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2018年02月28日

女優 宮澤エマさんインタビュー『大学時代、嫌いだった勉強が好きになった瞬間、世界が開けた』


昔から歌うことが大好きだったという宮澤エマさん。現在はミュージカルや舞台で活躍していますが、ここに来るまでには、さまざまな葛藤があったといいます。その中でも大事だったのは大学時代での気付きだったそう。学生時代の過ごし方や出演するミュージカル、仕事観などをうかがってみました。

ミュージカルは「特別な人」だけができるものだと思っていた

――今日は宮澤さんが出演するミュージカル『ジキル&ハイド』の衣裳ですが、何度も再演されている人気作品ですよね。そのような人気作品に出演するのは嬉しい反面、プレッシャーもあるのでは。

もう、プレッシャーしかありません(笑)。再演されるのはファンの方も多く、期待値が高いということですから。これまで素晴らしい女優さんが私が演じるエマという役を演じられてきて、自分がどう演じるかというプレッシャーはあります。でも、その方の真似はできませんから、私なりのエマを作り上げていこうと思っています。

――エマはどんな役どころなのでしょう。

偶然にも私と同じ名前なのですが、主演であるジキルの婚約者。ジキルを愛し、なにがあっても支える「善」の象徴のような女性です。この作品は「人の善悪」がテーマなのですが、その善のかたまりといっても過言ではないほど。でも、周りからジキルとの結婚を反対されても、決して曲げず自分の信念を押し通す強さがあります。

――宮澤さん自身は周りから反対されても自分の意見を押し通せるタイプですか?

押し通すのは苦手です。そもそも口論や言い合いが苦手で。口で言うより、行動で示すタイプかもしれません。でも、何か新しいことに挑戦するときは、何かしら否定の声があがることはありますよね。

――宮澤さんもミュージカルで活躍する前は、バラエティなどタレント活動が多かったですが、「ミュージカルをやりたい」と新しいことにチャレンジしたわけですよね。

歌は昔から好きで、いつか歌う仕事をしたいと思っていましたが、ミュージカルなんて考えたこともなかったです。歌って踊って演技までするなんて、才能のある特別な人しかできないと思っていましたから。

ですから、祖父が元内閣総理大臣という経歴があったので、バラエティに出させていただいたのですが、トークも上手じゃないですし、おもしろい話もできないし、クイズ番組でも答えられないし(笑)。「私は一体、何がやりたいんだろう」ともがいている時期がありました。仕事をいただけるのはとてもありがたいけれど、自分の立ち位置が見えなくて。

――そこからどうやって、ミュージカルの世界に?

歌が歌いたいと日頃から言っていたら、友人の母親の知り合いの知り合いという遠いツテでオーディションを受けるチャンスをいただいて。それがミュージカルだったんです。もちろん「才能がある人がやること」と思っていたから、私ができるだろうかと不安はありましたけど、このチャンスを無駄にするなんてもったいないと思って腹をくくりました(笑)。

昨日できなかったことが今日できるから、挑戦する楽しさがある

――そのオーディションで合格して今があると思うのですが、ミュージカルの世界はどうでしたか?

右も左もわからない状態で飛び込みましたから、とにかく自分ができることを力いっぱいやるだけ。この気持ちだけで進んでいきました。最初はそれでいいですけど、3年、4年と、ある程度経験を積んできたら「頑張ります!」だけではダメ。「自分がこの作品にもたらす価値はなんだろうか」と考えるようになりました。他の作品を観て耳も目も肥えてきますから、もっと高いところにいかないと、と思いますし。

――もっと高いところにいくために実践していることはありますか?

苦手なことに挑戦することです。ダンスも最初は苦手で、できるだけやりたくなかったのですが、今は苦手だからこそトレーニングを重ねています。人間は機械ではないですから、今日できていたものが、明日できなくなっていたり、反対に今日できなかったものが明日はできたり。それが辛くもあり楽しいところではあります。

誰かの人生に影響を与えることのできる、素晴らしい仕事

――そのように辛いこととも向き合えるぐらい、この仕事は魅力的なのでしょうか。

最初はミュージカルなんて考えてもいなかったですが、今は自分のキャリアの軸になるほどの存在になっています。以前、『ドッグファイト』という作品に出演した際、舞台を観た方からお手紙をいただいて、私が演じた役を見て海外に留学することを決めたと書かれていました。これを読んで、私の仕事は人の人生を左右することもあるほど影響のあるものなのだと改めて思ったんです。

そして、ミュージカルに関わるようになって「自分にはこれしかできない」と思っていたことが「あれもやりたい」と選択肢が広がってきた。それがすごくうれしくて。この思いは大学時代以来だなと。

――大学時代にどんなことが?

私、勉強があまり好きではなくて、それでも大学は行っておいたほうがいいだろうという感覚でアメリカの大学に行ったんです。そこで宗教学を学びはじめたら、とてもおもしろくて初めて勉強を楽しいと思えました。それまでの「自分は勉強ができない、だから嫌い」から「好きなものを学ぶのは楽しい」に変化したんです。そして、解答が間違っていても「その考えはおもしろい」と正解よりも考えることや発想力を認めてくれた教授と出会えたことも大きかったです。

だから今、やりたいことがなかったり、苦手なことばかりで進路を悩んでいる人がいたら、人との出会いやほんの少しのきっかけで、気持ちはガラっと変化することを伝えたい。変化したら、これまで自分では考えもしなかった未来が拓けますよ。

 

■Profile
宮澤エマ(みやざわえま)

1988年11月23日生まれ、東京都出身。2012年芸能界デビュー。2013年ミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング ~それでも僕らは前へ進む~』で女優デビュー。翌年はミュージカル『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』で話題に。代表作に『ラ・マンチャの男』『ドッグファイト』など。

■舞台紹介
『ジキル&ハイド』
2018年3月3日(土)~3月18日(日)
<東京国際フォーラム ホールC>
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19世紀のロンドン。医師ジキル博士(石丸幹二)は、長年研究してきた「人間の善と悪を分離する薬」の完成まであと一歩と迫っていた。自らの理論を実証するため、人体実験の許可を求めるが、研究の中止を余儀なくされてしまう。エマ(宮澤エマ)との婚約パーティーの晩、失意に沈むジキルはパブで出会った魅惑的な娼婦ルーシー(笹本玲奈)との会話からヒントを得て、”薬を自分の体で試す”という決断を下すが…。

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造