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2017年03月29日

武瑠(SuG)インタビュー『仕事がキツい=経験値が上がるという考えを学んだバイト時代』【俺達の仕事論vol.5】

Sug 武瑠 インタビュー タウンワーク バイト V系

日夜、洗練されたメロディやリズムでファンを魅惑し続けるヴィジュアル系バンドのアーティストたち。いまは表舞台で活躍する彼らだが、そこに至るまでには様々な苦労体験や成長エピソードがある。この連載では、そんな彼らが日頃語らない過去の出来事やバイト体験について掘り下げます。

2017年に結成10周年の節目を迎えるSuG(サグ)のヴォーカリスト武瑠(たける)。バンド内では、作詞や、衣装、アートワークに至るまでトータルプロデュースを手がける。バイトで得た先輩の教えや、映画・ファッションなど多方面にもアンテナを持つ彼ならではのルーツについてお話を伺いました。

 

ちょっと背伸びして働くことが嬉しかった学生時代

——武瑠くんが最初にバイトをしたのは、どんなところでしたか?

飲食店でした。最初は友達の紹介で始めたんですけど、お金稼ぐというより完全に好奇心でしかなかったですね。そこはまかないが美味しかったので、それだけで満足でした(笑)。学生の頃って、背伸びしたい時期だし、自分が働いてお金がもらえるということに、純粋に喜びを感じていました。

最初にバイトしたお金で買ったのは、憧れていたミュージシャンと同じブランドのラバーソールでした。まだミュージシャンを目指していたわけではなかったけど、ファッションとして憧れていて。それは今でも持っています。

——飲食店でのバイトが多かったんですか?

そうですね。ほかには『SUBWAY』と『五右衛門』でもバイトをしていました。その時は、時給と家からの通いやすさで選んでいました。

 

今でも教訓となっている店長の言葉

Sug 武瑠 インタビュー タウンワーク バイト V系——バイト先で学んだ印象的な出来事はありましたか?

「“出来るやつほど仕事が多い”かな(笑)。労働基準法もあるし、一概に仕事が多いほうがいいと言うつもりはないけど、いつも定時で上がる先輩がいたんです。その先輩は何をやらせても遅いし出来ない人だったから、仕事の量も少なかったし、それに対して誰も何も言わなかったんです。でも俺は仕事が多かったから、残業もあったし、すごく損をした気分になって。

それでちょっとふてくされていたら、店長に“出来ないやつに仕事を振っても永遠に終らないんだよ。仕事っていうのは、お金だけじゃなくて、人同士が支え合っているものだから、自分が必要とされていて、ソイツよりも経験することが多い分、自分の経験値が上がるんだって考えたらいいんだよ”って言われて、それが今も心の中に残っていますね。経験値が上がるって、すごくいい言葉だなと思って。

もちろん、仕事をした分の残業代は欲しいですけどね(笑)。でも、そんな分単位で、お金に換算していたら、すごく人間的にギスギスしちゃうだろうし。その言葉は、今でも自分の中の教訓になっている気がします。その店長の人柄もあったと思うんですけどね。

仕事を任せるって、言い方一つで強制になってしまうけど、ちゃんと仕事の在り方から教えてくれたことを、すごく感謝しています。結局、そこで1番長くバイトしましたからね。SuGが始まってからも、しばらく、その飲食店でバイトしていたんですけど、バンドが忙しくなったタイミングで辞めました。

——ライヴハウスやCDショップなど、音楽に関するバイトをしようとは思わなかった?

音楽は好きでしたけど、その考えはなかったですね。でも、映画のエキストラのバイトはしていましたよ。たまに、ファンの人に見つけられることがあって、ちょっと恥ずかしいんですけどね(笑)。

——エキストラのバイトをやろうと思ったキッカケは何だったんですか?

ミュージシャンを目指す前は、映画監督になりたかったんです。それで、自分も演じる側から映画というものを知りたいなと思って、エキストラのバイトを選びました。そこでバイトしたお金を貯めて買ったのが、VIVIENNE WESTWOOD のアーマーリングなんです。ラバーソールとアーマーリングの2つは、自分の中ですごく思い出深いですね。ミュージシャンに進む為の2つだった気がするんですよね。

 

『NANA-ナナ-』に影響を受けて始めたバンド

Sug 武瑠 インタビュー タウンワーク バイト V系——ミュージシャンを目指した直接的なキッカケはなんだったんでしょうか?

