プレゼンテーションを成功させる5つのコツ|押さえたいポイントとNG例も
大学生の中には、ゼミや学生コンベンションなどでプレゼンテーションを行う機会がある人も多いでしょう。プレゼンは決して簡単なものではありませんが、コツをつかんで場数を踏めば、上手にできるようになります。最大のポイントの一つは「話し方」です。パワーポイントを使った資料作成も大切ですが、聴衆を魅了し、意図をしっかりと伝える話し方こそが成否のカギを握ると言えます。
この記事では、プレゼンテーションを成功させるコツを話し方に絞ってご説明します。
プレゼンテーションの基本構成
上手なプレゼンテーションに共通するのは、構成がしっかりしていることです。ここではプレゼンの基本構成についてお伝えします。
プレゼンは3つのパートで構成する
プレゼンの構成は、イントロダクション・ボディ・クロージングの3パートで組み立てると、伝えたいことを漏らさずにすっきりまとめられます。
◆イントロダクション
イントロダクションは、聞き手の興味関心を引きつけるための「つかみ」の部分です。インパクトのあるデータを提示したり聞き手に質問をしたりして、プレゼンのテーマや目的、伝えたいメッセージを明確に示します。聞き手がプレゼンの内容に期待できるように引き付けることが、主な狙いです。
◆ボディ
ボディは、プレゼンの「本論」の部分です。3パートの中で最も時間をかけて自分の主張を過不足なく伝えることが大切です。
ボディは「結論→根拠→具体例・エピソード」という順番で構成します。最初に伝えたいことを打ち出し、その後で聞き手を納得させられる根拠を示します。それだけでは抽象的で、聞き手が理解しづらいことも多いので、具体例やエピソードを挙げて補足します。結論を最後にすると、聞き手は話し手が何を言いたいのかが最後までわからず、イライラしてしまう可能性があります。
◆クロージング
クロージングは、プレゼンの「締めくくり」の部分にあたります。このパートをうまく進める良い方法は、クロージングの最初に質疑応答を行うことです。聞き手が感じた疑問を先に解決することで、満足感を高められます。
質疑応答後は、再度自分の主張を簡潔にアピールし、聞き手の清聴に感謝を述べて終了します。
聞き手を引きつけるプレゼンテーションの5つのコツ
プレゼンテーションの構成がまとまったら、聞き手を引きつけるためのコツを5つ覚えましょう。構成同様、プレゼンを成功させる大切な要素です。
声のトーンに注意する
まず声のトーンに気をつけ、はっきりと話すことが大切です。小声でボソボソと話したのでは、聞き取りにくくて聞き手がストレスを感じてしまいます。聞き取りやすいように声の張りに気をつけ、ハキハキと話すことを心がけましょう。
また、時には身ぶり手ぶりを交えたボディランゲージを取り入れると、聞き手の視線を引きつけられます。
結論ファーストで話す
プレゼンは、結論から先に述べる「結論ファースト」で進めましょう。結論を支える根拠が3つある場合も、「ポイントは3つあります」と先に伝えます。そうすることで「3つのポイントって何だろう?」と聞き手の関心を引きつけられるでしょう。
反対に、「起承転結」の構成で結論を後回しにすると、途中で聞き手の集中力が途切れてしまうおそれがあります。
根拠やデータを基に話す
自説を主張する際は、必ず根拠やデータを示す必要があります。例えば、「少子高齢化」がテーマなら、少子高齢化の推移を示す公的なグラフデータが必要です。死刑制度の賛否がテーマなら、日本の死刑執行人数の年別推移や諸外国の死刑制度の有無などのデータが必要です。
例え話を挟む
抽象的な内容を伝えるときは、例え話を取り入れてみましょう。聞き手が具体的にイメージできるように表現の仕方を工夫すれば、理解度が高まります。よく使われるのが、広さを示すときに使う「東京ドーム○個分」という表現です。
重要な箇所は強調する
重要な部分は、話し方を変えるなどして強調しましょう。
例えば、声を少し大きくする、同じフレーズを繰り返す、話すスピードを落とす、身ぶり手ぶりを大きくするなどの方法が一般的です。話し方に強弱をつけることで、聞き手の集中力が落ちていた場合でも、再び自分に引きつけられるでしょう。
聞き手をしらけさせる話し方のNG
プレゼンテーションが苦手な人が、無意識のうちにしがちなNG言動を取り上げます。本番前にチェックして、聞き手をしらけさせないように注意しましょう。
聞き手の表情や反応を無視して一方的に話す
聞き手にきちんと伝わっているかどうかを確認しないまま、一方的に資料を読み上げるのはNGです。
プレゼンでは話しながら聞き手の反応に気を配り、必要に応じて声をかけるなど、臨機応変に対応することが大切です。最初は緊張してなかなかうまくいかないかもしれませんが、視線を資料に向けたまま早口に読み上げて終わるようなプレゼンでは、置いてきぼりにされた聞き手はしらけてしまいます。
