パート主婦(主夫)の年収、いくらが相場? 106万円・130万円・169万円の壁など

パートで働くときに、年収の壁を意識する人も多いでしょう。ここでは、「106万円の壁」、「130万円の壁」、「169万円の壁」など、自分や配偶者の所得税や住民税など税金控除、厚生年金や健康保険といった社会保険と年収の壁について解説します。実際にパートで働く主婦(主夫)にアンケートで聞いた平均月収額も紹介します。
- パートの平均月収は、11万3759円です
- 社会保険の扶養内の条件(収入額、労働条件など)がわかります
- 所得税は配偶者控除など税金の条件もわかります
パートの平均月収は、11万3759円
厚生労働省の毎月勤労統計調査 2026(令和8)年5月分結果速報によると、残業代なども全て含む、パートタイム労働者の平均月収は、11万3759円で、単純に12ヶ月分とすると、平均年収は130〜140万円になります。
- 平均月収:114,033円(残業や休日出勤など全て含む)
- 平均時給:1,453円
月収平均は、昨年同月比+1.5%で徐々に上がっている状況にあります。
パート収入額によって変わる税金・社会保険・配偶者控除の関係
具体的な「壁」をサラリーマンの夫(38歳・年収700万円)とパート収入のみの妻(35歳)と中学生と小学生の子ども2人の計4人家族が、夫婦それぞれの年収によって家計の支出にどのような影響が出るのかを例にみていきます。
※本文中の数値は、現行(令和8年)の税制で記述
| 気にすべき妻のパート年収 | 壁を超えた場合の住民税(※1) | 壁を超えた場合の所得税(※2) | 壁を超えた場合の社会保険料(※3) | 壁を超えた場合の配偶者控除、配偶者特別控除額(※4) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 106万円の壁 | 106万円以下 | 自治体によっては課税あり(均等割のみ) | かからない | 夫の扶養内、パート先の規模によっては加入義務あり | 38万円 |
| 119万円の壁 | 106万円超〜119万円以下 | 所得割はかからない(均等割は自治体によって課税あり) | かからない | 夫の扶養内、パート先の規模によっては加入義務あり | 38万円 |
| 130万円の壁 | 119万円超〜130万円以下 | 所得控除によっては課税あり | かからない | 勤務時間によっては加入義務あり | 38万円 |
| 169万円の壁 | 130万円超〜169万円以下 | 所得控除によっては課税あり | かからない | 勤務時間によっては加入義務あり | 38万円 |
| 207万円の壁 | 169万円超〜207万円以下 | 所得控除によっては課税あり | 所得控除によっては課税あり | 勤務時間によっては加入義務あり | 36万円から3万円 |
(※1)住民税、(※2)所得税
所得税は、年収から給与所得控除額(最低74万円、年収220万円超では金額が変わります)と基礎控除額(最高104万円)などの所得控除を差し引いて計算します。給与収入のみでほかに所得がない場合、年収178万円以下であれば所得税はかかりません。
住民税(所得割)は、総所得金額等が45万円以下の場合は非課税となるため、給与収入のみでほかに所得がない場合、年収119万円以下であればかかりません。ただし、年収119万円以下でも、お住まいの市区町村によっては住民税(均等割)がかかる場合があります。
(※3)社会保険料
厚生年金保険料や健康保険料といった社会保険料を妻自身が負担するのか、それとも妻は夫の扶養家族として支払わなくても良いのかが「壁」の焦点になります。社会保険の加入で判断する年収は、通勤手当など労働の対価以外に支払われるものも含まれます。
(※4)配偶者控除、配偶者特別控除
配偶者控除・配偶者特別控除は、夫の合計所得(※5)が1,000万円以下、給与所得のみの場合は給与等の収入金額が1,195万円以下の場合に適用される制度です。
【配偶者控除】 妻の年収が136万円以下の場合、夫の収入が給与所得のみで1,095万円以下なら38万円、1,095万円超1,145万円以下なら26万円、1,145万円超1,195万円以下なら13万円の配偶者控除を受けられます。
【配偶者特別控除】 妻の年収が136万円超169万円以下で、夫の収入が給与所得のみで1,095万円以下の場合、38万円の配偶者特別控除を受けられます。妻の年収が207万円以下の場合まで、妻の年収と夫の収入に応じて、配偶者特別控除の額は段階的に変わります。