昔から憧れはあったんですけど、漫画の『NANA-ナナ-』を読んでドハマりして、バンドを始めようと思いました(笑)。もしかしたら、『Paradise Kiss』を先に読んでいたら、服飾に進もうと思っていたかもしれないくらい、矢沢あいさんの作品には影響を受けているんですよ。

——そういえば、武瑠くんは自身でブランド『million $ orchestra』を持っていますよね? 服飾系のバイトという考えもなかったんですか?

俺ね、そういうところはすごく俯瞰(ふかん)で見てたんですよ。きっと、好きなことを中側から知っちゃうと、好きじゃなくなっちゃうと思ったんです。好きだったり、得意だからこそ、中に入ると縛られて嫌いになると思った。

音楽がそことちょっと違うのは、好きだけど、苦手だったから余計に惹かれたんだと思うんです。ガムシャラにやるしかなかったから。今、服で仕事が出来ているのは、自分のブランドで思ったとおりに出来ているからで、どこかのブランドの中で働くという形だったら、続いていないと思います。

 

衣装を作りたくてブランドに飛び込み営業!?

Sug 武瑠 インタビュー タウンワーク バイト V系——もともと服飾をやり始めたキッカケは?

SuGの衣装をオリジナルの生地で作りたいと思ったのがキッカケでした。どうしても、曲や歌詞のロゴとかが入っている生地で、衣装を作りたかったんです。でも、生地を作るには大量に作らなくちゃいけなくて、衣装だけを作るのは無理だったので、協力してくれる人を探すために、あるブランドの展示会に、知り合いも誰も居ないのに行きました。

そこで、打込みで作ったSuGの『39GalaxyZ』のデモを渡して、“SuGの武瑠と申します。服を一緒に作りたいので、これ聴いてもらっていいですか?”って、直談判したんです。本当に無鉄砲ですよね(笑)。

——他に衣装になったものもあるんですか?

『☆ギミギミ☆』の時の衣装もそうですね。その時の『串刺しベリー』がすごく売れたんです。柄の名称なんですけど、自分であまおうを買ってきて、釘を刺してチョコレートを付けて固めて“串刺しベリー”を撮影して生地にしたんです。そのシリーズが奇跡的に売れたことで、ブランドが確立した気がします。そこはSuGというバンドの進み方と似ていますね。

——似ているというのは?

今はダンスビートなどを楽曲に入れ込んでいくのがSuGの個性になっていますけど、SuGを始めた当初は、音楽面でも試行錯誤の連続で。個人的には、最初からラップとかが入ったミクスチャーロックを取り入れたものがやりたかったんですけど、バンドとして形にするのが難しくて。

だから、ファッションもバンドも最初から確固たるコンセプトがあったわけではなく、だんだんと進化していった感じなんです。今年は、SuGも10周年なんですけど、地道にやって来ての今だと思いますね。諦めなかったことも大きいと思います。

 

“何が得られるかを自分で感じること”が大事だと思う

Sug 武瑠 インタビュー タウンワーク バイト V系——改めて聞きますが、バイト経験と、今の仕事に共通する部分はあると思いますか?

 ちゃんと自分が信じたことをやり通す意志だと思います。“何のためにやっているのか”とか“何が得られるかを自分で感じること”。そうやって何かを得ようとする意識を持つことが、1番大事なことだと思います。

——では最後に。9月2日には念願の日本武道館もひかえていますね

10年かけたSuG人生のなかの夢の1つです。“好きだけど苦手”だったからこそのめりこんだ音楽だったけど、この10年を共にしてくれたメンバーと、ファンやスタッフ、関係者、みんなで行きたい場所です。今のSuGをぜひ見に来てください。

 

■Profile
武瑠
(SuG)

独自の感覚で音楽やファッションをミックスし、作詞や、衣装、アートワークに至るまでトータルプロデュースを手がける。SuGの作品と連動する形で、デザイナーとしてブランド「million $ orchestra」を主宰し、ファッション面においても高い評価を受ける。2015年には監督を務めた短編映画「WE CRY OUT HELLYEAH」が第11回山形国際映画祭でアーティストシネマ賞を受賞。小説の執筆や、昨年劇場公開された映画「少女椿」にも俳優として出演するなど、多岐に渡って活躍中。

◆SuG OFFICIAL SITE:https://sug-web.jp/
◆武瑠 Official Twitter:@sug_takeru

企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:武市尚子 撮影:河井彩美

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