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2016年10月18日

【130万円から106万円の壁へ 】パート主婦の働き方は?手取り額はどう変わった?

130万円から106万円の壁へ パート主婦の働き方は?手取り額はどう変わった?

2016年10月、法制度の改正により社会保険の適用条件が拡大され、「130万円の壁」に加え、あらたに「106万円の壁」ができました。

パート勤務の人がある一定条件を満たした場合、社会保険に加入するという「106万円の壁」ができることによって、働き方や家計にどんな影響がでるのか、何が変わったのかを解説します。

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「130万円の壁」から「106万円の壁」でどう変わったか
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「106万円の壁」とは?

2016年10月以降、社会保険の適用範囲の拡大によって、「130万の壁」に加え、あらたに106万円の壁が生まれました。

これまでは、一般的にパート妻の年収が130万円未満であれば、自ら社会保険料を支払う必要がありませんでしたが(「130万円の壁」)、法改正によって、年収106万円以上で一定の条件を満たすパート妻も、厚生年金や健康保険に加入し、社会保険料を納める必要が出てきたのです。

今までは、年収130万円を注意していれば、手取りが急に減るということはなかったのですが、社会保険の適用範囲の拡大によって、年収106万円を意識しなければならなくなったのです。

また、社会保険料は、会社と本人が折半して納めることになっているので、年収106万円以上になると、会社の負担も増えることになります。

今まで、106万円から130万円未満で働いていたパート妻は、会社側から、働くペースを抑えてほしいと言われる可能性もあるので注意が必要です。

「106万円の壁」が適用される人の条件とは?

130万円から106万円の壁へ パート主婦の働き方は?手取り額はどう変わった?

改正前は、厚生年金と健康保険への加入は、1週間の所定労働時間がおおむね30時間(正社員の4分の3)以上という条件だけでした。

2016年10月の社会保険の適用範囲拡大によって、表の(1)~(5)の全ての条件を満たす場合は、厚生年金と健康保険に加入しなければならなくなりました。

<2016年10月からの社会保険適用条件>
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上
(2)月額賃金88,000円以上(年収106万円以上/残業代、交通費含まず)
(3)継続勤務1年以上が見込まれること
(4)従業員数501人以上の企業(被保険者数)
(5)学生は除く

年収106万円以上というのは、正確には、賞与・残業代・交通費などを除いた、毎月決まって支払われる賃金(所定内賃金)が8.8万円以上であるかどうかで判断します。

したがって、実際の年収が106万円以上でも、必ず社会保険に加入するというわけではありません。

また、勤続1年以上が見込まれるという条件については、期間を定めないで雇用されている場合も該当するので注意が必要です。

今回は、従業員数501人以上の企業が対象となっていますが、将来的には、従業員500人以下の企業にも適用されることが検討されています。

法改正前後で手取り額はどう変わる?

それでは「106万円の壁」の適用条件にあてはまる人の手取り額が、法改正前と比べてどのように変わったのか見てみましょう。

<例>年収120万円、時給1000円、週23時間労働で働いた場合(40歳未満)
※各保険料、税金は概算金額で、正確なものではありません。各種控除など諸条件によって、計算結果が異なることを予めご了承ください。

法改正前
■年収120万円
・各保険料5,100円(厚生年金0円、健康保険0円、雇用保険5,100円)
・税金関係32,100円(所得税8,300円、住民税23,800円)
■手取り額116万2,800円 
法改正後
■年収120万円
・各保険料169,251円(厚生年金105,351円、健康保険58,800円、雇用保険5,100円)
・税金関係7,500円(所得税0円、住民税7,500円)
■手取り額102万3,249円

このように、改正前と同じ働き方をした場合、年収の手取り金額が約14万円減ってしまことが分かります。

法改正前の約116万円の手取り額を確保するには、同じ時給で働いた場合、年収140万円、週27時間を目安に働く必要がでてきます。

法改正前の手取り額 約116万円を確保する場合
■年収140万円の時
・所得税8,400円
・住民税24,000円
・厚生年金126,852円
・健康保険70,800円
・雇用保険5,952円
■手取り額116.4万円

※年収140万円⇒年間1400時間 1400÷52(週)=26.92時間/週 ⇒27時間として計算

手取り金額のボーダーラインは年収124万円

130万円から106万円の壁へ パート主婦の働き方は?手取り額はどう変わった?

ところで、社会保険料を自分で払ったとしても手取り金額がマイナスにならないためには、年収いくら以上働くといいのでしょうか。

改正後の社会保険の適用をぎりぎり受けない、年収105万9999円で働いた場合の手取り金額を計算すると約104.4万円になります。

先ほどのパート年収120万円の手取りは102.3万円なので、まだ手取りが逆転しています。少しずつ年収を増やしていくと年収124万円で手取りが104.8万円になり、手取りの逆転は解消されます。

年収106万円を超えて社会保険料を自己負担する場合、年収124万円以上を目指すと手取り金額の逆転が解消されるというわけです。

<年収124万円以上で手取り金額の逆転が解消>
年収約105.9万円 → 手取り金額 約104.4万円 
年収120万円 → 手取り金額 約102.3万円
年収124万円 → 手取り金額 約104.8万円

「106万円の壁」によるメリットは?

年収120万円のケースで、改正前後で手取り金額が約14万円減ります。

これは、家計にとっては大きな痛手に感じるかもしれません。けれども、厚生年金、健康保険に加入することによるメリットもあります。

(1)厚生年金に加入するメリット

厚生年金に加入すると、全ての国民共通の老齢基礎年金のほか、収入や加入期間によって決まる報酬比例の年金が終身で貰えます。

この他、厚生年金に加入すると、障害状態になり、日常生活が困難になった時にもらえる障害年金や、万が一亡くなった時に遺族に支払われる遺族年金も、国民年金の制度よりも優遇されています。

(2)健康保険に加入するメリット

医療機関にかかった時の自己負担割合は、各医療保険制度共通で、基本的に本人・家族で差はありませんが、一部の現金給付(傷病手当金、出産手当金)について、差がある場合があります。

また、病気やケガ、出産によって仕事を休まなければならない場合に、賃金の3分の2程度の給付を受け取ることができます。

社会保険の適用範囲拡大によって、手取り金額(今使えるお金)は減りますが、将来もらえる年金や、生活のさまざまなリスクに備える保障という視点で捉えると、大きなメリットがあると言えるのではないでしょうか。

 
いかがでしたか?
今回の法改正によって、社会保険の適用条件が拡大されました。これを機に年収アップを目指す人もいれば、家庭の事情で仕事をセーブせざるをえない人などさまざまでしょう。

その際に、少し長期的な視点で、厚生年金や健康保険に加入するメリットも含めて考えてみてください。今回の改正で働き方の選択肢が広がったと捉えることもできるでしょう。

それぞれの家庭で事情の中で、収入のアップを目指すのか、家事・育児に力を入れるのかなど、優先すべきことを大切しながら、夫婦で話し合いながら働き方を考えてみてくださいね。

130万円から106万円の壁へ パート主婦の働き方は?手取り額はどう変わった?平野泰嗣(ひらの やすし)

FPの妻と共に「夫婦FP」として顧客の自己実現をサポート。
「自分らしく生きることを支援する」をモットーに相談者のライフ・ファイナンス・キャリアの3つの視点で総合的に支援。中小企業診断士として経営者・従業員のライフプラン支援も行っている。
http://www.mylifeplan.net/index.html

文・監修/平野泰嗣