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2016年10月12日

「話が面白い人」5つの条件│名越康文

話しが面白い人 名越康文

「話がもっと面白くなりたい」という願望を持っている人は少なくありません。しかし話が面白くなるにはテクニックやパーソナリティの影響があるので誰しもがすぐに上手くなることはできません。「話が面白い」人には何か共通点はあるのでしょうか。テレビでもおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にポイントを伺いました。

 

(1)お笑い芸人の真似をしない

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「おもしろい話がしたい」人が、一番やってはいけないこと、それは「プロのお笑い芸人の真似をする」ということなんです。

テレビのバラエティ番組で笑いを取るお笑い芸人さんを見ていると、ネタやノウハウを取り入れたらさぞかしウケるんじゃないか、と考える人は多いでしょう。でも、実際にやってみると、けっこう「寒い」ことになってしまうことが多いですよね。

それは考えてみれば当然で、素人には「芸」がないからです。彼らは長年にわたって芸を磨いてきたプロです。さらに、彼らが芸を披露しているテレビ番組や舞台というのは、日常の時間空間ではありません。テレビや舞台という非日常空間で笑いを取るために、プロの芸人が磨き続けてきた「笑いの技法」というのは、そう簡単に日常会話に持ち込むことはできない、と考えたほうが無難だと思います。

もちろん、プロの芸人の「間合い」や「切り口」は、非常に知的で、洗練されたものです。そこから学べることは少なくありません。しかし、こと「面白い話」をするために、お笑い芸人の真似をするのは、悪手中の悪手だと僕は思います。
 

(2)自分が先に笑う

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自分が先に笑ってしまうこと。実はこれこそが、日常レベルで「面白い話」をするためのコツなんですね。

「自分が先に笑ってしまう」というのは、長らくプロの話芸においては最も避けるべき禁忌です。最近でこそ、「つられ笑い」を芸に取り入れる人も出てきましたが、チャップリンの時代から現在に至るまで「他人を笑わせる」基本は「自分は笑わず、人を笑わせる」ということです。

でも、日常のコミュニケーションにおいては話は別です。私たちはよく笑う人が近くにいると、それだけでも気分が明るくなります。それは「楽しさ」が身体を通じて同調するからです。

ですから、この場合の「笑い」は作り笑いではダメ。自分が心から「面白い!」「楽しい!」と感じていることによって、周囲にその「明るさ」が伝わっていく。ですからまずは、自分自身が「機嫌の良い人」になることが重要です。自分の機嫌が良くなりさえすれば、その「楽しい空気」が周囲の人を感化していくのです。
 

(3)弱みを見せる

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「話がおもしろい」というのはそもそもどういうことでしょうか。もちろん、「おもしろい」にもさまざまなパターンがありえますが、中でも普遍的な笑いは「許しの笑い」だと僕は思います。弱い自分、醜い自分が許された、と感じたときに生じる安堵の笑いというのは、時代や性別を超えます。

わかりやすいのは「落語」の笑いですね。落語では、必ず人間の弱い部分をデフォルメした人物が出てきます。それを聞いて私たちが笑ってしまうのは、そうした弱い部分を自分たちが持っていて、しかも普段そこから目を背けていることをどこかで後ろめたく感じているからです。自分たちがもっている嫌な部分、情けない部分、弱い部分、醜い部分。普段抑圧されているそれらの「弱み」を笑い飛ば
すことで、カタルシスが訪れる。それが落語の笑いです。

自分の失敗談を上手に話すことは「おもしろい話」の第一歩だと思います。「ネットゲームにはまっていて、大事な用事を忘れちゃったんですよ」というような失敗談を聞くと、自分の悪い部分や、劣等感が許容されるような安心感が生じます。話し上手な人はだいたい、自分の失敗談をおもしろおかしく話すのが上手です。
 

(4)他人の悪口を笑いにしない

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他人の悪口というのは、しばしば井戸端会議のネタになりがちですが、長期的な人間関係を築くうえでは避けたほうがよいと僕は思います。先に述べたように、人は「弱み」を許容してもらうことによって初めて、安心して笑うことができます。他人の悪口は、たとえ笑えたとしても、聞いている人は「明日は我が身」ということがよぎって、安心して笑うことができません。悪口を聞けば聞くほど、人は自分自身の弱いところやネガティブなところに蓋をしようとして、無意識のうちに緊張してしまうのです。

綾小路きみまろさんの漫談をご存知でしょうか。僕は大好きなのですが、あれは綾小路さんの高い技量によって「絶妙のライン」をキープした笑いなのだと思います。「悪口」にならないギリギリのラインで発せられるネタは、聞き手を緊張させず、普段向き合いたくなかったマイナス面を肯定してくれます。

ただし、言うまでもなく綾小路さんの漫談は磨き上げられた名人芸ゆえに成り立つものです。安易にまねをしないようにしてください、。
 

(5)冷静さと明るさが「楽しさ」につながる

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自分が明るくしていたら、周囲の人を感化することができる、と申し上げました。しかし、注意をしてほしいのは、「機嫌がいい」「明るい」というのは、「ハイテンション」とは違う、ということです。いつもハイテンションで興奮している人というのは、落ち着きがなく、相手の話に耳を傾けるゆとりがありません。

機嫌が良くて明るい人というのは、自分からおもしろい話を話すというよりも、相手の話をよく聞いて、反応し、その話を縦横無尽に広げていくことができる人です。相手の話を聞いて、それを広げていくということは、ハイテンションの人にはなかなか難しい。

相手の話にゆったりと耳を傾けることができるような「冷静な明るさ」を身につけること。そのことが「話がおもしろい人」でい続けるための、必須条件と言えるかもしれませんね。

 
※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『Solo Time 「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行、2017)などがある。 2019年より会員制ネットTV「シークレットトーク」を配信中。

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