カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」フードデリバリー・宅配バイト編

先日、というほどではないが誕生日を迎えた。
しかし、当方すでにアラフォーである。
誕生日おめでとう、と言われたら「もうこの年になったら誕生日なんて嬉しくないわよ」と、平素は全く使わない「女弁」で肩をすくめて見せ「いくつになったんですか？」と聞かれたら「コラ！レディに年を尋ねるなんてマナー違反だぞ！」と、差し歯を抜いて相手にぶつける、というのが、スタンダードジャパニーズ中年の誕生日に対する反応だ。

しかし、個人的にはそういうのは良くないと思う。
中年が「誕生日なんか嬉しくない」という態度を取るから、余計「若さこそ至上」いう意識が日本に蔓延してしまうのだ。
確かに肉体的に衰えることはハッピーではないが、それは日々起こっていることであり、誕生日になった瞬間、膝頭が破壊されるというシステムではない。
たかが年齢という数字が一つ増えたぐらいで

よって、誕生日おめでとうと言われたら、こちらもダブルピースで舌先を鼻の頭につける、という最高におめでたい顔で応答するようにしている。

そして、今年の誕生日にはある挑戦をしてみようと思っていた。

「宅配ピザ」を頼むことだ。

誕生日には一応外食をすることになっているのだが、当方コロナ以前から「自室神推し同担拒否過激派」である。
家から出なければいけない、というだけでテンションが下がる。
それにご時世的に外出も外食もしづらい空気も感じる。

今まで貧乏性ゆえに、配達料のかかるデリバリーを頼む勇気はなかったが、挑戦するなら時代が味方している今しかない。

そこで早速、某有名出前サイトに登録し、我が家にピザを届けてくれる店舗を検索したところ「貴様の家に届けられるのは『花』しかない」という結果が出た。

そんなわけで今回のテーマは「フードデリバリー・宅配バイト」である。

 
気になるフードデリバリー・宅配バイトは
ここからチェック！>>
 

相変わらず外出自粛が続いている今、通販もアツいが「フードデリバリー」もアツい。
しかし、フード自ら配達先に歩いてはいけないし、よしんば歩けたとしても到着するころには、ラーメンの汁が三分の一ぐらいになっているだろう。
食べ物の品質を損なわず、スピーディに配達する配達員が必要不可欠であり、今その需要は高まっている。
しかしフードデリバリーのバイトにも種類がある。

まず「デリバリー・宅配バイト」には、特定の飲食店に勤務する場合と、配達代行会社に勤務するものに分かれる。
そして配達代行業者でも、配達代行業者に勤務するタイプと、委託契約をして配達業務を請け負うタイプがある。我が屋に「花」しか届けてくれない、出前の館的サイトは勤務タイプで、「乳母がなんか食ってる」みたいな名前の有名フードデリバリーサービスは委託タイプだ。

特定の飲食店に勤務する場合は、例えばピザ屋なら勤務先の店舗に出勤し、配達用のバイクなどの点検、そして注文が入り次第配達先にピザを届けて店舗に戻り、注文があったらまた配達する、という繰り返しだ。
配達がない場合はチラシのポスティング業務などをする場合もある。

配達代行会社勤務の場合、まず代行会社の拠点へ行き、制服や釣銭、ナビ用スマートフォンなどが渡され、配達に使用するバイクや自転車も貸与されるので安全点検も同時に行う。
拠点で待機し、注文があるとスマホに連絡が行くので、指示に従い、料理を用意する店舗へ行き、料理を受け取り配達、注文があればその足で次の店舗に行き、なければ代行会社店長の指示に従い、注文の多い地域で待機、またはポスティングとなる。

委託で請け負う場合は、配達用の自転車、スマホなどは自前、担当エリアの注文が入るとスマホに連絡が来るので、店舗へ行き、受け取った商品を注文先に届ける、という流れだ。
請け負うのは配達だけなので、ポスティングなど、別の業務はしない。

特定飲食店勤務のメリットは、料理を受けとる場所も運ぶ物も決まっているため、慣れやすいという点ではないかと思う。
一方、代行会社は毎回どこの店舗に料理を取りにいくかわからず、運ぶ物もまちまちだ。
時には「スープが表面張力でギリギリもっていることがウリ」な難易度の高い食品を運ぶこともないとは言い切れない。

慎重さに自信がない人は、特定飲食店勤務、さらに「げんこつせんべい」など、多少の振動では動じない食べものを運ぶ勤務先を選ぶ方が良いかも知れない。
一方代行会社勤務の方には「シフト調整が簡単」というメリットがあり、かなり自由度の高い働き方が出来るそうだ。

業務委託の場合は、配達業務さえやれば、あとは自由で、シフトという概念もなく、より自分の都合に合わせた働き方ができる。

よって配達代行会社でのバイトは副業や、空いた時間にちょっと働きたい、もしくは短期間でガッツリ稼ぎたいという人にオススメである。
バイクや原付免許を必要とする場合もあるが「チャリで来た」がOKのところもあるので、補助輪なしでチャリに乗れる人なら選択肢にいれられるアルバイトである。

賃金に関しては、直雇用のアルバイトの場合は時給、業務委託の場合は配達料×件数で支払われる。

直雇用の方が時給が補償されていて安心だが、配達能力に自信がある人は委託業務の方が稼げるかもしれない。

乳母系で働く場合は原付や電動自転車を入手やレンタルするのが攻略の鍵と言われているが、中には「ママチャリで原付より稼ぐゴリラ」もいるとも聞いている。

我が村には当然乳母範囲外だが、乳母をパクり、ではなくオマージュしたデリバリーサイトが出来ており、フードデリバリーは全国的にホットと言えるし、「やりたい時だけやれる」というのは、外の仕事が長続きしない私にも向いている。

だが、どれだけフードデリバリーが盛り上がっていても、我が家に届けてもらえるのは現時点で「花」のみである。
しかし、もっと年を取り、自前の歯が全部なくなったら「誕生日はピザより花を届けてほしい」と思う日が来るかもしれない。
つまり、また年を取る楽しみが増えた、このように日本人はもっと加齢に対してポジティブになるべきだ。

 
気になるフードデリバリー・宅配バイトは
ここからチェック！>>
 

フードデリバリー・宅配のアルバイト求人は
↓こちらから↓

 
▼カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」▼
そのほかの記事を見る（記事一覧はこちらから）

 
▼前回・前々回記事を見る▼

カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」仕分けバイト編

カレー沢薫さんが世にあるさまざまなバイトを独自の視点で紹介するコラムです。今回は仕分けバイトについて。──これを書いているのは12月半ばなのだが、結局、旅行や大勢で集まったりするのは難しいまま年末年始に突入する模様である。私は「人生のスケール小さい」でお馴染みなので、主要親族がすべて車で30分圏内におり、正月集まれなくてもどうということはないが、中には１年以上親族に会えていないという人もいるかもしれない……

カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」配達・配送バイト編

カレー沢薫さんが世にあるさまざまなバイトを独自の視点で紹介するコラムです。今回は配達・配送バイトについて。──日本は少子超高齢化社会である。それに伴う地方の過疎化、買い物難民リアル怒りのデスロード化問題を解決する鍵は「通販」だと思われる。私も30年後ぐらいにはパリピが肝試し、もしくは地方の暗部記事を得意とするルポライターが取材にやってきそうな、限界集落予備地に住んでいるので、通販は良く利用する……