スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2018年05月25日

【アノ人の学生時代】漫画家・やしろあずきさんインタビュー「日常で感じる“好き”を“夢”にすれば、きっと楽しく働けるはず」

やしろあずき 漫画 マンガ インタビュー タウンワークマガジン

あらゆる視点から“今”を読み解き、新たなムーブメントを生み出していく、Web界隈のクリエイター達。その中でも、SNSを中心に活躍し、今の大学生にとって“気になる先輩世代”となる著名人にインタビュー。好きなことを仕事にするために、彼らはどのような道を歩んできたのか? この連載では、彼らの学生時代の話を通して夢を叶えるヒントを探っていきます。

第5回の“気になるアノ人”は、やしろあずきさん。実体験をもとにしたコミカルな漫画や、PR漫画などを描いている人気Web漫画家です。

また、ライターや外部プロデューサー、昨年からは株式会社wwwaap(SNSで拡散力を持つ漫画家・イラストレーターのマネジメント会社)の執行役員にも就任。現在はトークイベントなどにも引っ張りだこのやしろさんに、学生時代の話やフリーランスとして働く際の心得について、語ってもらいました。

オタク仲間の多い“東大”で過ごす有意義な日々

――出身大学は、東京工科大学出身だそうですね。

そうですね、略して東大です(一同笑)。そこはAO面接の倍率が高くて、面接がめちゃくちゃ得意な人じゃないと受けないような学校だったんですが、僕はそういう場で嘘をつくのが得意だったんですよ。だから、受けてみたら、案の定、AO面接の順位が上から3位だったらしくて。やっぱり、人生に嘘は必要なんだなと思いました(笑)。

学部は、メディア学部でした。当時、僕はガチガチのオタクだったので、リアルが充実した方々が多い大学には行きたくなかったんですよね。でも、入学前から、ここは結構PCを使う学部だから、アニメとかゲームが好きな人がすごく多いっていう情報を得ていて。実際に入ってみても、予想通りオタクばかりでした(笑)。会社に勤めるというよりも、コンテンツを作ることに精通していたり、将来的にクリエイターになりたいという夢を持った人が多かったので、そういう人達と一緒に過ごした日々は有意義な時間だったなと思います。

――中には、漫画を描いている方もいらっしゃったんじゃないですか?

うん、いましたね。僕、中学ではよく落書きをしていたんですけど、高校では一切絵を描かなくなっちゃったんですよ。でも、大学で出会った友達が同人誌を出していたので、“絵を描くのも楽しそうだな”って思って。そこからまた描き始めた、みたいなところがあるんです。そう考えると、この大学に入ったことが大きかったなって思いますね。違う大学だったら、全然違う人生になっていたなって思います。

入学当初は、その同人誌を出している友達に誘われて、絵を描くサークルにも入っていました。実家から大学までの距離が結構あったから、サークルが終わって帰ると遅くなっちゃうって思って、1ヵ月でやめちゃったんですけどね。ただ、いろんなサークルの人と独自で仲良くなっていたので、交流関係は結構幅広かったですね。

――ガチガチのオタクとは思えない、コミュニケーション能力の高さじゃないですか!

あははは、コミュ力は大学に入ってから開花しました。親の薦めで幼少期から劇団に入っていたんですけど、高校時代までは、劇団でしか発言できないような内気な少年でした。でも、大学に入ってみたら自分と同じようなタイプがめっちゃくちゃ多くて!(笑)そんな状況だから、何をするにもなかなか話が進まないし、“俺がやるしかないな!”と思っていたら、ちょっとずつ人前で話せるようになりました。

教授からもわりと好かれていて、ゲーム研究系の教授とは未だに連絡を取り合っていますね。

7年間、同じドラッグストアで接客のバイトを経験

やしろあずき 漫画 マンガ インタビュー タウンワークマガジン
――学校以外で何に時間を使っていましたか?

