フルタイムとパートの違いとは?手取りや正社員との差なども合わせて解説
フルタイムやパートなど、働き方を表す言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。この記事では、フルタイムとパートの言葉の意味と働き方や手取りの違いなどについて解説します。
フルタイムとパートの違いは労働時間
フルタイムとは、雇用形態のことではなく、勤務先の会社で定める1週間の所定労働日数や時間で労働する働き方を指します。フルタイムの規定は会社によりますが、労働基準法では、1日8時間以内かつ週40時間以内を所定労働時間の上限と定めています。
フルタイムよりも短い時間で働く人のことをパートタイム労働者と呼び、一般的にパートやアルバイトのことを指します。
フルタイムパートとは、正社員と同様に所定労働時間分を働くパートのことです。パートの場合、多くは時給制なのでシフトにより月の給与は変動しますが、正社員と同等に勤務するフルタイムパートの場合は、欠勤などがなければ基本的に月の給与は安定しています。
フルタイム=正社員とは限らない
フルタイム勤務は、正規雇用と非正規雇用どちらの雇用形態でも可能な働き方なため、必ずしも正社員を指すとは限りません。
ただ、フルタイム勤務の中にも、正社員よりも責任範囲が限られた仕事を担当し、主に時給制で働く人のことを「フルタイムパート」と呼ぶところもあります。
パートと正社員の違い
パートと正社員では、労働時間や日数の違いのみでなく、契約期間の有無、給料や手当などの待遇、仕事内容の責任範囲などに違いがあります。
パートと正社員は安定した給料と雇用期間に差があります。長期雇用を前提とする正社員は契約期間のない無期雇用が一般的ですが、パートは有期雇用であることも多いです。また、給料面は時給換算した額の差のみではなく、正社員は月給制や年俸制のため、祝日や年末年始などの休日日数に左右されずに一定額が給与として支払われますが、パートは時給制が多く、働いた時間分が支給されるため、月による変動が出やすくなります。また、正社員は賞与(ボーナス)や退職金、住宅手当など、その会社独自の福利厚生制度の手当を受けられる場合が多いですが、パートは対象外となるものも多いです。
仕事内容は、正社員は会社の業績貢献を求められるため、責任範囲が広く重くなりやすいですが、パートは一般的には決まった業務内容を担当し、トラブルやイレギュラーなことは正社員に対応してもらうなど、責任範囲は軽くなります。
■正社員とパートの業務内容に差がない場合
2021年4月より全面施行されたパートタイム・有期雇用労働法では、正社員とパートの不合理な待遇差を禁止しており、仕事内容が同じで、人事異動や役職の配置など人材活用の仕組みや運用が雇用期間終了まで同じであれば、通常の労働者(≒正社員)とパートタイム労働者に同様の待遇を与えることとしています(第9条)。
パートであるにもかかわらず、正社員同様の仕事内容で給与や待遇に差がある場合は、会社にその理由の説明を求めることができ、不合理であれば正社員同様の待遇を求めることができます。
フルタイムパートで気を付けたい手取りのこと
フルタイムパートに近い働き方をすると、パート代が一定の年収額を超えるため、税金や社会保険料が引かれて、手取りが減るケースが多いです。税金は年収が一定金額を超えた分に税率をかけて税額が決まるため、負担が徐々に増える仕組みですが、社会保険は加入すると年間20万円超となり手取りに大きく左右します。
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では、フルタイムパート勤務を考えている方向けに手取りのシミュレーション例を紹介します。時給1100円、1日7時間勤務とすると年収は184万8000円です。そこから所得税、住民税、社会保険料(勤務先で加入)が引かれるため、手取りは約150万円前後となります。夫の配偶者控除も150万円を超えると満額ではなくなるため、世帯全体の手取りも数万円減ることになります。参考までに女性の正社員の平均年収は約324万円、手取り250万円程度となります。
■フルタイムパートと正社員の年収と手取り額の目安
フルタイムパート | 正社員 | |
年収目安 | 184万円程度(※1) | 324万円程度(※2) |
手取り額目安 | 150万円前後 | 250万円前後 |
引かれるもの | 社会保険料、所得税、住民税 | 社会保険料、所得税、住民税 |
勤務時間数 | 1日8時間、週5日勤務(休憩1時間) | 1日8時間、週5日勤務(休憩1時間) |
夫の配偶者控除 | 一部あり | なし |
※1)パートの時給は1100円として計算
※2)厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況(P14)」正社員女性の平均月収×12ヵ月として計算
まとめ
同じフルタイム勤務でも、パートと正社員では手取りは大きく異なります。パートタイム・有期雇用労働法では、事業主にパートタイム労働者へ正規雇用への転換の機会を与えることも義務付けており(第13条)、仕事の責任は重くなりますが、手取りを増やしたいと考える人は、社内の正社員登用制度がないか、会社に確認するのも良いでしょう。