです。コミュニケーション上手は質問上手。話しかけられたら最後は質問を返すようにしてください。その返事から次に聞きたいことが自然に生まれてきます。今度はそれを質問する、と続けていけば、会話は終わらないですよ。
初対面の会話で控えたほうがいいこと
会話の中でこうするとうまくいかないというものもあります。下の4つは特にNGです。
・知ったかぶる
・知らないフリをする
・「でも」「だって」を使う
「どうでもよくない話」とは政治や宗教、スポーツ、下ネタなど相手を不快にさせたり、意見が対立する可能性がある話題。仲良くなってからであれば問題ないこともありますが、初対面では避けるのがベターです。そして、知ったかぶりも会話が広がるチャンスを逃してしまいます。反対に知らないフリをするのも素直な気持ちを表せずに盛り上がりに欠ける可能性が大きい。そもそも知っているのに知らないフリをするのは相手に対して失礼ですよね。あとは会話を止めてしまうキラーワードは「でも」「だって」という否定の接続詞。相づちの反対で、相手側が気持ちいいことはまずありません。クセで使ってしまっているだけで、逆接で受ける必要が無いときにも言ってしまっていることがとても多いです。
まとめ
吉田さん曰く、会話はゲームだと言います。それも対戦型のゲームではなく、協力型のゲーム。気まずくならない時間を過ごすためのゲームなので、相手より物知りであることをアピールしたり、自分のことばかり伝えて、相手より優位に立つゲームではありません。どうでもいい話でもいいから、みんなで協力して、制限時間をやりすごすゲームが、会話です。
吉田尚記(よしだ・ひさのり) @yoshidahisanori
ニッポン放送アナウンサー。ラジオ番組のほか、テレビやイベントの司会進行など、幅広く活躍。最新著書に『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(アスコム)がある。
■書籍
元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書
1650円(税込)
出版社アスコム 刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4776210770
取材・文:中屋麻依子
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。