【街で見かけた「働く人」劇場】リア充で遊び人風だけど中身がすごい店員さんの話
リア充。仮想世界であるネットじゃなく、現実であるリアルが充実している人のことをさすネットスラングです。人当たりがよく、仕事ができて、そしてそれゆえきっと異性にモッテモテ。筆者とは、真逆の人種。
筆者(私)は、いつも「リア充は近寄るんじゃねえ!」と思っています。私は引きこもりですし根暗なので、彼ら(=リア充)の「ウェーイ!」なノリについて行けないからです。簡潔にいえば、万年ボッチのただの嫉妬です。キラキラした人たちへの嫉妬です。
そんな私ですが、ふらっとオシャレなカフェに入ることもありまして。
先日も、オシャレカフェでお酒を飲みつつ仕事をしていたのですが、どうも煮詰まってしまい頭を抱えていたら「あの……もしかして漫画家さんとかイラストレーターさんですか?」と見た目や雰囲気がリア充で遊び人風な店員さんに声をかけられ……。
私はただのフリーライター(という名の無職)ですけれど、リア充っぽい人の手前、怖くて「……はい、マンガ家です」と嘘をつきました。
そうしたら、「やっぱり! 描いているマンガのタイトル、教えてくれますか?」と聞かれたのですが、マンガ描いてないので「いや、照れるので」と濁し、事なきを得ました。
しかし、マンガ家(偽)を手前に興奮したらしい店員さんは「マンガのアニメ化ってどう思います!? 僕は云々」など、マンガについて熱く語りだされまして。
んで、ちょいちょい「これ、僕の彼女なんですけど、僕の影響で某作品にハマっちゃって。今ではすっかりマンガ大好きになっちゃったんですよ!」と、超絶美人な女性とのツーショットを見せられる私。スマホで、アルバムの写真スライドさせて。
スライドさせる指にさえも、リア充感が満ちている。こんな状況だと、彼らのキラキラ輝くオーラに押しつぶされそうになるのが、非リア充というもの。
「でたー苦手なタイプだー」と思ったところ、突然、店員さんが子どもと遊んでいる写真が。
「あ、これボランティア行ったときの写真だ」とハニカミ笑顔で仰る店員さん。
週に2回、福祉施設に顔を出して障害のある子どもたちと目一杯遊んでいるのだそう。「サッカーなんかは彼らのほうがうまかったりするから、へっとへとになっちゃうんだけど」と言う彼の目は、とても透き通っていました。そう、彼は外見だけでなく、いや、外見以上に、中身がものすごく充実していたんです。
そして彼の本来の目標とは、マンガ家になること。お酒も出すそのカフェの閉店は夜23時。店が終わってからが彼のマンガ訓練タイムだそう。「子どもたちは自由な発想で、遊びの中にもオリジナリティ豊かな動きを入れてくる。そこからアイデアをもらえるから、マンガのストーリーは自信あり。あとは絵をもっとがんばらないと……」そうか、だから漫画の話ばっかりしてたんや……。
なんだ、この本当の意味での充実っぷり。自分の時間を最大限に使って、できることを最大限に追い求めている。こんな人もいるんだね。この一件で、見た目や雰囲気がリア充っぽい人にも少しは警戒心がなくなった筆者。それもこれも、心や考え方がシッカリしているという意味で、見た目だけや雰囲気だけでなく中身もリア充だった彼のおかげです。
ただの「ウェーーーイwww」なリア充の人たちもいるでしょうが、中身がシッカリしているリア充の人も、きっとたくさんいます。
私のように、外見だけで「うわっ! たぶんコイツ、リア充だ!! どっか行け!!!!」と思ってしまう人も、きちんと中身を見るように努力すれば、きっと世界が広がりますよ!
ちなみに、リア充でもなければ目標に向かって日々努力もしておらず打ち込んでいることといえばお酒(を飲むこと)だけな筆者は今、涙目です。

1988年生まれ。フリーライター。武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。