バイトです。メインは関東ローカルでチェーン展開しているドラッグストアで、バイトを始められるようになった高校1年生から大学卒業するまでの7年間、ずっと働いていて。それプラス、同人誌即売会のバイトなど、他のバイトを掛け持ちしていました。

ドラッグストアのバイトは、とにかく家から近かったのと、店員さんを見たら真面目そうな人が多かったのが決め手でしたね。それに、接客業を経験しておくと将来的に役に立つかなと思って、1回くらいは接客業を経験しておこうかなって気持ちもありました。でも、いざ始めてみたら、ここも店員がみんなオタクで(笑)。本当にみんな良い人達だったので、いつの間にか7年間もいましたね。そこの人達ともいまだに仲良くしています。

――最初から自分に合うバイトを見つけるって難しいと思うんですけど、やしろさんは良いバイトに巡り合ったんですね。

そうですね。バイトに限らず会社でも、人間関係に悩んだりしてすぐ辞めてしまう人もいますもんね。僕の場合、人生を通して人と巡り合う運は良いほうだと思います。

バイトでとくに好きだった作業は、接客。困っているお客さんにはすぐに声をかけていました。バイトだったらいつでも辞められるから、攻めの姿勢で好きにやろうと思って(笑)。おじいちゃんおばあちゃんのお客さんも多かったから、積極的に話しかけて助けていたんです。そしたら、高い評価をもらえたり、顔なじみのお客さんもできて、より楽しくなっていきました。

接客の仕事のおかげで相手が求めていることや話し方が身についた

やしろあずき 漫画 マンガ インタビュー タウンワークマガジン
――それだけ仕事ができる人だったら、正社員にならない?って誘われそうです。

誘われて、全力で拒否しました!(笑)正直、中にはクレームを言ってくるお客さんもいますし、やっぱり、バイトという立場だから頑張れていたんだと思うんですよね。そこで働いていて一番きつかったのは、窃盗団と戦った時かなぁ。

――というと……?

ある時、オムツを大量購入しようとしている集団がいて、目を離した隙に、全部トラックに詰み込まれてバーッと走り去ったんですよ! それを店長が全力で追いかけるっていう、映画みたいな展開が目の前で繰り広げられたのが、いまだに印象に残っています(笑)。

――それは、かなり特殊なバイト経験ですね(笑)。同人誌即売会のバイトは、どういう仕事内容だったんですか?

土日だけ、女性向けの同人誌即売会で、外警備というか、声を張って外から来たお客さんを案内するという仕事をやっていました。その時、僕はあんまり絵を描いていなかったから、スタッフとしてそういう世界に関われたらいいなって想いがあったんですよね。それに、声を出すのも得意だったし、日当もよかったのでやってみたら、結構続いて。大学1年から始めて、社会人になってからも休みの日にはやっていました。

――でも、日当がいい=きついイメージがあります。

って思いますよね? それが、全然きつくないんですよ(笑)。GW中に開催されるイベントは来場者が多くてきついんですけど、普通のイベントは実働3~4時間くらいで、来場者が来なくなると仕事終了なんです。で、お弁当も出るし、みんな趣味も合うし、すごく楽しいバイトでしたね。

――では、今までのバイト経験の中で、今に活きていると思うことはなんでしょうか?

すごく単純なことですけど、ドラッグストアのバイトのおかげでお金の計算が速くなりました(笑)。もともとは計算がめちゃくちゃ苦手で、バイトを始めた当初は、レジ打ちをミスった時に暗算ができなくて焦っていたんです。でも、さすがに7年もやってたらできるようになるし、同人イベントでも鍛えられたので、お釣りの計算は得意になりましたね。

あとはやっぱり、コミュ力。接客業を経験したことで、“相手がこういうことを求めているから、自分はこういうふうに話したほうがいい”って自然と考えるようになりました。一言で漫画家と言っても、僕のようなフリーランスの漫画家はいろんな人と仲良くなっていかなきゃいけないので、コミュ力が絶対必要で。相手と気持ちよく仕事をしていく術っていうのは、接客業で学んだなって思います。

自分のやりたいことをやりたくてゲーム業界からWeb漫画家の道へ

やしろあずき 漫画 マンガ インタビュー タウンワークマガジン

※やしろさんの仕事現場


――そして、大学卒業後は、CEDEC2011ペラ企画コンテストでベストアマ賞を受賞したのをキッカケに就職されたんですね。その時は、ゲームプランナーという仕事をされていたとか。

