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2024年12月04日

アルバイトも年末調整の対象になる?必要書類や申告書の書き方など解説【専門家監修】

年末調整 確定申告 税金 専門家 タウンワーク
アルバイトでも、年末調整が必要?そう疑問に思う人もいるでしょう。この記事では、年末調整とは何なのか、学生のアルバイトやパートでも必要なのかについて解説します。

アルバイトの年末調整とは

年末調整とは、その年の1月~12月に支払われた給与に対し、所得税の過不足分の精算を行う手続きです。所得税は年収によって税率が異なりますが、アルバイトの給与は予め源泉徴収として所得税が天引きされる仕組みなので、年収が確定した12月に年末調整として精算を行います。対象者は、年末時点で在籍し、会社に扶養控除等(異動)申告書を提出している人となります。
アルバイトやパートなど雇用形態に限らず、学生や主婦(夫)、フリーターなどで扶養に入っていても対象になります。未成年かなどの年齢も関係ありません。

 

年末調整の対象になる人・ならない人の条件

ここでは、年末調整の対象になる人とならない人の条件を解説します。

年末調整の対象になる人の条件

年末調整の対象になるのは、年末時点で在籍している従業員で、給与所得者の扶養控除等(異動)申請書を提出した人です。
掛け持ちで他にバイト収入がある人や出来高制の報酬など、複数からの収入(所得)がある人は、額によりますが翌年に確定申告が必要です。

<年末調整の対象者の条件>
・年末まで雇用先に在籍している人
・給与所得者の扶養控除等(異動)申請書を提出済の人

年末調整の対象にならない人の条件

上記、「年末調整の対象者の条件」のうち、どちらか1つでも満たさなければ年末調整の対象にはなりません。他にも、年末調整の対象にならない条件もあるので、自分で確定申告を行う必要があります。

<年末調整の対象とならない人>
・年末前に退職した人
・いずれのバイト先にも給与所得者の扶養控除等(異動)申請書が未提出の人
・1年間に支払いを受けた給与額面が2,000万円を超えている人
・災害減免法の規定※により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人上記いずれかに当てはまる人
※災害減免法というのは、災害によって住宅や家財に一定以上の損失を受けた場合、所得税が軽減か免除される制度です。

参考:【国税庁】年末調整の対象となる人

 

学生バイトが提出する書類とは

年末調整で所得税を計算する上で必要となるのが、さまざまな所得控除の申告書です。所得控除とは、各納税者の個人的な事情を加味して税負担を調整するもので、主に4種類あり、アルバイト・パートなど、雇用形態に限らず全従業員が提出するものは2種類になります。そのほかにも、該当する場合は提出が必要な書類もあります。

<年末調整で学生バイトが提出する必要のある書類>

必要可否
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 全員必要
基礎控除申告書・給与所得者の配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書 全員必要
給与所得者の保険料控除申告 生保やIDECOなど該当する契約者は必要
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン契約者で控除を受ける場合は必要

 

アルバイトの年末調整の必要書類

年末調整で提出が必要な書類について、それぞれ詳しく解説していきます。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

年末調整を受けるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をバイト先に提出している必要があります。この書類は、扶養している家族がいるかを申告し、個々の事情に合わせて税金を軽減するための書類です。学生のアルバイトであれば、扶養している家族がいる人の方が少ないと思いますが、この場合でも、配偶者や扶養家族がいないことを会社にきちんと報告するために必要な書類になります。
また、この書類は扶養家族がいる場合に控除が受けられる扶養控除以外にも、勤労学生控除を受けるためにも必要ですので、忘れずに提出しましょう。勤労学生控除を利用すると、27万円の控除を受けられ、一般的には収入が103万円を超えるとかかる所得税が、130万円以下までかからなくなります。
参考:【国税庁】各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)

基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

基礎控除とは、給与の合計が2,500万円以下の人を対象に、合計所得金額に応じて最大48万円を控除するものです。
また、結婚していて世帯主となっている人の場合に、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の所得が一定額以下であれば、この申告書を提出することによって、配偶者控除および配偶者特別控除の適用を受けることができます。結婚していない学生の場合も基礎控除の対象になるかどうかの判定のために提出が必要となります。

給与所得者の保険料控除申告書

アルバイトやパート本人が生命保険や地震保険など、該当する保険の契約者である場合、または自分自身で社会保険やiDeCoなどに加入している場合は控除を受けることができます。該当する保険に加入していなければ、提出する必要はありません。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