「緊張しています」と言い訳する
プレゼンを始める前に「人前で話すのは苦手でして、緊張しています」と言う人がいます。そう言われても、聞き手には関係がなく、見苦しいだけなので、やめておきましょう。聞き手が知りたいのはプレゼンの内容であり、話し手の緊張状態ではありません。また、言い訳はマイナス評価につながりがちなので注意しましょう。
「えーと」「一応」など余計な言葉が多い
人は緊張すると、「えーと」「一応」といった余計な言葉がつい出てしまいます。その頻度が多いと聞き手の集中力が途切れて、話の内容がうまく伝わらないだけでなく、イライラさせてしまうことがあります。
また、話し手の自信のなさを聞き手に感じさせ、「準備不足なのでは?」という不信感を抱かせるおそれもあります。
緊張などで余計な言葉が多く出そうなときは、意識的に間を取って、言葉を選びながら話すと少しずつ落ち着いてくるでしょう。
話が脱線する
話すときに、ウケを狙ったり例え話が行きすぎたりすると、話が脱線してプレゼン自体にまとまりがなくなり、失敗してしまうことがあります。話し手自身は面白い話を提供しているつもりでも、聞き手が聞きたいのはテーマに即した内容です。脱線話の内容は、また別の機会にしてください。
他者の批判や悪口を言う
たとえ悪意のない軽口のつもりでも、他者の批判や悪口は共感を得られません。聞き手を不快にさせる可能性が高いので、絶対にNGです。
質疑応答の上手な乗り切り方
プレゼンテーション中の質疑応答では、意外な質問や少々意地悪な意見が飛んでくることがあります。ここでは、どのような質問にも慌てずに対応できる方法をご紹介します。
プレゼン前に想定問答を行う
発表内容をまとめた時点でどのような質問が来そうかを予想し、想定問答を繰り返しておくのが一番の対策です。もし、自分で質問が思い浮かばなければ、友人や家族の前で模擬プレゼンをして、質問がないか聞いてみましょう。
想定通りの質問が来るとは限りませんが、回答例を準備しておくと気持ちに余裕が生まれます。また、準備した複数の回答を組み合わせて答えることもできます。
質問内容を繰り返して、ポイントを整理する
質問されたら、その場で質問内容を繰り返してみましょう。例えば、「ご質問はつまり、“実験がうまくいかなかったときは、どのように対処すればよいか”という内容でよろしいでしょうか?」と質問者に確認します。
そうすることで、相手の質問内容を整理できるだけでなく、回答を考える時間も生まれます。わずかな時間ではありますが、この余裕があるのとないのとでは気分的にかなり違うものです。特に、想定外の質問をされたときは、内容を繰り返しつつ頭の中で答えをまとめましょう。
相手の主張をいったん認める
質疑応答では、聞き手が自説を主張するために、質問のような形を取りながら発言することが時々見られます。それは、プレゼンの発表内容を誤解した的外れな内容かもしれません。そこで、相手の発言を頭ごなしに否定しまうと、相手が感情的になってしまうことがあります。そういう場合は、相手の主張をいったん認めた上で回答するようにしましょう。聞き手は自説が認められたことで一定の満足感を得られますので、その場がうまく収まる可能性が高くなります。
すぐに答えられないときは「宿題」にする
痛いところを衝かれたり、その場で答えられない質問が出た場合でも、慌てる必要はありません。無理に答えようとせずに、課題として持ち帰る姿勢を示しましょう。「鋭いご指摘をいただき、ありがとうございます。もう一度しっかりと考えてから、次回、回答いたします」と言えば、それほど混乱することはありません。
質問が出ない場合は、よく出る質問の例を挙げる
質疑応答の時間を設けても、質問が一つも出ないことがあります。そのような場合は、「先日は〇〇〇に関する質問をいただきましたが…」「例えば、こういうことは気になりませんか?」と例を挙げると、質問しやすい雰囲気になります。
成功のコツを押さえて何度も練習を
人前で話すのが苦手な人は、プレゼンテーション前に何度も模擬プレゼンを行って練習を積み重ねましょう。できれば、友人らの前で行うと、本番での緊張も和らぎます。一方、人前で話すことに自信がある人は、ウケ狙いに走ったり、余計な話をしすぎたりしないように気をつけましょう。プレゼンの焦点がぶれて、失敗する場合があります。学生のうちにプレゼンの練習を積んでおけば、社会人になってからも役立ちます。早めに成功のコツを身に付けておきましょう。
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