そうなんです。まずはゲーム業界に入れたらいいなと思って、コンテストに応募しました。ところが、入社した結果、会社という組織に自分が全く合わないことに気づきまして……(笑)。

ゲーム業界って、“自分でこんな面白いゲームを作りたいから業界に入った”っていう人は潰れちゃいやすいんですよね。学生時代にどんなにすごいものを作れても、入社したら上にはすごい人がいっぱいいるし、大きい会社の場合、いきなり好きなことをできる環境ではないので。もちろん、そういう下積みの期間を耐えて耐えて耐え忍んだ人が成長して、いずれ大きなプロジェクトの一員になっていくっていうのは理解しているんですけど、僕はそれに耐える能力がなかったんです。

――耐える能力、ですか。

はい。僕は昔から、自分が作りたいものを作りたかったし、自分の思っていることを世に出したいという気持ちでいたので、“ゲーム業界は向いてないんだな”と思ってしまって……。その点、漫画も決して1人きりで作っているわけではないですが、自分の発想が一番強く出るものだから、だんだん漫画のほうに寄っていって、フリーランスとして活動するようになりました。

ただ、漫画家という職業に昔から憧れてはいたんですけど、漫画家として本気でやっていこうと思ったのは、純粋に漫画だけで食べていけるようになってからなので、本当にわりと最近……2~3年前ですね。

と同時に、現在は、ライター業やGANMA!さんの外部プロデューサー、名ばかりではありますけど、昨年からは株式会社wwwaapで執行役員をやらせていただいています。漫画に限らず、トークショーをやらせてもらったり、著名な方とご一緒させてもらったり、今は朝から晩まで自分のやりたいことができているので、日々やり甲斐を感じながら働けていますね。

日常の中で“好きだな”と思えるものを見つけることが大事

やしろあずき 漫画 マンガ インタビュー タウンワークマガジン gif
――やしろさんの場合、ご自分の実体験を漫画にすることが多いと思うんですが、今のスタイルはどうやって確立したんでしょうか?

体験談じゃない漫画も描いているんですけど、体験談という部分に関しては、自分が過去に書いていた日記がもとになっていますね。幼稚園から高校卒業までずっと日記を書いていて、それを今読み返すと面白かったので、そこから話を広げています。でも、Twitterでも言ったんですが、漫画に描いてあることは100%事実ではないんですよ。あくまでも漫画は漫画として面白くなきゃいけないと思うので、家族の話とか、もともとあった事実に肉付けをして面白くしています。

絵のタッチも、昔は女の子の絵とかも描いていたんですけど、女の子の絵を描く人って山ほどいるし、みんなめちゃくちゃ上手いんですよね。だったら、この絵はこいつだ!って思ってもらえるような路線で行ったほうがいいのかなと思って、今みたいなキャラクター、エッセイテイストの漫画になりました。

――そんなやしろさんが、好きなことを仕事にする上で大事にしていることは?

何の仕事をしていても同じですけど、とくにフリーで仕事をしていく上では、何度も言うようにコミュ力が大事ですね。めちゃくちゃ天才な人だったら、コミュ力がなくても仕事が来ると思うんですけど、僕みたいに一般的な人間は、自分のやりたいことを実現させるために、人の協力が必要なので。自分がやりたいことと人がやりたいことをマッチさせる能力、仕事相手とちゃんと意思疎通ができる人であることが必須だと思います。

あと、結婚したというのもあるんですが、身体を壊したら、仕事も収入もなくなってしまうので、最近はちゃんと寝るようにしてます。以前はめちゃくちゃ徹夜するタイプだったんですけど、最近は人としてまっとうな生活を送っています(笑)。

