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2021年05月11日

カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」回転寿司バイト編

カレー沢 バイト タウンワークマガジン townwork「おいしいものをちょっとずつ食べたいの」

飯をどこで食いたいかと尋ねたツレがこんなことを言い出しても、瞬時に「しゃらくせえええ」とキレて、色んな雑穀が入った鳥のエサを口に詰め込まないであげてほしい。

これは必ずしも、デリとかビュッフェとか小洒落た店に行きたいと言っているわけではなく、高確率で「一品298円均一の水産系居酒屋」もしくは「好きな小鉢をトレイに載せていくスタイルの定食屋」のことを言っていると思った方がいいし「焼肉」の可能性も考慮すべきだ。

レストランでハンバーグを食うというのも良いのだが、食事回数というのはそこそこ長生きで三食欠かさないとしても10万回ぐらいしかないのだ。

そんな限られたチャンスをハンバーグに全ツッパというのはかなりの贅沢、もはや「勝負師(ギャンブラー)」と言って良い。
そういう生き方も良いが、「多様化」が叫ばれる昨今である、食事も選択肢が多ければ多いほど良いし、また今人生で重要なのは「リスクの分散」だと言われている。
ハンバーグに全コインを賭けた場合、当たった時のリターンはデカいがはずした時、イマイチなハンバーグをひたすら食いつづけなければいけないというリスクがある。
それに対して、多品目頼める店なら「タコわさはアレだが、軟骨と出汁巻はイケる」という、トータルでの勝率が高くなる。
もちろん「全部マズい」ということもあるが、デザート欄にハーゲソダッシがあるだけで「終わり良ければすべてよし」に持って行く、メニューが多い店だからこそできる荒業も可能だ。

よってもし恋人とかが「おいしいものをちょっとずつ」云々言い出したら、面倒くさいとは思わずむしろ「堅実なタイプ」と思って欲しい。

そんな堅実で「食事という限られたチャンスの可能性をもっと広げたい」という人に人気な一回の食事でいろんな物を食べられる系飲食店が今回のテーマである。

回転寿司バイト」今回のテーマだ。

 
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いろんな物を食べられると言いながら、基本すしオンリーじゃないかと思うかもしれないが、回転寿司というのは「酢飯に何を乗せるかは俺が決める」という世界観なので、すし屋なのに平気で酢飯に乗ったハンバーグや焼肉が流れてくるし、サイドメニューやデザートも豊富であり1品の量が少ないのでいろんなものを食べられる。
実は言うと私も回転寿司でバイトをしたことがあるのだが、何せ20年近く前の話なので、バイト内容も当時とはだいぶ様変わりしているかもしれない。

現在の回転寿司バイトの仕事は、主にホールとキッチンに分かれ、普通のレストランとはかなり業務が異なる

まずホールの仕事だが、メインであるすしは、客がレーンから自分で取るシステムである。
しかし、客が少ない時間帯だとイカしか回ってないということもある。
そんな時は注文をするのだが、それも席ごとに設置されたタブレットやタッチパネルで注文することが多い。
よって、ホールは席への案内と片づけ、そしてドリンク類を席まで運ぶのが仕事だ。

タッチパネル式の店は会計も自動計算だが、昔の回転寿司には、会計の際「皿を数える」という仕事があった。
ちなみにすし屋では会計のことを「おあいそお願いします」という客が多い。
決して「スマイル」を注文しているわけではないので「0円」としか言いようがない笑顔を返さないように注意しよう。

全部100円均一とかなら簡単なのだが、皿ごとに値段が違ったり、私が働いていたところではビールはジョッキを数えるというシステムだったので、団体客になると数えるのが大変なのだが、数え間違いはクレームの元なので、落ち着いて数えることが重要である。
ただ「素数を数えて落ち着く」という方法は余計混乱するのでお勧めしない。

そして、ホールには待っているお客さんを順番通りに席に案内するという仕事もあるのだが、ある意味これが一番難関かもしれない。
回転寿司は、リーズナブルにいろんなものを食べられるし、すしが回っているという大変愉快な飲食店なので、家族連れには特に人気である。
よって、休日の食事時にはかなりの混雑が起こり、行列やかなりの待ち時間が発生することが珍しくない。
人間空腹状態で長時間待たされると気が立ってくるものである、順番を抜かすなどしたら暴動が起こっても不思議ではない。
またカウンター席に上手く誘導しないとすきっ歯みたいになってしまい「詰めればあと3人入れられたのに」という事態になってしまう

ただ最近は、席案内を人間にやらせず、整理券が出てくる機械や、胡椒君みたいな名前のロボットを設置しているところもある。

片や、機械はおろか名前を書く紙すら設置せず並ばせるというストロングスタイルな店が今もあるかもしれないのでホールバイトに申し込むなら席案内はどういうシステムになっている店なのかはリサーチした方がいい。

次にキッチンだが、主にすし担当とサイドメニューその他に分かれる
すし担当は、すしを作ってレーンに流すのが仕事だ。
寿司店によっては、握りと軍艦などパートが細かくわかれていることもある。

すしを作ると言ってもシャリ部分は機械が作るのでそれにネタを乗せるのが人間の役目だ。
しかし、何のネタを乗せるかは人間の采配なので、イカしか回ってねえという事態を起こさぬよう満遍なく、そして廃棄を減らすため、客の入りを見て回しすぎないようにするなど判断力が必要になってくる。

最近は回転寿司屋は機械化されているが、その分人間の数を絞っていると思うので、楽とも限らない

すし担当以外のキッチンの仕事は、サイドメニューの調理、ドリンク担当、食器洗い、そして米を炊くことだ。
これも店によっては、細かく分業化されており「揚げ物パート」がある店もある。
食器洗いは、何せ大量の皿を使うため、大体専用の機械が洗う。

だったら楽だと思うかもしれないが、そうでもない。
私がバイトした店の食器洗い機は、洗い終わった食器が徐々にせり上がってきて、それを人間が移動させないと「倒壊する」という恐ろしいシステムだった。
人間は機械が洗わない食器を洗ったり、米を炊いたりするのだが、そっちに気を取られ過ぎると、食器が倒壊地点を突破してしまうため、全方向に注意を払わなければいけない。

しかし、もっと怖いのは「米を炊き忘れる」だ。
回転寿司は「酢飯に乗ってればOK」という世界観だが、逆に言えば「酢飯がなければ終わり」なのである。
米はすぐには炊けないし大釜で大量の米を一度に炊くので、一度の米炊き忘れが致命傷になりかねない。

このように、回転寿司のキッチンは、飲食店のキッチン業務の中でもかなりダイナミックかつエキサイティングな部類だと思われる。

休日に回転寿司屋でバイトをするならかなり忙しいと思った方が良いが、逆に時間が経つのが早いので、暇が苦痛という人にはお勧めできる。

結構ハードなバイトであったが「思い出すのも嫌」というわけではなく、むしろ推しについて尋ねられたオタクのように饒舌になってしまっているという点で、それなりに楽しいバイトであったのだと察してほしい。

 
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カレー沢薫
1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。SNSでは“自虐の神”と崇められる人気作家。
Twitter: @rosia29
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