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2018年06月29日

【アノ人の学生時代】古川健介(けんすう)さんインタビュー「これだ!と思えるものに出会うために、行動量を増やすことが大事」

アノ人の学生時代 けんすう インタビュー タウンワークマガジン

あらゆる視点から“今”を読み解き、新たなムーブメントを生み出していく、Web界隈のクリエイター達。その中でも、SNSを中心に活躍し、今の大学生にとって“気になる先輩世代”となる著名人にインタビュー。好きなことを仕事にするために、彼らはどのような道を歩んできたのか? この連載では、彼らの学生時代の話を通して夢を叶えるヒントを探っていきます。

第6回の“気になるアノ人”は、古川健介(けんすう)さん。19歳の時に学生コミュニティ「ミルクカフェ」を立ち上げ、大学在学中には「したらばJBBS」を運営する会社の社長に就任。現在はSupership株式会社で役員を務める傍ら、自身の経験を活かし、講演なども行っています。10代のころからインターネットの面白さを体感し、次々に新たなWebサイトを生み出してきたけんすうさんに、学生時代の話や仕事との向き合い方について語ってもらいました。

「呪いのページ」を作ったことがインターネットにハマったキッカケ

――IT業界の起業家、経営者として知られ、現在はSupership株式会社で役員を務めていらっしゃるけんすうさんですが、そもそもインターネットに興味を持った原点はどこにあるのでしょうか?

確か最初にインターネットに触れたのが15歳のころです。自分の天職に出会うと昔から知っているかのように親近感を覚える“結晶化(クリスタライズ)”というのがあるらしいんですが、インターネットにはじめて触れたときは、これはすごいものと出会ったぞという感動がありました。そこからどんどんインターネットの世界にのめり込んでいって、16歳のころには、5人に見せないと呪われるという設定で「呪いのページ」というくだらないサイトを作りました(笑)。アクセスカウンターは最初そんなに伸びなかったものの、そこに「呪いの掲示板」というものをおいていたら、それが流行って。自分が設置した掲示板に、知らない人がたくさん集まってきて、投稿数がどんどん増えていくというのは、とてもおもしろい経験でした。

――その後、浪人生時代には受験情報が集まるコミュニティサイト「ミルクカフェ」を立ち上げられたわけですが、受験生としての切実な想いがそこに向かわせたんでしょうか?

そうです。僕自身が受験生になってみると、受験に関する本や雑誌もあまりなく、インターネットを探しても当時は情報がなかなか得られなくて。だったら自分でそういう場所を作ろうと思って、立ち上げました。サイト立ち上げから数ヵ月経つと、1ヵ月1000万PV、1日5000件くらい投稿があったので、悩める受験生のみんなに使ってもらえているな、よかったなと思いましたね。

※結晶化(クリスタライズ)……自分の天職に出会うと昔から知っているかのように親近感を覚える現象

「2ちゃんねる」の元管理人・西村博之さんとの出会い

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――早稲田大学に入学後、多ジャンルを網羅する掲示板「したらば」の運営をされるようになったのは、どういう経緯で?

大学に入ってすぐくらいに、「2ちゃんねる」の元管理人としても知られる西村博之さんと知り合いまして。その周辺の人たちは、楽しそうに毎日遊んで暮らしているわけですよ。親や先生以外で初めて触れ合ったのがそういう大人だったこともあって、就職しようみたいな気持ちは当時は全然なく、3年生のときにそのへんの人たちと会社を立ち上げて、「したらば」というレンタル掲示板会社の社長ををやらせていただきました。1年後にはライブドアに1億円で事業を売却して、ライブドアで少しの間働いて……。

――そのままライブドアで働こうとは思わなかったんですか?

ライブドアってすごく実力主義で、とにかく仕事ができる人ばかりなんですよ。当時の自分の実力では通用しないなと思って、ちゃんと力をつけるために、結局就職しました。

――それが株式会社リクルートだったわけですね。就活は大変ではなかったですか?

僕は留年もしているので、インターンも含めて5回落ちて、6回目で受かっているんですよ。そういう意味では「大変だったね」ととらえる人もいるかもしれないですけど……自分としては、6回も受けて偉かったなというくらいですね。

――心折れずに幾度も挑めたのは、この会社に入りたい!という熱意があったからなのでしょうか。

リクルートに入りたかった気持ちも強かったのですが、就職活動って面接官との相性というのもあると思うのです。なので、確率的には何回も受ければ受かる可能性があがるかな、くらいの楽観的な感じでした。

大変だったエピソードはあとでネタになる

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――念願叶ってリクルートに入社されたあとも、3年ほどで独立されているんですよね。

自分がちゃんと働けるイメージはなかったので、将来困るんじゃないかと思っていました。一方で、大学をちゃんと卒業して3年間、会社に勤めた人ってまともそうじゃないですか。なので、将来、「ちゃんとした人だな」って思ってもらうために、3年間は会社にいようと思っていました。

リクルートは、若いうちから桁外れの権限をくれるのですが、一方で失敗したときに責任を取れ!みたいなこともなく、心理的な安全性がちゃんと担保された状態でやりたいことをやれていたから、仕事はおもしろかったんです。

同じ部署の人はみんな、会社にいながら起業をするという環境でもあったので、僕も会社を立ち上げて、リクルートに入社してから3年後に独立しました。

――そして、nanapiを国内最大級のノウハウ共有サイトに育て上げられた、と。大変なことはなかったのでしょうか?