――身体を大事にすることは、フリーランスの基本ですね。では最後に、読者にメッセージをお願いします。

僕も「漫画家になりたい!」という夢を追ってここまで来たわけじゃなくて、なんとなく“楽しいな”と思うことをやっていったら、それが夢になったんですよね。それと同じように、無理に夢を探すんじゃなくて、人間誰しも好きなことがあると思うので、日常の中で“好きだな”“楽しいな”と思えるものを見つける。そして、それを夢にして頑張ってみたら、楽しく働けるじゃないかなと思います。

■Profile
やしろあずき

神奈川県出身。東京工科大学卒。CEDEC2011ペラ企画コンテストでベストアマ賞を受賞したことをキッカケに、株式会社Aimingに就職。ゲームプランナーとして働きながら、Web漫画家として活躍するようになり、現在はその後転職した会社も退社して、フリーランスとして活動している。2017年には、株式会社wwwaap(SNSで拡散力を持つ漫画家・イラストレーターのマネジメント会社)の執行役員にも就任。

Twitter:@yashi09

編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:斉藤碧

▼こちらも読みたい▼

アノ人の学生時代 けんすう インタビュー タウンワークマガジン【アノ人の学生時代】古川健介(けんすう)さんインタビュー「これだ!と思えるものに出会うために、行動量を増やすことが大事」

第6回の“気になるアノ人”は、古川健介(けんすう)さん。19歳の時に学生コミュニティ「ミルクカフェ」を立ち上げ、大学在学中には「したらばJBBS」を運営する会社の社長に就任。現在はSupership株式会社で役員を務める傍ら、自身の経験を活かし、講演なども行っています。10代のころからインターネットの面白さを体感し、次々に新たなWebサイトを生み出してきたけんすうさんに、学生時代の話や仕事との向き合い方について語ってもらいました。

もりすけ 残念 イケメン LIG インフルエンサー クリエイター インタビュー タウンワークマガジン【アノ人の学生時代】残念なイケメン・もりすけさんインタビュー「お客さんの少ないカフェでのバイトが、マーケティングに興味を持つキッカケになった」

第4回の“気になるアノ人”は、残念なイケメン(もりすけ)さん。会社員として働く一方、その端正な顔立ちからは想像つかない爆笑6秒動画(Vine)を投稿して一躍有名に。現在は、Twitterで約30万人ものフォロワーをもつ有名インフルエンサーです。会社員・モデル・動画クリエイターなど、さまざまな顔を持つもりすけさんに、学生時代のバイト経験や今の仕事のやり甲斐について語っていただきました。

夏生さえり 妄想ツイート 胸キュン ライター 心理学 タウンワークマガジン【アノ人の学生時代】ライター・ 夏生さえりさんインタビュー「バイトで楽しく働く大人に出会えたことが自分の生き方に影響を与えた」

第3回の“気になるアノ人”は、夏生さえりさん。ライターとして活躍する一方、Twitterでの“妄想ツイート”が注目を集め、タウンワークマガジンでも『胸キュン妄想ツイート漫画』を連載中。軽やかに紡ぎ出される言葉の数々は、多くの共感を呼び、1つのスタイルを確立。どうやって彼女はその道に辿りついたのか?

伊佐知美 灯台もと暮らし 編集長 ライター 旅 タウンワークマガジン【アノ人の学生時代】灯台もと暮らし編集長・伊佐知美さんインタビュー「20代中盤からでも夢は叶えられる」

第2回の気になるアノ人は、伊佐知美さん。27歳から本格的にライターとして働き始め、現在はWebメディア『灯台もと暮らし』で編集長を務める他、個人名義での執筆や司会業など幅広く活躍されています。

塩谷舞 milieu 編集長 Web マガジン 美術 デザイン タウンワーク タウンワークマガジン【アノ人の学生時代】milieu編集長・塩谷舞さんインタビュー『今って、私のような人が働きやすい環境になってきていると思う』

第1回の“気になるアノ人”は、塩谷舞さん。20代で独立してオピニオンメディア『milieu』を立ち上げ、Twitterで話題になっていた南三陸の#buzzcamp(多くのクリエイターを集めて南三陸に赴き、現地の情報を発信したり、課題解決のためのアイデアを出し合う合宿)を主催するなど、精力的に活躍するWeb界注目のクリエイターです。

早速バイトを探してみよう