【街で見かけた「働く人」劇場】人間力の高いコンビニ店長さんの話
「文系大好き♪」「理系萌え♪」「結婚するなら年収1000万以上の男♪」など、人や物事を分類して、好き嫌いを判断していませんか?
今回は、「肩書き」や「ブランド」や「属性」に固執していると、良き出会いを棒に振る可能性がある――そんなお話です。
舞台となるのは、コンビニ業界の大手のなかのひとつ。
実は筆者、「ここはほかより遊び心がなくてつまらない」と、勝手に苦手意識を持っていました。勝手な先入観で、あるコンビニ業界の大手のひとつを毛嫌いしていたのです。
でも、ある時どうしてもコンビニに用があり、入りました。その避けていたコンビニに……。
――すると、そこで「奇跡」の光景を目にしたのです。
店員さんA「いらっしゃいませ~♪」
店員さんB「今のあなたの心はどう?」
店員さんC「良くても悪くても! そうさ今日のおすすめコレさえ食べれば~♪」
店員さんD「フライヤーの肉! 温かいおでん! 他にもあるけど」
店員さん全員「食べた人を元気にさせる!! 商品充実、それが××(コンビニ)!!!!」
どこの劇団だよってツッコみたくなるぐらい、完璧なコンビネーションと爽やかな笑顔で私を迎えてくださったコンビニ店員さんたち。
それまで私が抱いていた、そのコンビニへの「遊び心がないから苦手」という凝り固まった印象は、出迎えてくれた時点で払拭されました。なんつうか、遊び心っていうか、遊びまくってる! こんなパフォーマンスするコンビニ見たことない!!
しかし、なぜ先ほどのような「パフォーマンス」をするのかが気になった筆者。会計時に店員さんに経緯を尋ねたところ――
店員さん「店長の意向ですよ! 店長はどうしても遊び心を取り入れたいようで。『こういうの考えたんだけど、どうかな?』と、私たち店員に聞いて回るんです。最初は皆恥ずかしがってたんですけど、店長が率先してやる姿見てたら楽しくなってきちゃって。今では皆ノリノリですよ(笑)」
お客さんに気持よく買い物してもらうよう心がけるのは接客業の基本。
コンビニでは、レジでの接客やスムーズさ、品揃えがいいことが重要だけど、ここはその基本もおさえつつ掛け声でお客さんに楽しく買い物してもらえるような工夫をしていました。
こんなふうに、コンビニやファストフードでも、「お客さんのために」を考えてカラーを出すのは大事ですよね。そして、そのアイデアに賛同してくれるような関係性を周囲のスタッフと築けるのは、店長の「人間力」だと思います。店員さんから愛されてこそ、お客さんに気持ち良く買い物をしてもらえる「接客」が叶うわけです。上に立つ人がちゃんとした考えを持っているからこそ、このコンビニは成功しているのでしょう。
フラットな印象のある、コンビニなどのチェーン店でも、店長さんの意向によって良し悪しや個性の有無が変わってくるのだ、と改めて実感しました。
「勝手な先入観」に捉われていた自分を恥じるばかりです。
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とはいっても、生き物は「すぐに変わることができない」ので、「人間力が高くてみんなに愛されている人=イケメンか美女」という「勝手な印象」のある筆者は、イメージ上の店長さんに淡い恋心を抱いております。
1988年生まれ。フリーライター。武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。