会社員時代、3ヵ月に1回くらい「すごく良いこと」と「すごいピンチ」があるのですが、起業していると1日に7回くらいその山がある感じなので……それなりに大変だった気はします。

――並大抵のメンタルでは乗り越えられないような気がしますけど……。

自分でなんとかしないとなんともならないっていう状況のほうが逆に気楽な気がするし、大変だったエピソードはあとでこうやってインタビューとかで話せるので、お得かなと思っています。

――なんてポジティヴ! 大きなやりがいを感じられる仕事だからこそ、というところもあるのでしょうね。

いや、やりがいという言葉が僕にはあまりピンとこないというか……。たとえば、毎日歯磨きをするのに原動力はいらないわけで、仕事も習慣に近いんですよ。そのほうが、持続性があると思っています。

やる気、テンション、モチベーションって似ているので混合しやすいですけど、やる気は行動しないと出ないもの。テンションは一時的に上げるのは簡単、ただ長続きはしないもの。モチベーションは自発的で脆いもの。モチベーションがあるときに習慣化しちゃって、モチベーションがないときにも続けられるようにしたほうがいいということに20代前半で気付いて以降、それが僕なりの仕事への向き合い方なんです。

学生時代の出会いや繋がりがいまだに効いている気がする

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――そういう中で、達成感を得られる瞬間というと?

僕は期待されるとやる気を失くしてしまうんです。そこは自分でも厄介だなと思っているんですけど(苦笑)……期待されていなくて自分の仕事ではないということを勝手にやって驚きを与えたときは、わりと達成感がありますね。たとえば、「明日30分くらい講演してよ」と頼まれて、次の日にめちゃめちゃクオリティーの高い資料を70ページくらい作っていったら、ちょっとおもしろいじゃないですか。そういうのが好きだということに、自分で気付きました(笑)。

――けんすうさんのお話を聞いて、斜め上をいく発想も必要なのだなと感じます。学生時代にこれをやっておいてよかった、逆にこれはやっておけばよかったと思うことはありますか?

やっていてよかったことは、優秀な大学生たちと出会うことですね。卒業後に有名になったり、企業の役員になったり、みんなどんどん出世していくわけですけど、大学時代から友だちだと、利害関係なくずっと友だちでいられるので。nanapiの共同創業者は中・高の友だち、役員は高校からの友だちや大学時代からの友だちが占めているし、そういう繋がりはいまだに効いている気がします。

やっておけばよかったと思うのは、工場でのアルバイトですね。この8年くらい、ずっと思い続けているんですよ。nanapi 時代にBOOKOFFと仕事をしたとき、工場を見せてもらったら、オペレーションがめちゃめちゃ最適化されていて。工場の人たちが提案をして、それが採用されると貼り出されたりして、職場環境もすごくいいし、生産性も高いんですよ。共同創業者は某パン工場で働いたことがあって、ずっとバナナの皮をむき続けたりしたという話を聞くと、いいなぁと思います(笑)。

やりたいことが見つからない人は、市場が求めているものからやっていくといい

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――人との出会いや経験は、本当に財産ですよね。そんなけんすうさんが、夢に向かう人、将来自分が何をしたいのかを探している人に言ってあげたいことは?

なにか「やりたいことこと」がある人って、僕の感覚的に2割くらいしかいなくて、おそらく、ないのが普通だと思うんですよ。ということを前提に考えると、やり方が2つあると思っていて。ひとつは、さっきの“結晶化(クリスタライズ)”……これだ!と思えるものに出会うために、行動量を増やすしかないかな、と。

――視野と行動範囲を広げるわけですね。

そうです。それでも見つからない人は、市場が求めているものからやったらいいと思います。たとえば、音楽の才能が普通の人より倍あったとしても、それで食べていくのは大変じゃないですか。一方で、僕のいるIT業界だと数年後にエンジニアが70万人足りなくなると言われていて。最初から特別なスキルがなくても、ちゃんと仕事をしようという気さえあれば、プログラミングのわかりやすい教材も充実しているし、待遇はどんどんよくなって、幸せになれる率は高いと思います。

――希望が見出せる言葉です。ちなみに、ご自身のこれからの夢はありますか?

高校生みたいな発言ですけど……一発当てたいなという想いは、いつも胸にあります(笑)。

■Profile
古川健介(けんすう)

早稲田大学卒。浪人中、19歳の時に受験情報が集まる学生コミュニティ「ミルクカフェ」を立ち上げ、早稲田大学在学中には、レンタル掲示板「したらば」を運営する会社の社長に就任。卒業後はリクルートに就職。3年ほど新規事業を担当し、独立後、nanapiというハウツーサイトをリリース。現在はSupership株式会社で役員を務めている。

Twitter:@kensuu

編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:杉江優花

 

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