(※5)合計所得:会社員やパートなど給与収入のみの人は、年収から給与所得控除額を差し引いた金額が合計所得です。給与以外の所得がある場合は、その所得も合算します。
年収106万円の壁|社会保険の扶養が外れる人も
厚生年金の被保険者数が51人以上の会社で働いている人は、所定内賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円)、週の所定労働時間が20時間以上、雇用期間が2か月を超える、学生ではないなどの条件を満たすとその会社の社会保険への加入が義務付けられます。配偶者の社会保険の扶養に入っていた人は扶養を外れることになります。社会保険料を自己負担することになるため、目の前の手取りを減らしたくない人は年収約106万円(月収8.8万円)未満を意識する必要があり、「106万の壁」と呼ばれます。
なお、月額8.8万円以上という賃金要件は、最低賃金の引上げ状況を踏まえて令和8年10月に撤廃されます。撤廃後は106万円の壁はなくなり、「週20時間以上働くかどうか」という点がより重要になります。
年収119万円の壁|住民税の所得割が課税
パート収入のみでほかに所得がない場合、年収119万円を超えると住民税の「所得割」がかかります。ただし、年収119万円以下であっても、お住まいの市区町村によっては「均等割」がかかる場合や、非課税となる基準が異なる場合があります。
住民税には、所得に応じて税額が変わる「所得割」と、定額で課税される「均等割」があります。課税基準や税額は自治体によって異なりますので、詳細はお住まいの市区町村へご確認ください。
年収130万円の壁|社会保険の扶養が外れる場合がある
年収が130万円以上になる見込みがあると、夫など配偶者の社会保険の扶養を外れる場合があり、これを「130万円の壁」と呼びます。勤務日数や時間など、会社の社会保険に加入する条件を満たす場合は、勤務先の社会保険に加入し、給料から厚生年金保険料や健康保険料、40歳以上は介護保険料が天引きされます。会社の社会保険に加入する条件を満たさない場合は、自身で国民年金や国民健康保険の保険料を支払います。
年収169万円の壁|配偶者特別控除が減る
169万円は、配偶者特別控除が満額受けられるボーダーラインです。「会社員の夫とパート勤務の妻」を例とすると、妻の年収が169万円を超えると、夫が受けられる配偶者特別控除は段階的に減っていきます。控除額は夫の年収と妻の年収に応じて変わります。
年収178万円の壁|所得税が課税
年収178万円を超えると所得税がかかり始め、家計に影響するため「178万円の壁」と言われています。そのため、パート主婦(主夫)にはこのラインを気にして労働時間を計算している人もいます。
年収207万円の壁|配偶者特別控除がなくなる
年収が207万円を超えると、配偶者特別控除も受けられなくなります。
まとめ
このように、主婦(主夫)がパートでいくら稼ぐかを考える時には、税金や社会保険の負担のボーダーを意識する必要があります。特に家計に影響するのは、妻自身で社会保険料を負担するかどうかです。
「会社員の夫とパート務の妻」の例で、妻の年収が150万円(月収12万5,000円)で社会保険料を概算すると(※6)、パート先の社会保険に加入する場合は22万円くらいです。勤務先の社会保険に加入せず、国民年金・国民健康保険に加入する場合は、国民年金の保険料は毎月17,920円(令和8年度・年額21万5,040円)、それに国民健康保険料が前年の所得に応じて少なくとも年間10万円程度の出費になり合計31万円くらいの負担となります。いずれの場合でも手元には120万円程度残ります(住民税等は除く)。ですが、人によっては、年収130万円未満や約106万円未満に抑えたパートをしようとする人もいます。
「壁」にとらわれることなく働ける環境が整っていれば、「壁」を意識することなく、収入を増やしていくのも家計運営の方法です。なぜなら厚生年金保険料を払った分、将来の年金は増えるからです。目の前の収入か、将来年金として受け取る額を重視するのか、働き方を検討することが大切です。
(※6)社会保険料や国民健康保険料は、勤務先の制度や加入する健康保険、自治体によって異なります。
>扶養控除・扶養内に押さえたい年収とは?106万、130万、150万の壁で気をつけること
渋田貴正
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/
更新履歴:
2017年7月2日 初回公開
2024年10月1日
2025年12月1日
2026年7月24日
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。