【街で見かけた「働く人」劇場】深夜のコンビニ店員さんの話
人間の内面は外見にも現れるとよく言いますが、必ずしもそうじゃないよなーと筆者(私)は思います。
悪いことをしそうな人とかは大抵イイ人そうな見た目をしているとはよく聞く話ですし、今すごく流行っている某少女マンガの主人公の某猛男とか見た目はゴツくて“ギリギリ人類”だけど彼女のことも友達のことも大切にするメッチャいい人ですし。
というわけで、私は人を見た目で判断することはほぼないのですけれど、近所のコンビニにすっっっっごく怖い見た目の男性店員さんがおりまして。
その店員さんは、スキンヘッドだし眉毛も全部剃ってらっしゃるし筋肉もムキムキ。先ほど「私は人を見た目で判断することはほぼない」と言いましたが、「ほぼない」とは「たまにはある」ということで、つまり彼は私の中では稀な「見た目で中身を判断しちゃった人」なのです。
そのコンビニを毎日のように利用している筆者は、その店員さんがいると「どうか他のレジにどうか他のレジに」と願っていたのですけれど、ある日、深夜にお酒を買うため、そのコンビニに行ったところ、なんと! その店員さんと近くにある交番のお巡りさんがレジを挟んでしゃべっているではありませんか!!
この状況なんか怖い帰りたいと思ったものの、もうコンビニに入り「いらっしゃいませ」と言われたからには即Uターンもできず、商品を選ぶフリをしながら店員さんとお巡りさんの会話を盗み聞きしていたら―――
お巡りさん「いつもお疲れさま」
店員さん 「ありがとうございます」
お巡りさん「ここ(の地域)、治安悪いからさ、夜とか特に大変だったんだけど、君がここで働くようになってからは(このコンビニでの)深夜のトラブルはなくなったね」
店員さん 「僕、見た目怖いですから。防犯のためにシフトは深夜にしか入れてないんですよ」
お巡りさん「ああ、だから夜は毎日いるんだね!」
「ああ、だから夜は毎日いるんだね!」と、筆者も心の中で言いました。確かに、その店員さんの姿は夜遅い時間帯でしか見たことがなかったわけで。
話をしている店員さんは、とても感じがよくて、怖そうな見た目とは正反対。その「見た目が怖そう」という、実生活なら弱みになるかもしれない要素を、コンビニでバイトをするにあたっては強みに変えるという、すごい機転!
以前は怖がっていたくせに、その一件で「この店員さん、カッコいい!!」と思った筆者、深夜にコンビニで彼と会えなかった日はションボリするようになってしまいました……。
……で、これは余談ですが、「目は口ほどにモノを言う」といわれるように、見た目よりも「目(瞳)」の方が、その人の内面を表していると思います。例のコンビニ店員さんも、よく見るとすごくキレイな瞳をしていらっしゃいました。そして私の目は某梨の妖精のように曇っています。

1988年生まれ。フリーライター。武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。