バイトの掛け持ちで社会保険はどうなる? 扶養は?

アルバイトやパートも一定の条件を満たすと社会保険の加入義務があり、扶養に入っていた人は扶養を外れます。ここでは、アルバイトやパートの社会保険加入の基本の考え方、掛け持ちしている場合の影響について解説します。
- アルバイトやパートの勤務先への社会保険の加入条件は、会社ごとに判断します
- 掛け持ち先との合計勤務時間で、社会保険の加入を判断することはありません
- 一方で、社会保険の扶養は、掛け持ち含めた合計の収入で判断されます
アルバイトやパートの社会保険の加入について
アルバイトやパートが加入する社会保険は大きく分けると、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金保険)か国の社会保険(国民健康保険・国民年金)があります。社会保険の加入は義務のため、自らの希望でどの制度に加入するかということを選択することはできません。
アルバイトやパートの勤務先の社会保険の加入条件を満たすと、勤務先の社会保険に加入することになります。もともと国の社会保険に加入していた人は、国から会社の社会保険に変わり、家族の社会保険の扶養に入っていた人は、扶養を外れて自ら会社の社会保険に加入します。
なお、年収130万円は、勤務先の社会保険への加入基準ではなく、家族の健康保険の扶養基準です。扶養は今後1年間の収入見込みで判断され、一時的な収入増であれば扶養を継続できる場合もあります。詳しくは、扶養先の健康保険に確認してください。
アルバイトやパートの社会保険の加入条件
社会保険の加入要件は、掛け持ち先の労働時間や賃金を合算せず、勤務先ごとに判断します。
| 条件・状況 | 社会保険の加入判定 |
|---|---|
| 1社だけで要件を満たす | その勤務先で加入 |
| 2社とも要件を満たす | 両方で加入 |
| どちらも要件を満たさない | 所定労働時間が合計20時間以上でも加入しない |
両方で加入する場合は、主な勤務先を1社選び、事実発生から10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。保険料は両社の報酬を合算して決まり、各社の報酬額に応じて分けられます。
では、次に勤務先の社会保険の加入条件について解説します。以下、いずれかに該当すると加入することになります。
1社で正社員の4分の3以上の時間・日数を常時働くと加入
アルバイトなどのパートタイム労働者でも、常時、正社員の4分の3以上の勤務時間と日数を働く契約をすると会社の社会保険加入が必須となります。例えば、フルタイムが週5日、1日8時間の会社では、週30時間以上かつ月15日以上が基準です。この条件は学生を問わず適用されます。
1社で「週の所定労働時間20時間以上」などの条件を満たすと加入
4分の3基準を満たさなくても、次の条件をすべて満たすと勤務先の社会保険に加入します。
・雇用期間が2か月を超える見込みがある
・勤務先が厚生年金保険の被保険者数51人以上の企業、または任意特定適用事業所である
・学生ではない(夜間・定時制など一部の学生を除く)
・2026年9月までは、所定内賃金が月額8.8万円以上
月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定です。週20時間以上など、ほかの条件は残ります。
・臨時に支払われる賃金や、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
・時間外・休日・深夜労働に対して支払われる賃金
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当など
社会保険の扶養は、掛け持ちを含めた見込み額で判断される
勤務先の社会保険は、会社ごとの判断でしたが、配偶者や親などの負社会保険の扶養は、合計の収入で判断されます。
健康保険の扶養は、掛け持ちを含む今後1年間の収入見込みで判断され、年収130万円未満となっています(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)。
基準以上になると、原則として扶養から外れます。その後、勤務先の加入要件を満たせば勤務先の健康保険・厚生年金保険へ、条件を満たしていない場合は国民健康保険へ加入することになります。配偶者の扶養から外れ、勤務先の厚生年金に入らない20歳以上60歳未満の人は、国民年金第1号への切り替えも必要です。
なお、一時的な収入増であれば、事業主の証明によって扶養を継続できる場合があります。詳しい基準は、扶養先の健康保険に確認してください。
なお、2025年10月1日以降、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の被扶養者については、配偶者である場合を除き、年間収入要件が130万円から150万円未満に引き上げられています。
アルバイトやパートの税制上の扶養について
税制上の扶養とは、親や夫など扶養する家族を持つ人が受けられる税金の優遇制度で、扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除や特定親族特別控除があります。これらの控除は、扶養されている子どもや配偶者などの所得によって扱いが変わります。給与収入は1月〜12月の合計で、掛け持ちや途中退職した勤務先の分も含めて判断します。控除の種類によっては、年収が一定額を超えても控除額が段階的に減るため、ただちに控除がなくなるとは限りません。
詳しくはこちらでも解説しています。
アルバイト収入は掛け持ち分も自治体が把握できる
会社は原則として、従業員の住所地の市区町村へ給与支払報告書を提出します。そのため、市区町村は掛け持ち先からの給与を合算して把握できます。マイナンバーは、複数の給与情報を同一人物にひも付けるために使われます。
確定申告が必要な人は、各勤務先から発行された源泉徴収票を用意して申告します。
掛け持ちしている人で確定申告が必要な人の条件は詳しくはこちらで解説しています。
渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/
※更新履歴:2014年10月1日、2024年10月1日、2026年9月11日
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