【街で見かけた「働く人」劇場】お母さんみたいなランジェリーショップの店員さんの話
先日、下着の通販サイトを見ていたところ、どうしても新しい下着が欲しくなった筆者(私)。
ただ、もう覚えてないくらいの期間、下着を新調していないので、昔とは体型が激変している今の私に合うサイズが分かりません。ということで、通販ではなくランジェリーショップに足を運んでみました。
行く店舗はいつも同じで、決まったブランドのものしか買いません。だから顔を覚えられていたのでしょうか。店員さんは、私がお店に入るなり「まー! 久しぶりねぇ! 元気だった?」と、「おかえり!」みたいなテンションで出迎えてくれました。
最後にお店に伺ったのは1年以上前ですし、私は人の顔を覚えるのが苦手なので定かではないのですが、対応してくださる店員さんは毎回同じ人。
挨拶もそこそこに下着を新調したい旨を伝え、気になったものを一通り試着させてもらうことに。
一番気に入ったデザインのブラジャーが少しキツかったので、サイズの相談をするため、脱いだ衣類を置くスペースに服もブラジャーも散乱させた状態の試着室に店員さんをお呼びしたところ――
店員さん「(無造作に置かれた筆者の下着を見て)ダメでしょ! こんなヨレヨレのフラジャー着けてたらイイ男つかまえられないわよ!!」
さすが下着のプロ。経年劣化は瞬時に見破ります。しかし、そこでオトコの心配するとか、お母さんかよ!
店員さん「あら! 前は××カップだったけど、今は△△カップがピッタリなのね! ずいぶん大人になっちゃったのね……感慨深いわ」
さすが下着のプロ。数秒でカップの算出を終えられます。しかし、そこで「成長」に感動するとか、お母さんかよ!
店員さん「そのブラの着け方ダメ! “寄せて上げる”ってよく言うでしょ? 両ワキのぜい肉をね! サイドから寄せるように仕舞い込んで! お腹の肉を! ブラの中に上げて収めるのよ! これで玉の輿も目じゃないわ。将来安泰よ!」
さすが下着のプロ。胸が大きく見えるブラのつけ方も、懇切丁寧に教えてくれます。しかし、そこで将来に気をつかってくれるとか、お母さんかよ!
かと思いきや、「この前でたばっかりのこのブランドとかどう? 一応つけてみて!」と、新ブランドのプロモーションもキッチリやる。さすがプロ……!
接客において、「つかず離れず」の具合を見極めるのは大切なことです。お母さんみたいな感じは、筆者は距離が近すぎる感じがして最初は「苦手かも」と思ったのですが、プロモーションを挟むことで適度な距離感が生まれて心地よいな、と思いました。
店員さんのおかげで、イイ意味で実家帰りたくなりました。
1988年生まれ。フリーライター。武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。