パートの労働時間の上限は?法律上のルール・社会保険加入要件を解説
パートで働く際の労働時間には法律上で定められた上限と、社会保険の加入条件に関わる時間とがあります。それぞれ詳しく解説していきます。
労働時間のルールは雇用形態関係なく同じ
労働時間の上限や、社会保険加入などに関する所定労働時間の決まりは、パート、アルバイト、正社員、契約社員、派遣社員など、雇用形態に関係なく同じルールが適用されます。有給休暇などの適用も雇用形態でのルールの違いはありません。
法定労働時間は1日8時間・週40時間
労働時間の上限は、パート・アルバイト・正社員などの雇用形態に関係なく、労働基準法で「休憩時間を除いて1日8時間以内、週40時間以内」と定められています。これを法定労働時間といいます。
法定労働時間を超えた残業は時間外労働となり、会社は25%以上の割増賃金を加算して支払う必要があります。さらに時間外労働が月60時間を超えると、超えた分の割増賃金率は50%以上となります。
社会保険加入は週20時間以上の労働時間から
法定労働時間の上限に達していなくても、労働時間が週20時間以上になる人は、パートなどの雇用形態に関係なく、雇用保険や社会保険に加入が必要になる場合があります。以下で加入条件を詳しく解説します。
雇用保険
学生以外の労働者のうち、31日間以上働く見込みがあり、雇用契約で定めた所定労働時間が週20時間以上となる人は、雇用保険の加入対象となります。残業などで週の労働時間が一時的に20時間以上になったとしても、直ちに雇用保険に加入とはなりませんが、シフトなどで週の労働時間が20時間以上となるのが常態化すれば加入義務があると判断され、加入義務が発生した月に遡って加入することになります。
雇用保険料は、会社と労働者双方で負担し、一般の事業の場合、労働者は毎月の給与の0.6%を支払います。
健康保険・厚生年金保険
従業員数101人以上の会社に勤める人は、雇用形態に限らず以下の条件を満たすと健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります。
・週の所定労働時間が20時間以上である
・月額賃金が8.8万円以上(年収105.6万円)
・2カ月を超えて雇用される見込みがある
・学生ではない
上記を満たさなくても、週の所定労働時間及び月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上の人も必須加入となります。保険料は会社と折半となり、毎月の給与から天引きされます。
こちらも、残業が重なって一時的に労働時間が加入条件を超えてしまったとしても、即加入となることはありません。ですが、月単位で連続して基準を超えると、社会保険に加入し、超えた月まで遡及して保険料を支払う場合もあります。社会加入の規定は協会や組合により基準が異なるので、詳細は会社に問い合わせてみるといいでしょう。
パート主婦は年収の壁を意識
パートとその他雇用形態に法定労働時間の上限の違いはありませんが、労働時間数によっては雇用保険や健康保険、厚生年金保険などに加入しなくてはならなくなります。また、パートで働く主婦は、年収によっても税金や社会保険への影響があり、自身の所得税が課税対象となる年収103万円、夫の社会保険の扶養を外れる年収130万円、夫が税制上優遇される配偶者控除が段階的に減少する年収150万円など、年収の壁が存在します。
税金や社会保険料の負担は手取りが減ることになるので、パートで働く際は労働時間数だけでなく、年収と合わせてどのような働き方が家庭にとって最適なのかを考えてみるといいでしょう。
年収の壁は、下記の記事も参考にしてみてください。
>扶養控除・扶養内に押さえたい年収とは?106万、130万、150万の壁で気をつけること
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