住居を買うために住宅ローンを組んだ場合、条件を満たせばローン残高の最大0.7%(令和4年1月1日以降に居住を開始した場合)まで控除が受けられます。
年末調整の全体の流れはこちらの記事で詳しく解説しているので、合わせて確認してみてください。
【専門家監修】学生・主婦(主夫)必見!年末調整の全体の流れをすべて解説

 

アルバイトの年末調整の申告書類の書き方

年末調整の申告書類の書き方について解説します。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方

親などに扶養されている学生アルバイトの場合は赤で囲っている部分に氏名や個人番号など、本人の情報を記入します。青枠部分は雇用主の情報になるので、会社によっては記載されていることもあります。空欄の場合は、会社に書き方を確認して必要であれば記入しましょう。

【学生アルバイトの場合の記入例】

基礎控除申告書の書き方

基礎控除申告書は、本人情報欄だけでなく、左側の合計所得金額欄も記載が必要です。以下では、学生でアルバイト収入のみ、年収103万円以下の場合の書き方を紹介します。

【学生アルバイト・年収103万円の場合の記入例】

①本人情報欄
右上の本人情報欄には氏名、フリガナ、住所を記載します。
②収入金額欄
今年の年末までの見込みの年収を記入します。(例:1,030,000円)
年収とはバイト先から支払われた金額のことで、交通費を除いた、税金などを差し引く前の額面での金額です。
③所得金額
次に裏面の表(下記参照)より所得金額を計算し記載します。収入金額が1,030,000円なので、赤枠部分を参照し、1,030,000-550,000=480,000円となります。
④給与所得以外の所得の合計額
給与所得以外の収入があれば記載します。給与所得のみであれば空欄もしくは0円と記載します。
⑤本年中の合計所得金額の見積額
「所得金額」と「給与所得以外の所得」の合計額を計算し、この場合は480,000円と記載します。
⑥判定
控除額の計算は、収入金額が1,030,000円なので、900万円以下にチェックをいれます。
⑦区分⑧基礎控除の額
判定表にある区分「A」と基礎控除の額「480,000円」を記入します。

アルバイトで年収103万以下なら年末調整は不要?

アルバイトの年収が103万円以下で、給与から源泉徴収されていない場合でも、年末調整の書類は提出が必要です。年収103万円以下は所得税の課税対象外となり、源泉徴収されていなければ還付金も発生しませんが、所得税法上一定金額以下の人は年末調整を受けなくてもよいという規定はありません。月収が8万8,000円を超えた月がある場合、その月は源泉徴収が発生します。その後、1年の収入合計が103万円以下であれば、年末調整で源泉徴収分が戻ります。なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をいずれの会社にも提出していない場合、年末調整の対象外となるため、未提出の場合は確定申告が必要です。

 

こんな場合、年末調整はどうする?

ここでは、3つのケースを例に、年末調整はどうすれば良いのかを見ていきましょう。

アルバイトを掛け持ちしている場合

掛け持ちバイトをしている人は、メインのバイト先で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して、年末調整をしてもらいます。年末調整されるのはメインのバイト代のみになるので、掛け持ちを含めたバイト代の申告をするため、退職時または年始にすべてのバイト先から源泉徴収票をもらって自分で確定申告をすることになります。

報酬や株の売買などの副収入がある場合

ウーバーイーツやyoutubeなどバイト代以外の報酬、配当や株の売買益などの副収入は年末調整での申告対象にはなりません。バイトもしている人は、年末調整をメインのバイト先で行い、年始に確定申告も行いましょう。

年の途中でバイトを辞めた場合

辞めた元のアルバイト先での年末調整は行えません。アルバイトを辞め、そのまま年末まで次のバイトをしなかった人は、退職先から送付される源泉徴収票をもらって自身で確定申告をします。
新たにアルバイトを始め、年末まで続けた人は、退職先の源泉徴収票を新たなバイト先に提出して年末調整を行うことで、自分で確定申告をせずに済みます。

扶養控除等(異動)申告書を提出していない場合

年末調整を受けるには、アルバイト先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要があります。年末調整を受ける人は雇用形態に関わらず全員提出する必要があり、もし「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しなかった場合は、年末調整をしてもらうことができません。
アルバイト先は、この申告書の内容や提出の有無をもとに月々差し引く所得税額(源泉徴収税額)を決めています。提出しなければ、月収が少なく本来所得税がかからない人にも3%程度の税金がかかり、提出しないだけで源泉徴収税額が増える、つまり毎月あたりの手取りが減ってしまうことになります。

■監修:渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/

※記事公開:2019年02月08日、更新履歴:2022年1月6日、2022年10月24日、2024年12月4日

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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