子の看護休暇とは?有給になる?対象者など取得要件を解説<専門家監修>
子の看護休暇とは、子どもの病気やケガなど看護が必要なときに利用できる休暇制度です。この記事では看護休暇がどんな制度なのか、休暇取得の条件や取得できる日数、取得した際の給与の有無などについて解説します。
子の看護休暇とは
子の看護休暇とは、小学校就学前の子どもを育てる労働者が、有給休暇とは別に、子どもの病気やケガ、検診、予防接種などを理由に利用できる法定休暇制度のことをいいます。
子の看護休暇は、育児・介護休業法により定められており、現在は、「子どもが小学校入学前までの子ども」となっていますが、今後「小学校3年生修了までの子ども」に拡大する方向で厚生労働省での検討が2023年5月以降始まっています。
介護休暇との違い
介護休暇と子の看護休暇は、自分以外の家族の面倒を見るための休暇という意味では同じで、取得日数や1時間単位で取れるのも同じです。子の看護休暇は、対象が子と限定されますが、病気やケガの程度は問わずに取得できます。一方で、介護休暇は、介護が必要な家族の幅は広いですが、取得が認められる介護状態には一定の基準が設けられています。
対象家族 | 対象家族の状態 | |
子の看護休暇 | 子 | 病気やケガの程度は問わず、労働者が子の看護のために必要と判断すれば取得可 |
介護休暇 | 事実婚を含む配偶者、実父母、配偶者の父母・子、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫 | 負傷、疾病、身体上や精神上の障害によって2週間以上にわたって常時介護が必要となる状態 |
子の看護休暇の取得要件
ここからは、取得できる人や取得事由、休暇の日数について詳しく解説します。
取得できる人の要件
日雇い労働者を除いて、小学校就学前の子どもがいる正社員、契約社員、パートタイム、アルバイトなど、雇用形態や雇用期間、出勤日数に関わらず制度を利用できます。
ただし、労働者と労使協定を締結している企業は、「1週間あたりの労働日数が2日以下」や「雇用期間が6か月に満たない」労働者に対して取得を拒むことができます。
取得できる事由
取得事由は、以下いずれかに該当すれば取得が可能です。
② 慢性疾患による定期的な通院の付き添い
③ ケガをして通院した場合の付き添い
④ 健康診断の付き添い
⑤ 乳幼児健診の付き添い
⑥ インフルエンザなど予防接種の付き添い
など。
取得できる日数や時間
取得日数は、子どもが1人なら年間5日、2人以上なら10日が上限で、年度ごとに付与されます。子どもが3人以上いても10日の取得限度となります。子どもが2人以上いる場合の休暇の割り当て方には制限はなく、1人に10日分を使うことも可能です。
休暇の取得は、1時間単位からできます。その際は、取得した総時間が「取得権利のある日数×1日の所定労働時間」以内に収まっていれば、何日に分けて取得しても問題ありません。
休暇中の給与の有無
子の看護休暇取得中の給与に関して育児・介護休業法での定めはなく、有給か無給かは企業の判断に委ねられています。無給であっても、法的には看護休暇の取得によって不利益な取り扱いをすることは禁止されており欠勤とはなりません。
対象となる子どもがいて有給を使い切り、これ以上休むと欠勤となってしまう人は無給であっても使っておくと、欠勤扱いによる評価や賞与査定などのマイナスを避けることができます。
取得方法
子どもの病気やケガは緊急事態で事前にわからないケースが多いため、看護休暇の申請や取得は口頭、電話、メールなどの方法で行う企業が多いようです。
細かいルールは企業によって異なりますが、申請の際には労働者の氏名、子どもの氏名および生年月日、休暇の理由、取得する日時などを申告するほか、企業によっては病気やケガに関する証明書の提出を求めるケースがあるので事前に就業規則などで確認しておきましょう。
渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
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