人見知りでも会話上手になるには3つのコツだけ! サイレントセールストレーナーに聞く内向的な性格の人向け会話術
人見知りで、初対面の人と話すのが苦痛。誰もがそんな思いをしたことがあるはず。そこで今回は、無口な営業スタイルで全国トップの成績を獲得し、その経験をもとに内向型の性格で悩む人を対象にしたセミナーや研修・講演を行う、サイレントセールストレーナーの渡瀬謙さんに『無理に話さなくてもいい会話テクニック』を聞きました。
無理に話す必要ナシ。ポイントは「相手に話してもらう」こと
そもそも会話が苦手な人は自分でうまく話そうとしてしまう傾向があります。そう思えば思うほど、負のスパイラルにはまっていくもの。会話は、言葉のキャッチボールを上手くしないといけないと思いがちですが、実はそうでもありません。
●自分:うなずき、それで?と聞く → 10%
これで十分会話は成り立つのです。また人は話せば話すほど勝手に「この人はいい人だ」と好感をもってくれるものです。
会話が自然に広がる鉄板ネタはズバリ3つ!
では、相手が自然に話したくなる話題とはどういうものでしょうか? それは相手が知っている話題です。ただ、初対面の人が何を知っているのかなんてわかるはずもありませんよね。そういう時は、相手にとって身近な話題をネタにすればいいのです。覚えておくべきはたった3つで十分です。
鉄板ネタ その1 【名前】
初対面の人なら氏名を聞きますよね。その時に名字だけでなく、名前もきちんと聞くようにしましょう。
「名字は…多運さん? と読むんですか?」
特に“タウンさん”なんて変わった名字や読みにくい漢字の人ならこれだけで十分会話が成り立ちます。読みにくい名前の人は普段からよく読み方を聞かれているはず。聞けば喜んで答えてくれるはずです。また、内向的な人の中には、名前を聞くなんて失礼だと思う人もいるかもしれませんが全く問題ありません。思い切り聞いてOKです。
鉄板ネタ その2 【エリア】
最寄りの駅や通っている学校の場所など相手が良く知っているエリアについての質問も会話が続くネタになります。
「電車は何線を使っているんですか?」「ここまでどれくらい時間がかかるんですか?」
身近な地理的な話題から、「そのあたりで名所はある?」「おいしいお店は?」などと話を進めていくと、相手も答えやすいですよね。これでお互いのことを知り会えるきっかけがつかめるかもしれません。
鉄板ネタ その3 【過去の趣味】
名前やエリアの話から一歩進めて、少し深い話を振って行きたい時、趣味を聞くのは鉄板です。ただしひとつ注意が。趣味は?と聞かれてさくっと答えられる人はそう多くないはずです。ですから少し角度を変えてこういう聞き方をしましょう。
「今までにハマったことのある趣味って、何かあります?」
趣味は何ですかと聞くより、このほうがずっと相手は答えやすいはず。実はこの過去にさかのぼって聞くのがポイント。過去の質問は別名、“興味の質問”とも言われ、「私はあなたに興味を持っていますよ」という無言の合図にもなり、話が弾むきっかけになりますよ。
応用編 相づちこそが、気の利いた会話が続くカギ
いくら相手が話に乗ってきてくれても、単に「そうですか」と返すだけでは会話は続きませんよね。そこで、会話を途切れさせない魔法の言葉がこれです。
「それは、どうしてですか?」「そのきっかけは何だったのですか?」
人のたどってきた道で何か変化があった時には、何かしらの“きっかけ”や“理由”があるものです。そこを聞けば話が展開しやすくなり答えるほうも話しやすいはず。よくぞ聞いてくれたと、相手が話すチャンスになるのです。
また、話を聞く時には多少大げさなくらいのアクションを交えるとより効果的です。身を乗り出して聞く、それでそれで?と続けて質問する、などのテクニックを加えるとさらに気持ちよく話してもらえることでしょう。
まとめ:時間に余裕を持てば心にも余裕ができる
無理に話さなくてもいい、ただ相手に話してもらえばOKという渡瀬さんの会話テクニック、いかがでしたか? 「バイトの初日などは特に緊張しますよね。だからこそ時間に余裕を持って家を出て、心にも余裕を持つことが大切です」(渡瀬さん)。少し早めにバイト先に着いて、店内を見渡してみると思わず話のネタが見つかったりすることもあるはず。“店の裏手に大きな公園があるんですね”など、見つけるネタは何でもいいとも語ってもらいました。
内向的な性格の人は、『3つの鉄板ネタ』と、『何で?』『どうして?』『きっかけは?』。さえ覚えておけば大丈夫! あなたも会話上手を目指しましょう。

渡瀬 謙(わたせ けん)さん
サイレントセールストレーナー・有限会社ピクトワークス代表取締役
小さい頃から極度の人見知りで、小中高校生時代もクラスで一番無口な性格。明治大学卒後、精密機器メーカーに入社。その後、(株)リクルートに転職。社内でも異色な無口な営業スタイルで入社10カ月目で営業達成率全国トップになる。94年に有限会社ピクトワークスを設立。広告などのクリエイティブ全般に携わる。その後、事業を営業職教育の分野にシフト。日本生命保険、三菱東京UFJ銀行をはじめとする各企業でのコンサルティングや研修、講演を行って現在に至る。

「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本(大和出版)
大和出版 刊
1,620円(税込)
www.amazon.co.jp/dp/4804718311
ほか、
内向型営業マンの売り方にはコツがある(大和出版)
内向型のための雑談術(大和出版)
「しゃべらない営業」の技術(PHP研究所)
相手が思わず本音をしゃべり出す「3つの質問」(日本経済新聞出版)
相手の「買う!」を自然に引き出す4ステップ商談術(日本経済新聞出版)
など25冊以上の執筆実績を持つ。
取材協力:有限会社ピクトワークス(http://www.pictworks.com/)
取材・文:中島典子